ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

Read Article

アクセスログ解析できるようになるためのツボ3点(または小論文礼賛)

新人ディレクターの方々に、アクセスログ解析の方法を教える機会があった。
ツールの使い方自体は覚えりゃいいだけなのでまあいいんだが、難しいのはその先だ。
ほしい数字をどうやって考えるか。その数字をどうやって出すか。そしてその数字をどうみて、次の施策へとつなげていくか。

アクセスログ解析ができるようになるための、3つのステップ


3 cats eat dinner / taiyofj

アクセスログ解析には、3つのステップがあると思う。

1:解析する数字を考える
2:1の数字をログからだす
3:2の数字をみて、次の施策を考える

このうち、ツールの使い方は2に内包されるごく一部でしかない。私が教えたツールの使い方だけではこのステップは満たせない。

例えば、販促施策と主導線におけるUI改修では、解析するデータや前提は全然違う。販売する商材や、媒体(PCか、スマホか、ガラケーか)によっても違う。ECサイトやってても、コンバージョンが「購入」ではないときもある(例えば店舗誘導とか、問い合わせの電話の放棄率を下げるとか)。バリエーションなんて無限なのだ。
そういったすべてのパターンのときの、各ステップの具体的要素を教えるなんてどだい無理な話だ。共通のフローなんてものはない。

「どうやったら解析ってできるようになりますか?」
そうきいてきた新人さんに対して、私は
「数をこなして、いろんな人につっこまれるのが一番じゃないかな」
と伝えてしまった。
ツールの使い方を知った点はいいとしても。
新人さんたちは困っていたように見えた。

数をこなして、いろんな人につっこまれるのは当然の前提として。
ログを解析するときの思考方法、自分なりには、ある。でも、MBA的な学術的フレームワークとか、ビジネススクールで学べるすばらしいビジネス理論ではないので、社内教育に使えるは激しく怪しい。むしろ説明したら多分通常業務から飛躍しすぎて「ログ解析やってんのに、突然全然違う話題だしてきやがった、何いってんだコイツ」状態になる可能性もある。ゆえに社内で共有するのはやめて、ここで書こうと思った。

思考の下敷き=小論文

私が思考のベースにしてるものは、「小論文を書くときの思考」である。受験小論文書く時と同じ。
小論文は、以下の3要素で成立している。

・論点:何について書くか、自分が取り上げた問題
・論拠:意見の理由
・意見:自分が一番いいたいこと。1に対する結論
※山田ズーニー 伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)より引用

・・・あたりまえすぎてすみません。でも、ここから考えるのが一番シンプルなのです。
つまりこうなる。

・論点:何について書くか、自分が取り上げた問題
=解析する数字を考える
・論拠:意見の理由
=1の数字をログからだす
・意見:自分が一番いいたいこと。1に対する結論
=2の数字をみて、次の施策を考える

「論点」を考える


Thinking About the Cat Door / mcoughlin

望む結果を考える。

ポイントは『この人が、このページをみたら、こうなってほしい』と具体的な望む結果を考える点。
例えば化粧品なら。

「夏に日焼けしちゃった人に、今日発売の美白化粧品を、今週中にそのページから○件購入してほしい」とか。

その望む結果が得られた時、動く数値=論点の候補。

望む結果が得られたときに動く数値を洗い出す。この数値が、論点の候補となりえる。

例:前ページの遷移、このページへの他サイトからの流入、このページから次画面への突破率、その次画面から先の遷移、予約数

私はここで、簡単な画面遷移図を書くことにしてる。事件関係者を並べるのだ。

論点をグルーピングして、論点を絞る

数字をだしたら、流入、ページ遷移、購入・・・などとグルーピングしてみる。
また、そのグルーピングした内容もさらにグルーピングしてみる。
例えば次画面遷移なら以下のようなものがあらいだせる

