eVar7 Adobe Summit 2016報告会にいってきました。
このところずっとHCD(人間中心設計)のプロセスぐるぐるしていたため、マーケティング系の仕事はしていなく、Adobe系の解析ツールから離れて久しい状態でした。
ただ、今担当しているサービスでマーケティング系に類する仕事が自分の範疇に再び戻ってきそうな状況や、登壇者で話をききたいトークもあり。
「Adobeのマーケ系ツールのユーザーではないけどご容赦を・・・」とどきどきしながらAdobe Summit 2016報告会にいくことにきめました。
UXデザイナーが直面する、体や心を壊す状況について
UXデザインの業務をはじめてはや5年。
自分自身も三十路超え、ついでに体重も肥え、文字通り『脂がのってきたかんじ』の状況ですが。
5年の中で、先輩方が体を壊したり、自分自身もあと数歩で体を壊すのでは?というところにいったことを、ふと@VoQn氏のツイートでおもいだしました。
(酔ってきたからいいかげんな事言う)「UIデザイナー」っていう「ロール」は充てちゃ駄目です。その子、全ロールの要求に頭がパンクするか、人材として潰れてしまうまでタスクが積まれて心療科通いになっちゃいます (続く
— ぼうくん (@VoQn) 2014年11月18日
※詳細 @transit_kix姉さんがまとめてくれている「酔ったぼうくん氏語る「ポジションに据える形での“UIデザイナー”というセクショニングの危険性」
「フルスタックデザイナーになろう!デザイナーもコードをかくのが当然」「デザイナーもUXデザインで上流工程へ」「webディレクター不要論」「いやディレクターこそUXデザインでグラフィックデザインできるように」とか、いろんな要望がデザインの現場でとびかう今。
その言葉の強さと、潜む怖さを感じ、じゃあデザインの現場にいる人間としてどうしていくのがいいのかなと思い、つらつら文章をかくことにしました。
【後編】グローバル化するサービスとオフショア開発環境の中で、webディレクターができること ~ベトナムで私も考えた編~
【前編】グローバル化するサービスとオフショア開発環境の中で、webディレクターができること ~現場の悩み編~の続き。
「旅行ECとして機能必須要件すりあわせに時間や工数かけてるけど。もっとユーザー目線で考える時間や工数増やして、ユーザビリティ・売上あげたい、チームで事業貢献したい!webディレクターとして、今私はどうすればいいんだろう?」という問いに対して。
ベトナム出張でであった人々・出来事から得たヒントを書いていきます。
【前編】グローバル化するサービスとオフショア開発環境の中で、webディレクターができること ~現場の悩み編~
webディレクター、人間中心設計専門家とって情報デザインフォーラムにいってきたの巻
webディレクターが人間中心設計(HCD)専門家認定制度うけてみた話という話をかいてその後。
3月末、無事に人間中心設計専門家に合格しました。
そののち5/8(日)の情報デザインフォーラムにでかけて『うああああ世界広いよー』となったのが現在、です。
webディレクターが人間中心設計を学び始めた理由、学んで専門家とったのちに『うあああああ』考えるに至った軌跡を記録しておこうと思います。
人間中心設計を学びはじめた理由
UX界隈の勉強をはじめたときは。
・なんか学術的なことやってそうな人たちで壁高そう
・資格?何をやっている人たちなんだ
・事業会社のドロドロの中で資格が活きるように思わない
と思っており、まさか自分がこの資格をとるとは思っていませんでした。
人間中心設計を学び始めたのは、「『定量』『定性』両方の軸がないと、サービスのデザインを考えられないわ」と痛感したからです。
もともと私はweb制作会社のディレクターで、「もっと上流から考えられるようになりたい!」と事業会社に転職したクチだったのですが。
ある程度定量的にログ解析ができるようにはなったものの、それでも旅行会社において『上流』を考えるためには、大きな壁があったように思います。
