ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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「web制作会社はオワコン」なのか?

「web制作会社は厳しいと思う。優秀な人は独立するか、もっと稼げるところにいくし。単価低いしやってられない。もうオワコンなんじゃないかとすら思う。」
某大手web制作会社に勤務している友人が最近、ふと愚痴をいっていた。

オワコン、というのは極端すぎると思うけど。2005年に夢みていた「webデザインの価値が認められるようになって業界として栄える」未来とはやや違う状況になっているとは思うので、なんだか切なくなってしまった。

私が新卒でwebディレクターになってから、今年でまる8年。前半4年はweb制作会社で主に対webサービス企業の担当、後半4年はwebサービス企業に所属してきた。2005年から2013年、8年間。ずいぶんweb業界がかわってきたなあと思う。
8年間業界にかかわってきた中で、web業界、特にweb制作会社とwebサービス企業のかかわりについて感じたことをつらつら書いてみる。

web制作会社とwebサービス企業の変化について

web制作への参入障壁の低さに伴う、単価下落が目立つように。

・参入障壁が低く、人材がどんどん入ってくるようになった
・単価が下がることでお給料上がらない状態になる
このあたりは、二極化するウェブ制作会社という記事の見解とほんとおなじ。。

また、根本的な原因部分については以下記事でかいたとおり。
なぜwebデザインは「安い」ようにみられてしまうのか? -webサービスにおける、webデザインの費用対効果(1)
Webデザインの価値とは何か -webサービスにおける、webデザインの費用対効果(2)

webサービス系会社では内製化が進んだ

・内製しないと改善スピードが間に合わない
・webサービス系会社大手で大規模な新卒採用がされている
・webサービス系会社へ、web制作会社に勤務していた人が転職してくる

web制作「会社」からのエース人材の独立が目立つようになった

・私の周囲ではデザインをしたいという人が制作会社から飛び出し、フリーとして活動する方が多い印象だ。
ある制作会社でエース級のデザインをしており、最近独立をした友人いわく「自分のかかわった案件に対する継続的なかかわり、正当な見返りがほしかった。」

・制作会社に勤務していた人が、webサービス会社に転職する理由として第一に挙げるのは「もっとサービスに深くかかわりたい」という点。

web制作会社じたいの体制変化が目立つように

・比較的大手のweb制作会社はベンダー化しつつある。2005年ころよくweb制作会社からの大きい発注元は、webサービス運営会社、広告代理店だった。しかし、テスト技術やデータ分析が発達したことで、webサービス運営会社は内製しないとまにあわない状況になった。この状況にあわせ、web制作会社はwebサービス系会社のニーズにあわせて、ベンダー化を推進したり、技術力やマーケティング(制作物のPDCA推進含む)に力をいれてきた。

中小はコンテンツ、もしくは技術に特化する傾向。前者はバーグハンバーグバーグLIGのようなおもしろ系を際立たせたコンテンツ制作、後者はH2Oスペースのたにぐちまこと氏のように最新技術を研究&著書を執筆している方などだ。

web制作会社とwebサービス企業の関わりについて

web制作会社の体制がかわってきたとしても、限界があるなあとも感じている。
たとえば一番に思うのは運営すること・・・「PDCA」について。複数のweb制作会社がどんなに「PDCA」といっていても、このフローをweb制作会社じたいがまわすことって難しいのでは?と思ってしまう。

制作会社の中では、発注を受ける→見積もりを作る&制作工数確保→制作→納品という動きをしている。「明日までにページ修正して!」という動きへの対応が非常にしづらい体制なのだ。

事実、私が制作会社につとめてた際、「ある施策の改善するため、明日までにページ修正して!」という某ECサイト運営会社さんから依頼うけたことがる。その時、私は「もっと前もっていってください」という反応をまずしてしまっていた。私のみならず、他のディレクター、デザイナー、コーダー、皆がそういう反応をした。

「もっと前もって言ってください」それは制作会社で勤めているときは当然の反応だと思っていた。制作会社につとめており、さまざまな会社の制作物を請け負っている以上、びっしり詰まった工数の中、急な差し込みではいった「たった数万円」レベルの案件を最優先で行うことが難しかった。
仮にそこであるデザイナーさんがAの案件を急ぎ対応したら、同時に進んでいるB案件はずらさないといけない。でも、別の会社からの依頼であるB案件がずれるとなると、B案件を進めているディレクターにとってはクライアントへの再調整が必要なので、当然B案件担当のディレクターは相当な理由がないと承認するはずがない。

でも、webサービス系の企業内で働いてみると、「もっと前もって言ってください」がいかに運営にそぐわないセリフだったかが痛感する。
施策は当たるかどうかなんてわからない。仮説の精度を上げて、打率を上げることはできるけど、神様のように100%になんてできっこない。仮説Xがだめなら仮説Yを試すためにすぐクリエイティブを修正する、なんて日常茶飯事だ。
「もっと前もって言ってください」という気持ちはわかるんだけど、言いたくてもいえないのだ。だって、ユーザーに使ってもらうまで答えはだせないもの。

また、「発注して見積もりを作って制作工数を確保して納品して・・・」だと即時対応できない。また、アクセスログや販売の数字を即座にとったり・・・というのもできない。
知識として知ってはいるかもしれないが、それを現場でどう生かすかはまた別の問題だ。PDCAまわしていない人たちが「PDCAは大事!」と言っているのを見ると、「まあそりゃ大事なのはわかるけど、あなたたちは実際に現場でPDCAまわしてないよね?そんなあなたたちに頼むのは意思決定のフロー的にも、スピード的にも予算も厳しいんだよううう!」としか私はいえないなあと思う。

もちろん、ベンダー化して常駐したうえで、しかも数字をおわせることによってある程度の隔たりは埋められると思う。でも、本当に重要な意思決定には関わることはできない。webサービス系企業の中の中の「正社員」、さらにもっと上のえらい人たちの中で行われる。
ここだけは超えられない壁がある点、留意する必要があると思う。

web制作の技術価値、そこを推進する力

個人的には。日本のweb制作会社が、最新技術をどんどん研究していく方に向かってゆくことで社会に価値を提供し、それに対する対価が支払われるようになってほしいなあと思っている。
(なんとなくイメージとしては、インフォメーションアーキテクトについてはネットイヤーの坂本貴史氏とか、アクセシビリティについてはミツエーリンクスの木達一仁氏のような存在。)

たとえば、行政系のような高度なアクセシビリティが求められるサイトは、
さまざまな年齢の方を想定したつくりにし、しかも色盲の方や目が見えないかたへの対応も必要・・・など、相当なデザイン&技術レベルが求められる。
ただ1ページをつくるにしても、誰でもアクセスできるという価値を支える裏には相応の工数が含まれている。その価値が社会的にも認められるようになってほしい。

きっと、web業界全体の技術面・コンテンツ面両方からクリエイティブの品質アップをけん引していくのはweb制作会社やフリーの方々なんだろうなと思う。

そういう方々の価値ある知見に対して対価を払いながら、今度はwebで提供するサービスをよりよくしていくために、サービス運営者として、私は地道な施策をうちつづけいきたいと思う。

※これは私の個人的体験&周囲の状況から見た内容であり、業界全体にあてはまるものではないかもしれません。あくまで個人的な所感である旨、ご了承ください。

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