webディレクターの阿呆な研究

Read Article

「思い込み」の危険性とその捨て方~UIUX改善のために

立川断層の調査にて、人工構造物を断層がずれた跡と誤認したというニュースがあった。

質問なるほドリ:立川断層帯、なぜ間違ったの?=回答・鳥井真平

Q それにしてもどうして間違ったのかな?
A 佐藤教授は「思い込み」を原因に挙げています。断層があるだろうと言われてきた場所を「あるはずだ」と考えながら調べていたから、と言います。人工的な物が埋まっている可能性も失念していました。

この記事を読んで「ひとごとじゃない」と、私はぞっとした。
立川断層の件は、UIUX改善のときに落ちるポイントと、本当に似ているから。

UIUX改善の際のフロー

UIUX改善するためにアクセスログを解析する際、私は簡単な情報を網羅したあとは、必ず頭にいくつかの仮説をもって、データを集め、見始める。何も手がかりがないまま情報を集めるのは非効率なので、いくつか仮説を必ずたてておくのだ。

たとえば
トップ→一覧→詳細→入力フォーム→確認→購入完了
というページが存在したとする。
このどこをなおすべきか、を考える際、私は以下①~⑤のフローで行っている。

(1)基本データを網羅

各ページのPVとUU、離脱率、目標とする次画面への遷移率を一気にだす

(2)ボトルネックを探す

数値を表にまとめて、目標とする次画面への遷移率が低いページや、離脱率が高めのページを探す

(3)で選んだボトルネックのページを掘り、仮説をたてる

(2)で選んだページで、仮説をたててそれを証明する定量的なデータ、定性的なデータ、機能・デザイン要件があるかどうか考える

例:詳細ページ
目標とする次画面へ(入力フォーム)の遷移率が低いのはなぜ?
・ほかのページに遷移をしていないかな?
→他ページへの遷移、目立って変なところはなさそう。でもトップへの遷移が多い?
→トップに戻る傾向はどんなユーザーに多いんだろう?流入別にみてみよう!
→流入元Xからのユーザーはトップへの遷移や離脱の率が多い。
→なんで流入元Xからきたときのみ、トップや離脱がおおいんだろう?
→購入に到達するための情報が少ないから?何か足りない情報を補足できないかな。

・フォームへのボタンがわかりづらいから?(自分の直感で微妙かもと思ってた部分)
→他ページでも同じようなボタンを用いているけど、遷移率は悪くなさそう
→同じ業界や似たようなUIをもつwebサイトをみてみよう!
→競合他社の文言、いいなあ。ちょっとおしてみたくなった。ここにヒントある?

(4)仮説をもとに施策を考える

(3)で選んだ仮説を、改善施策におとしこむ。かつ、効果試算&工数試算をする

(5)並べた施策の全体進行を決める

(4)の効果と工数を検討し、より工数少なく効果が大きいものから優先して実施。

このフローで実施する場合、「(3)2で選んだボトルネックのページを掘り、仮説をたてる」でだす仮説はその後の施策に直結するからとても大事。
でも周囲や自分を見ていると、ここで躓く人が多いように思った。
・そもそも何も(もしくはわずかしか)おもいつかない場合
・思いつくけど、思いこみの仮説をベースにして進めてしまい、成果がでない場合

特に前者は、webマーケター的な存在でデザインに関しての素養がない人、後者は制作会社出身で数字を見慣れてない人に頻繁に見られる傾向と思う。もちろん、UIUX改善をしている自分だってよくなってしまうのだけど。
じゃあどうしたらいいのだろうか?

そもそも何も(もしくはわずかしか)おもいつかない場合

ここの仮説でいけてないものしかだせなかった場合、施策の数は相当減る。
そういう人にとっては、「クチコミページと社長ブログ、売上に貢献しているのはどちら?~マンガでわかるウェブ分析~」がよいなあと思う。

クチコミページと社長ブログ、売上に貢献しているのはどちら? ~マンガでわかるウェブ分析

トップページ、一覧ページ、詳細ページなどなど、どういうページでどういう数字をまず見るべきかが記載されているし、またその定石の改善施策が網羅されているから。
何から考えていいかわからない人は、定石にそって施策をだすと、数とある程度の精度が担保された案をだすことができる。

あと、参考になるのはこのスライド!


