ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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リクルートライフスタイルのUXデザイン #RLSUX にいってきた(2)

ひきつづき「リクルートライフスタイルのUXデザイン」の続きです。
前記事:リクルートライフスタイルのUXデザイン #RLSUX にいってきた(1)
お次のタイトルは「UXデザインを活用したスマートフォン開発のクオリティ改善」です。

UXデザインを活用したスマートフォン開発のクオリティ改善

登壇されたのは、森澤思温氏。スマートデバイス開発グループという所属だそう。

・リクルートライフスタイルのスマートフォンアプリはトータルでもうすぐ3000万ダウンロード。
・二年前、最優先でアプリをリリースしはじめた。ただし、2011年9月 プロダクトのクオリティが低く、アプリのレビューコメントがさんざんだった。

そこでならんでたアプリのコメント、うろ覚えなのだけど。
「使えない」「わけわからない」というような、抽象的かつ一言のコメントばかりでした。
開発者としては、そうしたコメントを読んでネガティブな評価ということはわかっても、じゃあどうすればいいのか?は皆目検討つかないと思います。

そこで、森澤氏をはじめとした担当者は、開発する段階でユーザーを理解し、行動をあらいだし、さらに開発がすすむごとにテストをしてアプリの精度をたかめていったそう。

開発時にやったこと
・ユーザー理解
・プロトタイピング
・ユーザー評価
・ペルソナを持つ
例:家族友人旅行のひと=人に相談するというフロー
出張の人=一人で直近の宿を予約する
・ユーザーの行動シナリオ
どの段階でどの情報に出会えるといいんだろうね、というのを洗い出した。

「ユーザーの行動シナリオ」では、カスタマージャーニーマップを書いていたように見えました。

・仮説を施策へ
各箇所でテストを行い、ユーザー評価を実施。
・ウォークスルー 開発初期からUX、IA破綻してないか確認
担当者が、ユーザーシナリオに従い各ステップで問題ないかを確認
・UIレビュー
スペシャリストが、UI 短期間で効率よくUI改善するためにチェック。 各画面のUIを確認
・ユーザーテスト
作り手やレビュー者の思いこみのない視点で確認 こちらが想定している使い方で本当に使えているのか確認

さて、公開前にテストを実施して、クオリティを高めたあとは。
おなじみ、ABテストの登場です。
ABテストをぐるぐるまわして、アプリの品質を高めていくという狙いがあります。

お話をうかがっていると、まさに基本的なUXデザインのフローを忠実にまわしている、という印象。
でも、その基本的なところこそ、組織で実施するには難しい点もある。UXデザインのフロー(ユーザー像の共通認識をもって作る→随所でのチェックと修正の反復)って、ウォーターフォールの既存プロジェクトにおいては、実施することじたいから、理解をえなきゃいけないから。
樽本徹也氏のアジャイル・ユーザビリティ ―ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング―ではこう論じられている。

開発チームにユーザーテストの実施をもちかけても、最初はなかなか了承してくれないかもしれません。彼らはスケジュールに追われていて、新たな活動を行う余裕は肉体的にも精神的にも乏しいからです。

そんなときに、つい「まずはテストを行って、その結果をフィードバックしたほうが開発者やデザイナを説得できるだろう」と考えて勝手にテストしてしまう人がいますが、これはまったく逆効果です。

製品は微妙なバランス(つまり妥協)の上に成り立っています。現在の設計に至る”社内政治”を十分に理解しないまま、テスト結果だけを掲げてチームミーティングに乗り込んでも、それは作り手から見れば混乱をもたらす邪魔者にすぎません。

(中略)

絶対に無断でテストしてはいけません。作り手と評価者の利害が対立するような関係では反復デザインはうまく機能しません。テストを実施する前に、まず、作り手と評価者の間に十分な信頼関係を構築すべきなのです。