・ユーザーのインサイト、旅行業のお金の稼ぎ方を一番知っているとされるのが、旅行会社の旅行事業のメンバーであること
・オンライン旅行会社のデータは外接ものが中心で、そのデータやシステムに基づいたUIが求められること
旅行会社でwebディレクターが上流工程担当するときにあたった、2つの大きな壁
ユーザーのインサイト、旅行業のお金の稼ぎ方を一番知っているとされるのが、旅行会社の旅行事業のメンバーであること
旅行会社にはいってまずびっくりしたのは、ユーザーのニーズの細かさ、多様さでした。
1月にGWの商品を予約しようとする人はあたりまえだし、ヨーロッパに行く際「直行便に近い経由便」なるものがあること(超効率的な乗り継ぎできるFinairとか、アエロフロートとか)。燃油サーチャージの上下するタイミングで、「燃油代がお得」という視点で航空券を探すユーザーがいるということ。
web業界にいた身としては、その多様なニーズはとても興味深く、販促にかかわるたびにワクワクしっぱなしでした。
ただ、しばらくすると。
ユーザーのニーズをいつも旅行業の人にきいているという状態になっていました。
ユーザーのインサイトを見つけるという広告の本を読んだけど、なんかぴんとこないのです。
また、旅行業のお金の稼ぎ方も全くしらない状態でした。
旅行業は商習慣があり、事業を成立させるためのお金の流れも存在します。
ただ数をうればいいというものではなく、キックバックやコミッションを最大化するための施策もあります。
会社の事業が何に基づいて動いているのかが見えない中、デザインの文脈でのみ発言して、顰蹙をかうことも多々ありました。
サービスを運営するということは、デザインの美しさや保守性の文脈だけで語れる分野ではありませんでした。
オンライン旅行会社のデータは外接ものが中心で、そのデータやシステムに基づいたUIが求められること
求められたものをつくれば喜んでもらえる。
そう思っていたところ、29才くらいのとき、マーケティング畑の上司から厳しい言葉をいわれました。
「システムを理解しろ。理解してはじめて、どうすればいいのかエンジニアと一緒に話すことができる」
そうはいってもECサイトの設計経験もあったので相応の自信はあったのですが。
いざ開発現場にたってみると、システムとの打ち合わせで自分がいかに役にたたないかを痛感する日々でした。
オンライン旅行会社のデータは外接ものが中心で、その中でどう最適なUIをつくるのか?という議論が中心になります。
「こういうことをやりたい」といっても、「このデータはないから作る必要があるけど、本当にそれっているの?どうやるとそれってできる?」といわれると、言葉につまるのです。
本当にそれがいるのか?というのは自分の思い付きのアイディアでしかないし、ましてやそれがどうやってできるのかというプロセス一緒に話すには弱い。
「工数かかるよ」といわれると、自分の意見をひっこめてしまう日々が続きました。
デザインが事業を前に進める力になると思うからこそ。
自分のひとりよがりアイディアなんてどーでもよくって、定量的な数字・定性的な行動や感情を論拠としたものから発想したかった。
そして、「今、こういうデザインが必要なんです。工数かける価値があるんです。これが事業を前に進めるんです」って心の底から信じていいたかったのだと思います。
人間中心設計専門家ってなんなのか、とって感じた事
これは株式会社パエリアの山口隆広さんの定義が、webディレクターとしての現場ではものすごーーーーくしっくりきています。
リリースまで走り倒せないとダメな役割 is 専門家
HCD専門家に求められる実務的なスキルセットを抜き出すと下記のとおりです。・現状のユーザ課題を具体的に推測する
・調査計画を立てる
・定性、定量調査を行い、その結果を分析する
・その結果を受けて仮説からユーザを幾つかモデル化する
・モデル化したユーザに対してどのような機能、経験をさせるべきかを実現可能性を含め提案する
・提案した内容をもとにユーザーシナリオやコンセプトにまとめる