A:コンバージョンにつながる直接的な遷移(商品のページから、カートへ進む。もしくは定期購入のページへ進むとか、電話問い合わせのページへ進むとかの細かいグルーピングができるはず)
B:期待はずれで戻ってしまった系(トップページや、美白化粧品のカテゴリページへ行くとか)
C:期待はずれで離脱してしまった系(離脱率)

論点を決める

論点候補の中で次に数字をみるにあたり、どれをみてくと一番筋がよさそうかのあたりをつけてみる。
上記の例でいうと。

新商品がめっちゃうれてる印象の時は「なぜ売れてるのか?」と調べるべくAの詳細をおっていく。
逆に鳴かず飛ばず状態でみんな死にそうな表情してたら、BCあたりが怪しそうだと思っておく。

なお、数字をみてこの論点がずれてるなーと思ったら、都度都度修正する。

「論拠」を考える


How many cats? / Piez 丫莫蝸牛

問題を多角的に見る

論拠となる数字をだすのだが、当然そのときにどんな数字(+時には画面)を見るかが問われる。
たとえば小論文だと、論拠の準備のため、以下のような様々な角度からで問題を多角的に見ている。

1.自分の体験・見聞を洗い出す
2.必要な基礎知識を調べる
3.具体的事例を見る
4.別の立場から見る
5.海外と比較して見る
6.歴史を押さえる
7.スペシャリストの視点を知る
※山田ズーニー 伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)より引用

ログ解析におきかえるとこんなかんじ?例えば。

1.過去に自分がやった同類の画面はどうだったか?を洗い出す

2.担当サービスでお金を儲けるのには何が効果的かというツボを調べる
定期購入が実は一番利益が高いからそっちに誘導したいという事情が社内であるとか。

3.実際そのページでユーザーがどういうフローで動いているのかを見る(PV、UU、滞在時間、前ページからの遷移、次ページ遷移)

4.離脱、もしくは購入のための動きをしなかった人たちの数字を見る(離脱率、前ページからの遷移、次ページ遷移)

5.他同類の画面や、他社と比較して見る

6.今までのページではどのような動きをしていたか?を押さえる

7.上司や先輩、同じ目標を持つ別部署の人の意見を知る
自分がwebディレクターなら、店舗で実際に商品販売をしている人の視点とか。

ぶっちゃけ面倒くさいがここをいかにだしきれるかが大事。
論拠はともだち!こわくないよ!

自分自身の感覚(仮にきめた論点)と照らして考える

上記のように問題を多角的にみて、自分の論点とかみあうような数字=論拠があるかどうかを探る。
もしかみあってなかったら、再び論点を考えて、数字とにらめっこ。
同じ事実でも、上記の問題を見る視野の広さで、当然でてくる論拠や意見は異なると思う。

「意見」を考える


What we can learn from cats:  / David Blackwell.

重要な順番に論拠を並べてみる

仮に決めた論点(問い)に対し、裏付けるような数値がきっといくつかでてくるので、数字的に重要な順番に論拠を並べてみる。

例:ページからの離脱率や別ページへの遷移率が、他の美白化粧品商品と比べて高い
-トップページへ戻ってしまう率が5%程度高い
-離脱率が4%程度高い
-美白化粧品のカテゴリトップへ戻ってしまう率が2%程度高い

他の論拠もみて、画面の問題を総合的に考える

例:
-新商品のページ、デザイン重視でファーストビューを作った結果、カートの位置が他商品よりも100px下部にある
→もしかしたら、ファーストビューにカートが見えない=先に進む遷移がわかりづらく、上部のヘッダー部分にあるトップやカテゴリトップに戻る人が多くなってしまったのでは?

意見をだす

論拠でインパクトがある!と自分が信じたものに対して、意見=改善施策を考える。

例:ファーストビューにカートが入るよう、商品ページの一部デザイン改修をする。他ページと同じレベルにまで購入導線への突破率が上がるのでは?

