「どんな人が自分たちの組織にあうんだろう?」
ランチ中同僚とふとそんな話をしていた。
たとえばwebディレクションができます、というスキルがあったとしても。仕事によってはある人にとってはモチベーションが上がる領域、ある人にとっては苦痛となる領域が存在するのだ。
スキルがあることが、必ずしも強い組織・よいサービスが生み出せる源泉ではない。
では、何を考慮すべきなのだろう?
「ストレングスファインダーっていう本での強みのテストが面白かったよ。自分たちの持つ強みを分析したら、組織に必要な何かしら傾向が見えるのではないか?」
そんな同僚の仮説を検証してみるべく、私も家に帰ってストレングスファインダーを早速試してみたところ。
人事畑にいる夫もこのテストを受けたことがあるとのことだった。
というわけで、我が家のストレングスファインダー結果から、家庭という組織とストレングスファインダーの妥当性を考えてみようと思った。
ストレングスファインダーとは
ストレングスファインダーは、自分の「才能」を見つけて活かしていこうという趣旨の本。
スキルではなく、「才能」というところがポイントだ。
「才能」は34の強み(200万人のインタビュー調査から導き出された、優れた行動パターン)に分類される。
この「才能」を見つけるのが、ストレングスファインダーについているテストだ。
「さあ、才能に目覚めよう」での定義では、「才能」とは「繰り返し現れる思考、感情および行動パターンであり、何かを生み出す力を持つ資質」と定義されています。
簡単に言うと、「ついついやってしまうこと」「自然とやっていること」です。
私の例を取ると、私には「収集心(知りたがり)」という才能があります。
そのとおりで、私は「知らないことがあるとついつい調べてしまう。何でも知ろうとする。情報を集めようとする」という癖があります。これが才能です!
「才能」=「ついついしてしまうこと」を活かして仕事をすれば、
「ついつい仕事をしてしまう!」という状態になり、しんどさもなく人の何倍も働き、組織に貢献できてしまうわけです。
才能とは?(はじめての方用)
家庭という組織の目的は多種多様だと思うけど。
私たちは日本国民なので、「憲法25条における『健康で文化的な最低限度の生活』を、家庭に属する構成員にて営むこと」を目的と置いてみる。
というわけで、「憲法25条における『健康で文化的な最低限度の生活』を、家庭に属する構成員にて営むこと」に向かって、夫婦の才能はどのようにこれまで活かされてきて、今後どのように活かしていくべきかという考察をする。
夫婦の「才能」
我が家の夫婦の「才能」は以下。
- 妻(私)
-
- 目標志向:常に目標を設定し、そこにむかって効率的に進む人。
- 学習欲:学ぶことが大好きな人。内容や結果よりもプロセスを重視する。
- 指令性:自分の考えを他人に押し付けることを苦にしない。対決を恐れない人。
- 戦略性:起こりうることを予測し、危険を回避できる人。特殊な資質。
- 最上志向:強みの強化に集中し、優秀になろうとする人。
- 夫
-
- 原点思考:物事の過去を知ることで現在や未来の判断をする人。
- 個別化:一人一人の個性に興味を持ち、理解し、それぞれに合わせた対応ができる人。
- 成長促進:人の潜在能力を見抜き、成功するために支援をする指導者。
- 適応性:柔軟性があり、状況の変化に素早く対応できる人。
- ポジティブ:どんな状況でも常にポジティブで人に好かれる。
傍から見ると、私は『猪突猛進』、夫は『縁の下の力持ち』タイプだと思っていた。
たとえば「お付き合いを開始する」「結婚する」等の人生における重要な部分の意思決定は、私の猪突猛進で迷う夫をなぎ倒す(押し倒す?)パターンが多かった。他方、夫は大学のゼミでも全員がコミュニケーションをとりやすいような自己紹介カードをつくったりなど、組織がうまくつながるよう常に配慮しているタイプ。
まあだいたいそういう関係性がイメージできそうな資質なのだけど。
各人の資質をストレングスリーダーシップの「リーダーシップの4つの領域」に分類をしてみると、おもしろいことがわかる。
リーダーシップの4つの領域
34の資質を「リーダーシップの4つの領域」に分類すると以下となる。
この分類は、優れたチームに共通して存在する4つの条件とのこと。
実行力 | 「根気よく努力してやり遂げる」力 アレンジ、回復志向、規律性、公平性、慎重さ、信念、責任感、達成欲、目標志向 |
---|---|
影響力 | 「組織内外にチームのアイディアを売り込む」力 活発性、競争性、コミュニケーション、最上志向、自我、自己確信、社交性、指令性 |
人間関係構築力 | 「チームをまとめ、才能以上の大きな力を発揮させる」力 運命思考、共感性、個別化、親密性、成長促進、調和性、適応性、包含、ポジティブ |
戦略的思考力 | 「常に先を読み、それにあった道筋を考える」力 学習欲、原点思考、収集心、戦略性、着想、内省、分析思考、未来志向 |
このうち、私と夫の資質をぬきだすと以下となる。
実行力 | 「根気よく努力してやり遂げる」力 目標志向 |
---|---|
影響力 | 「組織内外にチームのアイディアを売り込む」力 最上志向、指令性 |
人間関係構築力 | 「チームをまとめ、才能以上の大きな力を発揮させる」力 個別化、成長促進、適応性、ポジティブ |
戦略的思考力 | 「常に先を読み、それにあった道筋を考える」力 学習欲、原点思考、戦略性 |
赤字は私、青字は夫の強みだ。
各領域が平均2.5でよいバランスとしたとき、我が家は以下のような状況となる。
※2人の資質10種÷4分類=2.5が平均