・まとめた内容をもとに企画提案を行い、要求仕様をまとめる
・必要に応じて情報設計を行い、デザインを作成する(自分で作らなくともグラフィックデザイナーをディレクションする能力でOK)
・作成した結果をもとにプロトタイピングを行い、ユーザ調査、仮説検証を行う(中略)
すなわち、開発現場に対し正論を振りかざす人というよりは、実際に開発現場でディレクター的な役割を持ち、一緒にサービスを作る人というのが役割となります。こう考えると、いわゆる開発現場のディレクターがやっていることに対しユーザ調査とフィードバックを加えたことが、HCD専門家に近いように思います。あれ、全然めんどくさい人じゃなかった。
開発現場に5年間立ち続けて、勉強会に通い、本を読んで、産業技術大学院大学人間中心設計履修証明プログラムに通って、ようやく『リリースまで走り倒せないとダメな役割』がこなせるようになってきたように思います。
中でも、『リリースまで走り倒せないとダメな役割』をするのに大事だなと痛烈に感じるようになったのが、ファシリテーション能力でした。
プロジェクトを継続してつづけていくには、旅行業のメンバー、エンジニア、デザイナー、ユーザー、国籍の違うメンバーと一緒にものづくりをしていくことが必要というのもあるのですが。
それ以上に、つくりつづけるプロセスそのものも、デザインしていく必要があると感じたのです。
この点、大きく影響をうけているのは、上平先生のブログ『子供と一緒にデザインする方法』からです。
・物理的に距離が近いというのは、協業において(あたりまえだけど)とても大きい。
・子供のアイデアはそのままつかえるわけではなく、そのイメージを具体化・精緻化するのはプロのデザイナーの仕事。大人にはない発想を取り入れるために計画的に巻き込んでいる。
・見せかけや口実つくりの市民参画、ワークショップではなく、そもそものところでたとえ子供であっても対等に対話し、尊重する社会理念がベースにある。先日、Rasmusは「我々は実際に使う彼らの気持ちを何も知らない、逆に教えてもらうという気持ちだよ」と言っていたな。この辺の民度(?)を決定づけているものとして、デンマークの社会民主主義の歴史は半端なく厚い。
・そして民主的とはいっても、決して多数決ではなく、折衷案でもなく、決めるところはピシッとプロが決めている。つまり役割分担がうまい。
子供と一緒にデザインする方法
Kamihira_log in Copenhagen
私レベルの情報設計できる人なんていくらでもいるし、グラフィックのデザインもできるかっていうとNOです。私自身、ものすごくかっこいいとか美的で評価されるデザインをつくりたいかっていうとNO。広告賞とかどうでもいい。
それより、継続的に使われるものをつくりたいし、プロジェクト立ち上げからリリース、評価して運用していくすべての流れにおいて、みんなで作る瞬間にわくわくしていたい。
そんなわくわくした前向きな場をたくさん作れるようになりたい。
そこに必要なものって、場をつくる力=ファシリテーション能力でした。
そして情報デザインフォーラムにいってきた
上平先生の「デモクラティックデザインとその実験精神—もうひとつの北欧デザインから学んだこと—」の話をうかがいたくて、情報デザインフォーラムに参加してきました。
基調講演、パネルディスカッションを通じて、特におもしろかったのが、以下のトピック。
・デンマークで持続性あるけどリスクもあるサービスをだせる背景=信頼がある。その信頼があるのは「そういう風に育てられたから」
・高度成長が過ぎ、成熟産業が時につぶれていく現在の社会。社会全体の目標が見失いがちな中、一人一人が社会へ関わり何を達成したいかを考えていく必要がある。そのとき、デザインという手法は皆の大きな力となる。
・多様性・不確実性・複雑性をうけいれてイノベーションへのプロセスをつくれる人が求められている。
この『多様性・不確実性・複雑性をうけいれてイノベーションへのプロセスをつくれる人』=カオスパイロットでのチームリーダーとのこと。
