ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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「UX、デザイン思考、リーンスタートアップのためのインタビュー入門」にいってきた

img_idea樽本徹也氏著作の新刊「ユーザビリティエンジニアリング第2版」を入手した際、ニラニラと待ち続けていたものがあります。
販売記念のワークショップ!

自分はグロースハック目的・サイトリニューアル目的のUX業務(ユーザーテスト)でインタビューはしてきたけれど、新規に事業を立ち上げていく方向でのインタビューというのはまだまだ知見が浅いなと思っていたところでした。
今回念願かなって参加することができたので、復習がてらまとめてみることにします。

ワークショップの主題は「弟子入りゲーム」と「インタビュー設計」

人間中心設計、デザイン思考、リーンスタートアップ、etc…。優れた製品やサービスをデザインする手法は様々ですが、1つ共通していることがあります。それは、現代のデザイン手法の全ては「インタビューから始まる」ということです。

ここでいうインタビューとは、ユーザ/顧客に「何が欲しいですか?」「これでいいですか?」「どこをどのように変更すればいいですか?」と尋ねることではありません。また、座談会(=グルイン)を開催して「忌憚のない意見」を募ることでもありません。本当のインタビューとは、ユーザ/顧客の「言葉にならない真のニーズ」を探究すること――その鍵は「弟子入り」にあります。

【再追加開催】UX、デザイン思考、リーンスタートアップのためのインタビュー入門 講座概要より引用

弟子入りゲーム

ユーザーの体験を、あてずっぽうできいてもあたらない!

師匠と弟子にわかれ、弟子が師匠(ユーザー)のインタビューをすることで、師匠のユーザー体験シナリオの内容をあてていく、というゲームでした。

しかしあてずっぽうで弟子をやると難しい!師匠のユーザー体験シナリオの内容のテーマしか共有されないので、質問をしても得られる回答が断片的になってしまうのです。
結果、とても断片的な体験しか得られない・・・という状態に。この結果をもとにユーザー体験を分析していくのはとても骨がおれそうでした。

ユーザーの体験は『点ではなく線』ととらえてインタビューしていく

「ユーザーの体験は点ではなく線。だから、一個どこかの点をとらえたら、その線を追っていくのがい弟子のコツ!」樽本さんのアドバイスをもとに、弟子は質問の仕方をかえます。
よい質問はこんなかんじ。

・「次は何をするんですか?」
ユーザーの一つの体験をつかんだら、その話をとっかかりにして、次に何をするのかという風にきいていく。その体験をきいたら、「その次は何をするんですか?」と順をおっていきます。

・「ところで○○の前って何をしているんですか?」
こちらはユーザー体験の線が終わった後、線の前のほうへさかのぼっていくための質問。

・「そのタスクがうまく いかなかったとき/うまくいったとき はどうするんですか?」
タスクがうまくいったときの体験をききだせた場合、忘れがちなのが、うまくいかなかった時の経験について。私のチームはタスクを達成した体験シナリオについてはまあまあ見つけ出せたのですが、うまくいかなかった時の体験シナリオを掘るのを忘れていました・・・

ユーザーは「聞かれたこと」しかこたえてくれないんですよね。たとえば私たちのチームの師匠は、『うまくいかなかった時のシナリオ』を知っているはずなのです。でも、教えてくれなかった。弟子からきかれなかったから。
インタビューの際、こうした見落としがあると知っているのと知らないとでは大違い。実際に発生するということを知った上でインタビューに挑むべきだと痛感しました。

DSC_1028こんなかんじでインタビューをして、点を線でつないでいきます。

今回は1つの行動を1枚の紙にかきだし、それを並べて行きました。
すぐにそのユーザーのカスタマージャーニーマップが完成!

このカスタマージャーニーマップをもとに、ユーザー体験の中で変えられるポイントを探り、改善ポイントを考え施策を実施していく・・・というのが定石です。
「改善しないならインタビューの必要はない!」樽本さんがそう強くおっしゃっていたのが印象的でした。

インタビューのコツとか

また、インタビューの筆記のコツとして以下のような項目が挙げられます。
・フルセンテンスで速記しない
・事実を書く:誰が何した
・アウトライン、フローチャート、マインドマップ等で書く

インタビューしながら書いていくのは大変です。。録音録画するのは前提だけど、インタビュアーと筆記者はわけたうえで、交互にやったほうがいいなあといつも思います。
インタビュアーはずっと相手の話をきいているから相当精神的に緊張状態が続くし、筆記者は書きもらさまいという緊張が続くから。

もともとこの弟子入りの手法は、エスノグラフィがもとになって生まれています。
エスノグラフィとは、文化人類学、社会学のような分野において、フィールドワークから社会・集団の行動を記録していく手法です。

エスノグラフィにおいても、総インタビュー時間は1.5時間程度(実際の時間は1.25時間程度)とのこと。この短い時間の中で、ユーザーの行動様式をあぶりだすには、やはり効率的な聴き方が必要なんだと思います。

インタビュー設計

ユーザーにどんな質問をしたら、いいインタビューになるのか?