スライドはこの本のまとめなのだけど、デザインに日々接する、ディレクターレベルが普段考えていることと同じことを網羅しているように思う。

思いつくけど、思いこみの仮説をベースにして進めてしまい、成果がでない場合

このパターン、特に私はこわいなあと思っている。
思いこみで、影響がでる箇所がとても多いからだ。
立川断層の例では、周囲の住民が発表によって相当危惧を感じていたにもかかわらず、「実はちがいました、ごめんなさい」という状態になった。不安を抱えていた住民の人は多少の安堵と同時に「なにそれ!しっかりしてよ」と思っているのではないだろうか。

いっておくが、施策なんてそうあたるもんではない。
だけど、デザイナー、コーダー、フロントエンジニアの工数を使って制作した結果、CVRが棄損した・・・となったら、ほんと泣きたい気持ちになる。
かけた期待効果や工数が多ければ多いほど、結果が違うと申し訳なくていっぱいになる。
わずかな導線変更が、会社の業績に痛烈な影響を与えることだってあるのだ。

だから私は、UIUX改善に携わる者として、(3)の仮説の精度を上げるのは絶対の責任があると思う。
一緒に働いてくれているデザイナー、コーダー、フロントエンジニア、サービス運営のみんなのためにも、そして何よりユーザーのためにも。

じゃあどうすりゃいいのよ。という話だけども。
やっぱりここは一人の力じゃ限界があると思う。
人の力やツールの力もかりつつ、以下のような進行を常に考慮していくのがいいのかな、と私は思っている。

・同じUIUX業務に携わる人との議論やチェックを定例的に行う

・仮説をたてる際、定量的なデータだけみるのではなく、簡単なユーザーテストを実施するなど定性的なデータもとって、両方の軸から考える

・ABテストを行って、よりスピーディーによいパターンを探る
(ABテストの応用版、バンディットアルゴリズムというのを最近しった。
一部のユーザーには現段階の最適解をみせて、一部のユーザーはABテスト被験者としてテスト→テストしつつCVRも担保、というものみたい。)

・期待効果が大きいという仮説があるけど工数が重くかかるものは、まず軽い工数で似たような効果が得られるかどうかABテストを行ってみて、その期待効果が正しいかどうかを数値的な検証をする。

などなど。

じつは、私は最近大きな失敗を一個した。
スマホサイトでより多くの種類の商品を購入できるよう、検索フォームの機能を増やしたのだ。フォームの必須入力事項は増えず、選択肢が増えたので、必ずユーザーのフォームからの突破率は上がると思っていた。
でも、実際は逆だった。突破率が数パーセント下がったのだ。
機能増加にともない、読み込まれるjsの数が増え読み込み時間がかかるようになり、またUIが複雑化したことでユーザーが困惑したのだった。
正直「この程度で?!」って思った。「この程度なら大丈夫だろう」、そう、私は思いこんでいたのだ。私、そして周囲の誰しもが。

「この程度」がだめ、というラーニングは、別のサービス開発に生かさなきゃと思った。
実は、さらに複雑なフォーム機能をもつサービス開発しようとしていたのだが、このテスト結果をもとに、そのUIをだいぶ修正することにした。
結果、画面それ自体の遷移が増えるなどのネガティブ面も増えたので、この修正が吉とでるか凶とでるかはサービス開始まではわからない。
でも、データをもとに、現時点での最適解をだしたつもりではある。これがだめなら、またネチネチネチネチとサイトの改善にかかわっていくまでだ!と思う。

組織でUIUX改善を考えるために

仮説をたてることに対してデータや考察がたりない後輩や同僚、マーケターに対して、私はここ一年くらいネチネチネチネチつっこみまくってきた。そのせいか、最近ではもっぱら私の評判は「こわい女」になっているようである。
でも、そのくらい、成果に影響がでる大事な部分で考える価値があるだからだよ!と私はいいたい。しかも、その成果は確実な積み上げになる。「ざぶとん」になるんだ。

なお、「ざぶとん」という言葉は、私がとても尊敬する上司が会議で毎回毎回いってきた言葉だ。いつのまにか社内用語になっていた。
いまの自社では、売上があがるとともに組織規模も大きくなり、その上司と直接会議をする機会が激減してしまった。後輩たちがその機会に出会えないのはすごく残念だ。
でも、だからこそ。自分が上司に何回も何回もいわれたことを、今度は私が後輩たちに伝えていく番なんだと気づいた。

今はうまく伝えらず時に「こわい人」とかげ口をたたかれてはいるけども。情報のシェアを活発にするよう試行錯誤して、うまく伝えられるようになりたいなあと思う。

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a Reply

*
*
* (公開されません)

Facebookでコメント

Return Top