たぶん私がなりたいのってこの立ち位置。
でも、ものすごーーーーーーーーーーーく、遠いよーーーーーーーーーーーーーーー。
今もってる現場だってまだまだ小さいもの。。
人間中心設計専門家とって、少しは先達の先生方の見ている世界を見れるかな?と思ったら。
とんでもない。世界は恐ろしいほど広かった。
たとえるなら、カイの冒険でフロア60まで到達したのち、スペシャルステージが表れていきなりわけわからん難易度になってるかんじ。
※画像は「アナタはGWは何をしていましたか!?僕は「カイの冒険」を攻略 ②」より引用。カイの冒険の鬼畜ぷりがわかる素晴らしいエントリーだと思います。
ここからが本番なんですよね。
人間中心設計専門家をとったのははじまりにすぎなくて。
今度は自分の今までの現場のみならず、いろいろな場でどんどん試していけということかなと。
人間中心設計を学び、人間中心設計専門家の資格をとるなかで、いろいろな先達にお会いすることができたのはとても幸せなことだと思います。
んまた、そこからすごく多くの素敵なチャレンジをしている人たちを紹介いただいているなと感じます。
めっちゃうちひしがれてるけど、小さくても、新たな場をどんどん作っていきたい。
情報デザインフォーラムから、これから成田にいきます。参加型デザインとなる社会って理想なんだけど、いち市民からみると遠すぎる道のりにみえて「自分じゃできないよー」と思ってしまう。うちひしがれる。でも、そこ一個ずつのぼるのが必要で、あとからみたら転換点だったみたいな場なきがする。
— azumi (@azumi0812) 2016年5月8日
今私はグローバル展開したサイトの担当をしているのですが。
お前どうこう言う前に、まず英語でコミュニケーションとれないとベトナム人エンジニアたちや、ユーザーと話せないだろ、『リリースまで走り倒せないとダメな役割』できないだろ、という状況。
切羽つまってるんですよ。あーあーあーお恥ずかしい。
まずは出張で明日からベトナムに渡航なので。
『多様性・不確実性・複雑性』をたくさん集めてくるところからはじめてみようと思います。
いかないと見えないものがある。
見えないものをみにいこう。
『dialogue to diagram:対話を図解する手法を学ぶ』に参加してきました
ようやく念願かなって。
東京大学大学院 安斎先生が企画されているワークショップ『dialogue to diagram:対話を図解する手法を学ぶ』に参加してきました。
ゲストは東海大学講師の富田先生。
今回参加したのは「学問の世界にいる人たちから見えるワークショップと、可視化の世界を見てみたかった」という理由からでした。
UXデザインの世界から入り、ワークショップデザインをするようになってから、『どんな問を場にだすと、みんんなと新しい世界にいけるんだろう?』『この場で何がおきているんだろう?』という問いを常に考えるようになりました。
しかし、『この場で何がおきているんだろう?』については瞬時につかむのが私は苦手。感覚的にまだ体に入り切ってないなーと考えています。
たとえるなら自転車で補助輪つけたりはずしたりして、ふらふら走ってる状態。走れるけど、危なっかしい。
こういう時に私は違う視点をあえてぶっこむのが好きです。
その道の先達について実務を見たり、研究や書籍を読み、自分の中に新たな問いを発生させるのです。
問いのもやもやを考え続けて、外化しつづけて、前に進むスタイル。
今回は学問の世界にいるお二人の話を伺って、そのワークショップの場に参加することで、自分をゆさぶってみようかなーと思ったのでした。
カンファレンスでグラフィックレコーディングが果たす役割、何だろう? ~CIVIC TECH FORUM 2016のグラレコ隊から考える~
「カンファレンスでのグラフィックレコーディングの果たす役割ってなんだろう?」と昨年からずっともやもやしていました。
イベントでグラフィックレコーディングを描くと、喜ばれる。写真をとられる。
その場は盛り上がって、なんか嬉しい。
でも、そのあとってどうなるんだろう?