改善のための根本思想を、一言でまとめる

長ったらしい上記の過程、すべてを社内の関係者に理解してもらうのは難しい。概要や状況を相応に知っておけばいい人も当然いる(上司とか。)ゆえに、上記の過程を経て、次の施策は何をすべきかを一言にすると、会議でちゃんと伝わる。

例:「ファーストビュー圧縮」

なお、この根本思想は、論拠をそろえまくり、意見を考えれば考えるほど自信をもって言えるようになる。
だから、自分の中でぴんとくるまで、粘りまくった方がいいと思う。

文章で大切なのは、自分の根っこにある気持ちや生き方にうそをつかないことだ。
「そんなことはない、就職くらい、少々うそをついてもチャンスをつかまなくては」という人がいるかもしれない。

では、それでいくとしよう。教育関係の企業に就職するために「私は子どもが大好きだ。教育には以前から関心が強く・・・」と書くとする。実は、子どもは苦手、教育問題は本で一夜漬けしただけだ。
どうなるか?

まず、自分が自信をもって言い切ることができないから、文章自体の歯切れが悪くなる。(中略)
読み手は教育について知識も経験も豊富なプロたちだ。そういう読み手に対し、付け焼き刃の知識、自分を偽った言葉が説得力を持つだろうか?
文章はこの点、甘くない。
※山田ズーニー 伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)より引用

本当にこのとおり。受験小論文を書くときも、時間ぎりぎりまでねばってねばって、論拠を考え抜いて文章をかいてはじめて、何か核となる根本思想ができあがって、伝わる(と思われる)文章を書くことができた。
大学受験を自己推薦書、志望理由書、小論文セットで突破したり、卒業論文を教授から褒めていただいたのは、たぶんこの根本思想をちゃんと作れたからだと思う。

会社でもそうときどき、私の文章や、会議で提出した資料、「わかりやすい」と喜んでもらえるときがある。
そういうときはたいてい、根本思想が一発で伝わるような何かを自分で導け出せたときだ。

逆をいえば。何かを導けないときには
「まだこういう論拠そろえて考え中です、ごめんなさい」
というようにしてる。(そういうときが圧倒的に多い)
論拠がうすく、根本思想が曖昧なものをかいても、イマイチ伝わらないから。
イマイチ伝わらない根本思想と論拠をもとに、次どーするかという施策を考えても、説得力ある案なんてでてきっこない。

———-

ちなみに。
私は受験小論文万歳思考で受験以降の人生も突破し続けるという、どう考えてもニッチめ変態的人生の歩み方をしているため、小論文ベースの思考はあまり共感を得られないだろうなあと思っているのです(共感すると自信をもっていえるのは、同じように受験も就職も文章で突破し、現在編集者してる双子の妹くらいである)
下手すると、私のアドバイスは「小論文を書いて書いてかきまくれ」「小論文の本を読め」と受けてとられかねない。だから、社内で「小論文が〜」ってのはいいづらい。。。ゆえにブログでかく次第。

ビジネスの場なら、やっぱりビジネス的な権威がある何かのほうが伝えやすいんだよね。。。信頼感もあるし。
(新人ディレクターさんとはいえ、全員私と同じ年〜年上で、私より業界経験は多い方ばかり。そんな相手に、独自理論の説明をするのが憚られておりまする)

ただ、「DeNA Creative Seminar Vol.2 #denacrt でスマホUX/UIについて考えた」でも書いたとおり、データドリブンな世界(小論文のような論理性が求められる世界)は、けっこう居心地がよかったりする。

というわけで、私は今後も小論文的思考で仕事をしてく所存。そしてこのブログも小論文ベースで書き続けようと思う。
受験就職転職という人生の転機や、今のお仕事(アクセスログ解析)の牽引役となり、さらにブログで今これを読んでくださってるあなたと私をつなげてくれる小論文。
小論文はかく素晴らしき!小論文よ永遠なれ!!!

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a Reply

*
*
* (公開されません)

Facebookでコメント

Return Top