テストすべき。
そんなの、みんな心の底ではわかってると思うのです。
でも、目の前の納期にあわせるため必死こいて作ってる中で、ある日突然「テストが大事だからやるよ、また修正発生するよー、どんな修正発生するかテストしないとわかんないけどね」という進行を共有したとしたら。まあそりゃキレると思います。人間の体力は有限です。

だからこそ、「いいもの作るためにリリース前も後もテストするぞ!」という進行そのものを、チーム(含上長の方々)で合意しておくということ、テストの価値を認識することはとっても大事なんじゃないかなーと思いました。

UXデザインは、組織をデザインすることにほかならないのかもしれません。
組織といえば。すごいなあーさすがリクルートライフスタイルだなーと感じたのは以下。

・他のチームとテスト結果をためている。
サービスの抱えるユーザー数が多いので、テストデータが短期間でたまる。さらに主要サービスでの相乗効果も。ホットペッパー、ホットペッパービューティー、ポンパレ、じゃらん各サービスがテストを実施、そのノウハウを相互にシェアしてるので4倍のスピードでノウハウがたまり、施策の精度があがる。

これがほんとにほんとに、うらやましゅうございます。
自社ではUIUXでのテストはやってるけど、サービス規模が格段に違うので、規模が大きいとテストデータもノウハウもたまりやすいというのがステキ。胸がきゅんきゅんします。

リクルートライフスタイルが考えるUXデザイン

最後のまとめは、吉村宏氏。

・なぜUXデザインを行うのか
ビジネスの成功の確率を上げるため/ビジネスの失敗確率を下げるため

UXデザインには、まったく存在しない価値をうみだしユーザーの体験を変える=イノベーションをめざす、という解釈もありますが。webサービス運用改善の現場でより活用する場合には、イノベーションというよりは小さい改善を積み重ねて積み重ねて、成果をふくらましていこう・・・というようにUXデザインをとらえるんだなあと実感しました。
サービスはつくるだけじゃだめなんですよね。そこから運用してチューニングしていくことこそ大事!

また、今回のセミナーで、それぞれの立場から話したという点についても言及いただきました

・立ち上げ:大型プロジェクトを成功させるUXデザイン
プロジェクト推進 はやい合意形成

・成長:UXデザインを活用したスマートフォン開発のクオリティ改善
PDCAサイクルぐるぐる

・成熟:リクルートライフスタイルの UIUXチームについて
深い観察から新しいことの発見
データでみえないことを考える、UX探索

・UXデザインは何のため?
誰でも当たり前につかえる実用性をもつように
・プロダクト全体設計
ガラケーとPCでよかったけど、今はデバイスが多様化している。PC、スマホ、タブレットなどなど。サービス特性によってはどの端末を使うか当然違いもうまれる。
・例えばスマホ。
決済:価格が低いと気楽に購入できる。価格が高いとユーザーはより閲覧よりに。
端末によって役割が違うことを理解し、どうデザインするか?を考えるべし。

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おまけ
懇親会に参加させていただきました。素敵な方々がたくさんいらしてたと思うのですが、基本私はひっきーなので壁の花(ただしドクダミ的ひっそり感)やってて多くの方とははなせず(´・ω・`)。懇親会で懇親できる方尊敬します。。。

懇親会でお話いただいたじゃらんのiPadアプリの話は、まさにイノベーション!的なUXデザインのお話だったと思いました。
脱WebサイトのUIを掲げ、プロトタイピング二ヶ月以上みっちり行い、ユーザーテスト20人以上やって好評価を得て、リリース→ユーザーからも評価○→Good Design賞受賞!だったそう。

同じ会社でイノベーション的なプロジェクトあり、ビジネス改善的なPDCAぐるぐるもやってたりと、リクルートライフスタイルさんのUIUXチームは非常に濃厚な施策をしてる印象でした!
企画してくださった方々、ありがとうございました。お礼申し上げます。


おまけ2
この記事でもふれた「アジャイル・ユーザビリティ」、UXUIデザイン実務考えるのにすてきすぎたので、近日中にブログで色々言及したいと思います♪現場で同じようにサービス改善携わる人必読かと!!

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