実行力:1資質
影響力:2資質
人間関係構築力:4資質
戦略的思考力:3資質
ここから我が家について、いくつか考察できる部分がある。
・「実行力」が1と弱い
・「影響力」は、夫が0だが私が2つ資質を持っている
・「人間関係構築力」を夫が4つもあり、私が0である
・「戦略的思考力」は夫婦とも持っている共通の資質
我が家の組織としての考察
「実行力」が1と弱い
ここは2.5が理想平均のところ、1と弱い。私が持っている「目標志向」のみだ。
先を見通して何かを考えても、実行する際に弱い面があるなというのはうすら痛感していたところだ。
たとえば貯金。年間の貯金金額想定は決めてはいるが、毎月家計簿をつけたり、予算内での余暇の管理等をしていないのが現状だ。共働きなので「毎月X万円」家計にお金をいれておけば、家賃や生活費をざっとひいても相応の貯金ができるからまあいいや、とみているものの。まあまあザルだとは思う。
足りない「実行力」は組織に入れる=外部調達すべきな気がする。まさかお手伝いさんを雇うとか、妾を雇う(?)ということはできないので、ファイナンシャルプランナーなどの計画実行を手助けする外部専門家の力をかりるというのが現実性が高いところではないだろうか。
「影響力」は、夫が0だが私が2つ資質を持っている
夫の前職のメンバーは皆「縁の下の力持ち」と彼を称していた。私もそのとおりだと思う。成果を淡々とあげるけど、目立たないタイプ。他方、私は自分たちの強みを、ずばずば内外に言い続ける(最上志向&指令性)。
たとえば夫が持病で入院する時の意思決定。渋る夫を私が1年かけて動かし続けるアプローチをしていた。
「ほっとくと持病悪化が心配。子供が生まれてからじゃ入院なんて大変だから、夫婦二人だけで金と時間がある程度とれるときに入院してくれー!」と私の指令性が家庭内・家庭外(義実家)に発揮された結果、実施に移った施策である。我が家において、何かしようと思ったら私からの発信がまず大事。
なお、この指令性には私の戦略性・目標志向が大きく関わっているとは思う。
「人間関係構築力」を夫が4つもあり、私が0である
私は夫と付き合い、結婚してから本当に人生の幅が広がったなと感じる。それはなんでかと考えると、夫の「人間関係構築力」に依るところが大きいのだ。
夫はフジロックに興味がまったくない私を、なんだかしらんがうまくまきこんで連れて行った。結果、私はパノラマスティールオーケストラというスティールパンバンドを見て一目ぼれし、すぐに自分でスティールパン演奏を始めるに至った。夫に連れられてフジロックにいかなかったら、私はスティールパンを始めていなかった。
同じように、夫にフジロックに連れていかれた結果、音楽や景観、雰囲気に圧倒されてその後フジロックにハマり続ける人が周囲に続出した。いつのまにか人数は増え、ペンション貸切に近いレベルの御一行様となった。
私はそもそも人間関係資質が0で、基本的に意識して一生懸命気をつけないと人間関係の維持ができないタイプだ。一言でいうとひきこもり。
しかも、目標志向・最上志向・戦略思考も持っているから、ほおっておくと「自分が強い部分だけをどんどん深めるために、先のことを考える」しかしないのだ。一点突破はするけど、広がらない。
何かを広げるためには、まったく違う分野と出あうことが必要だ。その出会いを組織の人にもたらすのが、夫はとても上手。夫の持つ一人一人の個性に興味を持ち、理解し、それぞれに合わせた対応能力(個別化)、人に好かれてつながっていける能力(ポジティブ)のなせる技だと思う。
また、私は目標に向かって進む際私は時に他人の気持ちに配慮をしない行動をとることがある(目標志向×指令性のダメパターン…)。独断的。この時も、夫の適応性によって、私と周囲の関係をうまくカバーしてもらってるなあと思う。
「戦略的思考力」は夫婦とも持っている共通の資質
我が家は夫婦そろって歴史が好きだ。初デートは上野の兵馬俑展。家には宮城谷正光、浅田次郎など、歴史小説系が本棚を埋め尽くす。たぶんここの共通項がなかったらおつきあい開始してなかった気がする。
夫は歴史やその人の原点から先を読む姿勢だし、私は望む未来を想定しそこから逆算してストーリーを作り、足りないものは学習をして補っていくという姿勢。だから二人とも割と先入観を排除し、先を考えて行動を考えていく点は強いと思う。
たとえば共稼ぎ体制。どちらかが大学院に行きたいなど、何かしらのチャンスをつかむために時間とお金が必要になっても耐えうる家計にするという戦略で家庭を動かしている。また、これは同時に子供が生まれた時や、どちらかが体調を崩して休養が必要なときなどのためのリスクヘッジともなる。
まとめ
悪く言えば破れ鍋に綴じ蓋、になるのかもしれないけど。
総じて片方の短所は片方の長所が補う、といううまい組織体制にはなっているなと思う。実行力という弱いところも見えたあたり、ストレングスファインダーも納得のいく結果だった。
まあこの組織体制で私は幸せだし、『健康で文化的な最低限度の生活』がおくれるようにはなっていると思う。
もし、友達のままだったら。
私は人間関係閉ざしてひたすらひきこもっているし、趣味のスティールパンもなく仕事しかしない人になっていた。
夫は持病の入院をせず、やっぱり仕事を中心の生活をして、結婚までは踏み切っていないんじゃないかと思う。
なんか組織体制の分析というより、論理的なのろけだこの文章。すいません。
家庭という組織は、時に運営が大変だけど、それでも作ってみてオモシロイもんだなーと思う。
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