また、カンファレンス等で描く場所が増えれば増えるほど、「なんでグラフィックレコーディングなの?」「絵の議事録でしょ、それよりちゃんとした文章がほしいと自分は思う」という話をよくきくようになりました。
今回は、CIVIC TECH FORUM 2016のグラレコ隊として、イベントにかかわる中で「カンファレンスでのグラフィックレコーディングの果たす役割ってなんだろう?」について考え続けました。
対話の場を、グラフィックレコーディングで深める ~Code for Nagareyama IODD2016の事例~
「グラフィックレコーディングって、絵の議事録でしょ?」
「イベントで最近よくみるけど、結局写真とって終わりで、あまり意味なくない?」
グラフィックレコーディングを描いている話をすると、時々そんな質問をうけることがあります。
同時にグラフィックレコーダーからも「イベントで描いてその時は喜んでもらえたんだけど・・・結局かきっぱなしになっちゃってる気がする。」という声もきくこともあり。
グラフィックレコーディングが注目をあびればあびるほど、コミュニケーションのいち手段であるという側面が見えづらくなり、パフォーマンス面が目立つようにここ最近感じます。
グラフィックレコーディングは、コミュニケーションのためのいち手段。
グラフィックレコーダーは、『場』をつくる一員。
では、グラフィックレコーダーは、どんなコミュニケーションを目的に、どのように『場』をつくるといいんだろう?
そんな問いのもと。
ここ最近、依頼をうけた案件については、極力『場』をつくる一員として、企画や進行に提案を行うようにしています。
Code for Nagareyama IODD2016「SNSといじめを考えるワークショップ」にて、ひとついい形をうみだせたなーと思うので、事例紹介として記録にのこしておきたいと思います。
webディレクターが人間中心設計(HCD)専門家認定制度うけてみた話
webディレクターやってはや10年。
サービス開発の現場に立ってUIとかUXとか考え続け、気付けば5年。
一つの区切りとして「なんかやったぞ」感をのこしたく、人間中心設計(HCD)専門家認定制度をうけてみました。
12月は受験申し込みだけした
受験申込書をだしたあと、12/26~台湾に旅行⇒年末夫の実家にいき、そのまま年始まで帰宅しないという生活をしていました。
当然申請書類は一切手をつけず。
1/1に帰宅して、「年始だしやるか!」という謎の年始の勢いにかられる中。
このスライドみて脱力しました。
無理ですからぁってアンタ。
・・・そして書き始めて、「無理ですからぁ」をかみしめました。
私のやった案件、どこにかけばいいの問題
人間中心設計(HCD)専門家の書類のうち、特にボリュームが多く大変なのが、B3『B-3 コンピタンス記述書(専門家資格受験者)』。
大量のexcelのセルをみて、まず愕然。
そして、上から順番にうめていくのですが。
『B1 プロジェクト企画能力』をかいて、さあ次は『B2. チーム運営能力』『B3. プロジェクト調整・推進能力』だ!と思って項目をみると。
・・・・あれ、B1で書いたことと同じことかいてない?
同じことが、Aの12個のHCD基本コンピタンスにもいえます。
「とりあえず何も考えず書こう、あとからいらん部分は消そう」と思い定め、かきたいことをあっちゃこっちゃに書き散らした結果。
私の年始の休みはすぐに終わり(たぶん8時間くらいは使った)、1案件(しかもユーザーテスト企画実施というだけの、一番軽いはずの案件)しかかけない状態となっていました。
どう考えても書きなおししないといけないクオリティ。
この状態で締め切り前一週間前だったら、絶対先のボリューム想定して絶望して出願諦めていたと思います。
ああ。これが「無理ですからぁ」なのね・・・・
年始に会社にいって、コンピタンスを印刷して眺めてると。
ふとどこに何をかくべきかが見えてきた瞬間がありました。
「ああ、これHCDの各サイクルの部分を集中して書けばいいのか。」
↑言葉でいうのは簡単だけど、感覚としては伝わりづらいので。