『ユーザーは「聞かれたこと」しかこたえてくれない』。
では、どんな質問をしていけば、よいユーザー体験をひっぱりだしていけるのか、というのを考えるのがインタビュー設計です。

・クローズドな質問はすぐ終わる
インタビュアー「あなたの家族は何人ですか」
ユーザー「自分、妻、0歳3歳の子供二人の4人です」

・オープンな質問に変えてみる
インタビュアー「あなたの家族を紹介してください」
ユーザー「専業主婦の妻がいます。妻は以前は仕事をしていましたが、現在は0歳の二男の面倒をみています。長男は3歳でやんちゃな盛りです。また、犬も飼っていまして、ゴールデンレトリバーのだいすけ君といいます。」

オープンな質問の場合、『ペットは家族である』という、クローズドな質問では見えなかった家族像があぶりだされます。
こうした自分たちが想定していない答えが見えるのが、インタビューにおいてはとっても大事。

設計手順

  1. 質問したいクローズドな質問をだしていく
  2. KJ法で質問を分類していく
  3. 分類されたグループに見出し・大分類をつける
  4. ユーザーにとってつながりやすい質問順の、グループの順番を考える
  5. そのグループでのオープンな質問を考える

今回は「質問したいクローズドな質問をだしていく」は同じものを使い、グループによって「KJ法で質問を分類」から開始しました。
が、この分類が難しい。

情報デザインやっていると、超無意識に見出しを意識して分類をしようとしてしまうのです。
でもKJ法って「(想像もしてなかった)分類を見つける」ための作業とのこと。分類するときには、その項目同士が『相対的に近いか、遠いか』で判断してくっつけたり離したり、ぺたぺたはりかえまくるそうです。

無意識で分類してしまうのを避けるためには
・A B C三枚のカードをランダムに選び、3枚の相対的な関係からカードをはりかえる。そして次のカードを追加。
・カードは1秒くらいで分類する
というような過程を経るとよいとのこと。確かに樽本さんのスピードは速かった。

こうして設計していくと、同じクローズド質問から様々な流れが考えられることがわかります。

たとえば今回のテーマ、『2005年頃?デジカメとそのデータ管理活用についての体験』をシナリオ化する時。

利用者→デバイス(PC・周辺機器・デジカメ)→使用状況(デジカメ・ケータイ)→管理・活用 の流れで分類したチーム。
DSC_1032

属性情報(パーソナル・PC環境・デジカメスペック)→撮影シーン(デジカメ撮影状況・ケータイ撮影状況)→データ管理加工→利用方法 のチーム。
DSC_1031

あなたについて→撮影(デジカメのスペックと使用状況、ケータイのスペックと使用状況)→撮影後(取り込み・PC・編集・プリント・活用)のチーム。
DSC_1029

このあたりは何種類もでることが多く、樽本さんも流れをいくつも検討したうえで最終的に決定するとのことでした。

設計された実際のインタビューについて

ちなみに。こうした流れを作っても、ユーザーが話した内容が意図したものではない場合もあるとのこと。そうした時はユーザー体験について重要でない質問をしている可能性が・・・・。
必要あればテスト毎に常に書きなおしていって、より精度をあげていくのが大事なんですね。

また、ここまで書いたとしても。
「決してそのとおりに質問しない」のが鉄則。

インタビューガイドは横眼で見ながら、ユーザと対話する中で内容や順番を変えながら臨機応変に質問します。文脈を無視して、用意した質問を順番に読みあげているようでは弟子入りできるはずがありません。相手を深く理解しようとしない限り有効な質問は生まれません。
ユーザビリティエンジニアリング第2版

設計段階でも、インタビュー時でも。相手を深く理解するための準備が肝なんだなーと思います。

おまけ:懇親会たのしかったです。

メンタルモデル ユーザーへの共感から生まれるUXデザイン戦略翻訳者の酒井さんがスペシャルゲストとして登壇

・Tangiblockのアプリコンテストで石井裕賞と林信行賞のW受賞をした「きのこでげんき♪のっけてキッチン!」の紹介

・IMJのオフィスが美しくてもだえた。カフェいいなーいいなーいいなーいいなー

・樽本さんから本にサインをいただきました。「中古として売れなくなりますよ」といわれたけど絶対売らない(むしろ崇め奉る)ので神格化が増したと思う。なむなむ!

主催者の皆さまありがとうございました。
メンタルモデルのワークショップも楽しみにしています。ニヤリ

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