webディレクターの阿呆な研究

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web制作・webサービス運営という戦 ~トイレ籠城戦からの生還

web制作・webサービス運営は、戦である。

web制作会社勤務の際にはクライアントの無茶要求大砲の集中砲火をうけ遁走。一群を率いた際には統率力なき暗君ぷりを発揮し、デザイナーにクーデターされ城を追われたこともある(プロジェクトから外されたよ!)。

事業会社に転職してからも、長篠の合戦における武田軍のごとく勢い任せて会議に挑んだ結果、用意周到に配置された上司の鉄砲隊に打ち負かされたこと数知れず。

しかし敗戦からこそ、学ぶべきものは多い。関ヶ原の合戦さながらの大戦を無事乗り切り、しばしの安寧をえた今、かつての敗戦記をまとめようと思い立った次第である。

やばいと思った時狼煙を上げず、自軍だけで問題ないと判断し敗北


・自軍だけで追い返せる敵軍だとふみ、自軍の殿様や他の武士(上司やディレクターやデザイナー)に状況を知らせず、黙々と戦闘を展開していた。

・しかし、状況は想定しない方向へ悪化。使えると思っていた自軍の鉄砲が雨にぬれてちゃんと使える状態になっておらず(ツールの整備や準備不足)思わぬ兵力消耗をしており、その非効率を補うべく夜を徹して戦闘をするはめになったのだ。

・具体的には、Photoshopで配置したボタン等の計測をし、全パーツのサイズと座標を記録して納品していく・・・という作業。要は私がPhotoshopの作業になれておらず、100%のサイズで座標をポインタで指し示すままとってたので、座標が1px〜数pxずれずれになってしまっていたのだ。

・デザイナーさんや先輩に正確で効率的なやりかたをきいたり、途中で座標が狂っているものがあることにきづいて作業遅延が見込んだ段階で上司に相談していたら、もっと早くクライアントに納品できたかもしれない。孤軍奮闘は壊滅につながるなあと実感する敗戦だった。やばいと思ったら状況まとめて即狼煙!狼煙まじ大事。

出会い頭に鶴翼の陣に囲まれ敗北


・鶴翼の陣とは、両翼を前方にだし、「V」字の形をとる陣形。一点突破を狙ってきた攻め手をうけ、両翼で囲い、せん滅するのが狙い。

ある日私が会議室を開けたら、そこは鶴翼の陣中であった。UIデザイナーの私VSカスタマーセンター軍という、圧倒的な兵力差の戦い。モバイルサイトにおいて「問い合わせの電話が増えるように作ったんです」というUIの意図について語ったが、「電話はなるが成約率が低い電話ばかりで成果にならぬ」「成果が薄い電話がなりつづけたら成果が高い電話が放棄されることになる」という集中砲火を浴び、あえなくせん滅された。

手痛い敗戦だったが、「ただ電話をしやすくすればいいのではない。いかに成約率の高い電話を鳴らさせるかが肝要」というのを身をもって実感した次第である。この塩梅はすこぶる難しい。

同数の兵力でも兵装や士気で圧倒され敗北


・会議室でよくみられる横陣。横一列になって相手と向かい合う形状だ。有名広告代理店軍が攻めてくる際、よく用いるように思う。

過去に私が戦った中で凄まじい威力をもっていたのはサ○バーエージェント軍。きらびやかな美男美女が横陣で並んだ姿は壮観であった。そして接待ではハンパなく士気が高い。その様相に、コミュ障の私は完全に圧倒され、不戦敗。

コミュ障なので接待怖い。されるほうもするほうも経験したがやっぱり怖い。いろんな人の思惑絡みすぎるとわけわからなくなるので、接待戦は参戦したくない戦ナンバーワン。私は遠く城中で戦の準備しこしこやってるから誰か戦闘能力高い人いってきてください。

会議で鉄砲隊に蜂の巣にされ敗北


・冒頭にも書いた「鉄砲隊で蜂の巣状態になるまで撃たれるが如く、上司の質問攻めにあい何も答えられず会議が進まなかった」失敗。新卒時代から数多く繰り返してきたのだけど、最近ようやくある程度の鉄砲であれば負けない程度に戦えるようになってきた。

蜂の巣になる場合は必ず準備不足だった。例えば会議で「目標の売り上げに届かない」という時。淡々と今やってることだけ報告すると、その後必ずつっこまれた。「で、目標達成のために現状はどう考えており、次は何をするの?」

・今やってることだけ報告しても会議は進まない。売り上げを上げるための一手段が会議。だから、現状分析と次どうするという施策をこれでもかというくらいそろえ都度上司に相談し、エンジニアやデザイナー、コーダー等関係者に相談しておく。工数見積もってアサインしておく。その総合的なまとめを会議に持っていくと、たいてい「負けない」、最悪でも「やや劣勢だが立て直しは十分可能」な戦いはできるなと思った。

会議は最も身近な戦場だ。8年間の武将生活でようやく気づいた事実である。

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書けば書くほど敗戦記は筆が進む。
そして書けば書くほど過去に迷惑をかけた同僚やクライアントを思い出し、申し訳なさで頭かかえてのたうち回りたくなるのである。

なお、多くの武将(ディレクター)も、そんな思いをしていると伝え聞く。敗戦したクライアントの城下駅は急ぎ足で通り過ぎたい衝動にかられると。あと、クライアントの家紋が入った商品は使えないとか。わかりすぎて泣ける。

敗戦記というと、私はいの一番に徳川家康を思い出す。徳川家康は三方が原の戦いでつい勢いづいて武田信玄に鶴翼の陣で挑み敗れ、う○こもらしながら敗走し城に戻ったという戦いだ。その際のしかめっつらを自画像に書き残し、生涯自省し続けたという。(世に有名な「しかみ像」

徳川家康ほどの人物だってう○こもらして逃走することがあるんだから、一般の武士が深夜のサービスリリースのたびに緊張で腹くだって女子トイレに籠城するくらい大したことはないだろう。ほんとどうにかしてくれこの籠城体質。
どんなに勝ち目がある戦いでも、全てがうまくいくとは限らない。うまくいくのはほんのわずかだ。
だから大事なのは、敗戦を重ねながらも、それでも挑戦し、くらいついて一歩ずつ着実に前へ進んで領地を広げていくことなんじゃないかと最近は思う。

「後途の勝を肝要とする」

そう、武田信玄公は言っている。(『甲陽軍鑑』)

戦いは勇壮で人目をひく劇場的なものではなく、統治する国を豊かにするという目的を達成するものであると。
負けて負けて負けて、負け続けたその先に、領地が開けるかどうかは誰もわからない。
でも、挑まないと、何も変わらない。
自分の領地を愛して住んでくれる領民、ユーザーに、武士は養われている。
だから武士は戦って、領民をもっと豊かにしていきたいと願うのである。それが武士の領分だ。

web制作・webサービス運営は、戦である。

トイレ籠城から戻り、大戦後の最後の掃討戦として次々リリースされるサービスを見守りながら、私は次の戦へ思いを寄せた。

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