ここを今回言語化してみようと思いブログをかきました。
『B-3 コンピタンス記述書』=家庭料理の状況・課題をこまかく書いてくかんじ。
私はこのコンピタンス記述書を書く大変さを、「正しい料理方法を知った上で、家庭で毎日のごはんをつくれるようになったことを文章をかいて証明する」という風に感じています。
例えば、『だしをとる』という過程。
・だしが必要な理由:うまみのもとになるから。特にグルタミン酸イノシン酸を組み合わせると人間はうまみを感じやすい。過剰な油脂や糖に頼らなくてもおいしさを感じることができる。
・だしのとり方:冷たい水にこんぶをつけて、ふっとう直前になったらかつぶしをくわえて、そのあと濾して冷蔵庫で保管。
でーもーねー。
一般家庭で毎日毎日だしをとるって大変です。
そんなときに、『B-3 コンピタンス記述書』風にかくとこうなるのかなと思います。
・私は共働きで、毎日帰宅が夜遅めで、しかも体力ない。深夜に食べると太るので、できるだけすぐごはんをつくりたいと思っている。
・でも、おいしくて健康的なものを食べたい。夫の健康診断の結果も気になる。
・塩分をとりすぎないように、だしをしっかりとりたいと思う。
なぜその方法を選び、どのように企画設計したか?工夫したことは何か。
・うまみ成分をいれて、過剰な塩分をとりすぎないようコントロールすることが味噌汁の調理には求められる。
・だしはパルシステムの顆粒だしを利用することにした。パスシステムの顆粒だしは、化学調味料の強い味がせず、味わいがやさしく自然なだしの味に近しいため。また、ふりかけていれるだけのため、だしをとる時間を圧縮することができる。
・また、パルシステムの顆粒だしは1本で味噌汁4杯分つくれる仕様となっており、1回につき半分を使えばいいため、利用量がわかりやすい。塩分とりすぎを自然と防ぐことができる。
・水300mlに顆粒だしと、うすめの半月切りにした大根をいれて、大根に火が通るまで沸騰直前の状態で火を通した。大根に火がとおったら、油揚げを入れ、味噌をいれ、放置し他の炒め物料理を作成。この放置時間でさますことで、食材に味がしみることがねらいである。また、炒め物は先に作ると放置できず水分がでてくるので、煮物の工程を終えてから調理を実行することとする。
・炒め物料理を食卓にだした後、再び火を入れて味噌汁をあたためる。このとき、ふっとうすると味噌本来の風味がとんでしまうので、沸騰させないように気をつける。
・味噌汁をお椀にもる。このとき、大根の葉をきざんでのせる。彩りよく見えるようにするためと、栄養価をあげるためである。大根の葉は緑黄色野菜に分類され、βカロテンやビタミンを多く含んでいる。
どうでしょう?
「大根とあぶらあげの味噌汁をつくる」という味噌汁をつくるという行動すら、長くなるので書くのがすごく大変なのです。
また、背景情報は自分にとってあたりまえの情報で。
このあたりまえの状況を客観視して、手法をえらんでいくということ自体、けっこうやれてない部分なのかんとかんじました。
(例:お母さんがいつも顆粒出しいれてたから、私もなんとなく顆粒だしつかうもんだと思ってた状態)
トータルとしては、各コンピタンス、脳内でこんな変換をしてみると、直感的に理解できるのかなーと感じています。
※料理プロセス⇒家族を見る・何が必要か考えて外化・献立つくって料理・評価する のもとになる力
【家族を見る】
・A1 食べる家族について調べる時、どう調べるか考える能力
・A2 食べる家族の行動や好みを調べる能力
・A3 調べた内容を分析する能力
・A4 調べた内容を見える化する能力
【何が必要か考えて外化】
・A5 食べた家族がどう幸せになるといいか考える能力
・A6 家族がどんな献立や栄養を食卓に求めているか検討する能力
・A7 長期的に家族が健康でいるために栄養を考え、毎日どうやれば持続可能に食卓をまわせるか考える能力
【献立つくって料理】
・A8 栄養を考える能力
・A9 料理をつくる能力
・A10 献立をつくる能力
【評価する】
・A11 下味つけた段階で調整していく能力
・A12 家族に味見してもらい、その結果をうけて改善しおいしい料理につなげる能力
・A13 するどい舌で味見する能力
B:毎日の台所をつかさどる力
・B1 今の家庭に必要な毎日のごはんを考える力
・B2 手伝いする家族をまきこむ力
・B3 現状の家庭状況にあわせて料理をする環境をつくる力
C:自分の家や親戚の家庭に料理プロセスを教えていく力
※料理プロセス⇒家族を見る・何が必要か考えて外化・献立つくって料理・評価する
・C1 どうすれば自分の家族や親せきの家に料理の一連プロセスを伝えていけるか考える力
・C2 自分の家族や親せきに、料理のプロセスを伝える力
・C3 自分の家族や親せきが料理のプロセスをできるようにそだてる力
・C4 自分の家族や親せきが料理のプロセスをできるようにそだつため、教える手法を考える力
L:ひとと一緒に料理をつくっていく時のテクニック
・L1 人と一緒に料理をしていく際、献立や料理をうまく文書で伝える力
・L2 人と一緒に料理をしていく際、献立や料理がすてきなおいしそうなものと感じられるようみせて伝える力
・L3 人と一緒に料理をしていくために、家族や親せきをうまくまきこんでいく力
大事なのは、
・自分のおかれた背景状況を客観的に理解すること
・その状況にあわせて、基本をしったうえで、適切な目的設定をし、適切なタイミングで、適切な効果を得られる手法をくみあわせること
・手法にたいしての評価を行い、次につなげること
だと思います。
知識を多くもった人とか、手法をたくさん知っているひとが専門家なのではなく。
この状況把握および適切な手をうちつづけられる人が、人間中心設計専門家なのかなと感じています。
この感覚を得た時『B-3 コンピタンス記述書』がとてもかきやすくなりました。
まあそれでも大変だったんですけどね・・・・。たぶん60時間くらいトータルでかけてると思います!
人間中心設計で大事なこと
「UX学んだから、手法たくさんしってるんだよね、知識がたくさんあるんだよね」
産業技術大学院大学にいって、人間中心設計を学んだとき、会社でそういってくる人がいました。
違うんです。
知識量とか手法できる人じゃなく、現場で活かして事業を前にすすめてこその力なんですと。
私のもってる現場は、別にそうひろい台所ではないし、最先端のイケてる調理器具とか最先端の調理人がいるところではないと思います。
私自身、じゃあ最先端のスキルもった料理人かっていうと、絶対NO。
でも、ものをつくるときに、つくって誰かにみせて、こわして、またつくって…というプロセスはそれなりにまわせるようになったんじゃないかなあと思うのです。
まだまだ修行中ではあるけれど。
専門家とれるかとれないかはわかりませんが、書いたことでなんかすっきり、次へいける感がしてきました。
そんなことおもいつつ。
今日は夫も長期出張でおらず、自分ひとりのため、大鍋に牛肉1kg+筋肉いれて、大量の牛筋にこみをつくってしまいました。
しかも1品だけ。
大根人参つっこんでるけど、栄養かたよりまくりです。料理プロセス設計能力ゼロ。
すごいうまいんだけど、誰がたべるんだろうなあこれ。
『現場を前に進める』グラフィックレコーディングの活用と対話の必要性
2/13(土)Devlove関西さんからご招待いただき、大阪で『グラフィックレコーディング~構造化のコツ~』というワークショップを実施しました。
今回はグラフィックレコーディング3つのスキル「聴きとる」「表現する」「構造化する」の中でも、構造化に重点を置いたワークです。
私自身、会社でグラフィックレコーディングを用いるか?というと実はあまり使ってなく(アクティビティシナリオやストーリーボード考えるときに使うくらい?)、グラフィックレコーディングのスキルを活かして現場で動いている、という状態です。
特によく使ってるなと思うのが「構造化する」という部分。
会議の内容をリアルタイムで関係性を示し、それをもとに考え、進行するという「構造化」。
「構造化には、いったい何がコツとして必要なんだろう?」
そう考えたく、ワークショップを設計しました。
私自身、ワークショップをやって見えたこと、感想戦をやってようやく見えたこと、それぞれあったので記録に残しておこうと思います。