ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

Read Article

京都と大阪でUXデザイン他流試合をしてきた

IMG_20150418_185652浅野智先生の引率で、産業技術大学院大学人間中心設計履修証明プログラムの仲間たちと卒業旅行にいってきました。
卒業旅行とはいうものの。
お土産を買う時間すらほとんどないくらい、旅程3日間、みっちり予定がつまっていました。

1日目はSoft Deviceのラボ見学、2日目はyahoo大阪とエスノグラフィワークショップ、3日目ははてなでのUX KYOTO LT大会。
行程について話すと、「それ旅行じゃない、勉強合宿だ」「ストイックすぎる・・・」と周囲の人にはいわれました。

この旅行に参加するため、会社での重要なイベントをお休みさせてもらったこともあるので。
自分の組織に何をどうもちかえるべきか、整理したくなったので旅行記(?)を書こうと思います。

Soft Deviceのラボで見た、『ユーザーの体験』を徹底的に可視化し検証する姿勢

初日は、京都北山にある、Soft Deviceさんのラボにお邪魔しました。

DSC_2021

Soft Deviceのラボは、『アクティングアウト』(=寸劇)を通じてユーザー体験を可視化するための高度なノウハウが詰まっていました。
寸劇をあなどるなかれ。
UXデザインのプロセスにおいて、『アクティングアウト』は体験のスケッチで、その体験がよいものかどうかの評価のために用いられます。
また、その

体験のスケッチを行うと、プロジェクト関係者へのプレゼンテーションにもなります。
「お金のにおいを感じるかどうか(by浅野先生)」もわかるのがすごいところ。

お話をうかがって一番驚いたのが、依頼先への納品物が、HTML・js・image・原本等のファイルやPSDではなく、シュミレーションした設備やそのコンセプト自体ということでした。
この点、よくあるweb制作会社やプロダクションの納品物と一線を画しています。

受託制作会社の場合、ユーザーとデザイナーの距離が遠いのが現状です。
デザイナーは(「ユーザーのことをよく知っている」はずである)クライアントの指示方針に基づいたデザインを行うことが要求されます。
だけど、Soft Deviceさんの場合は、そのユーザーの体験をデザイナー自身が感じてデザインできるよう、ラボを設立されましたそう。
結果、ユーザー体験を創って壊してまた創る・・というプロセスとその体験のスケッチそのものが納品物となって、クライアントの会社で用いられるようになったとのこと。

この体験のスケッチから、タスクを書きぬいて、そのタスクからプロトタイプをつくる。
体験のスケッチの成否が、プロダクトのデザインの成否を決めるといっても過言ではありません。
すべてのデザインの根本となる体験のスケッチの重要さは、浅野先生の授業で痛感していました。

より多くの人が絡み、事業へのインパクトが高ければ高いほど、一般の企業ではしっかり数字でビジネス的な検証を行っているけど。
体験のスケッチも、同じくらい力をいれて(精度高く素早く)検証しようとしているクライアントとデザイナーがいるということにとても刺激をうけました。

↓当日のグラフィックレコーディング(スケッチノート)
IMG_20150417_210101

Yahoo大阪とのエスノグラフィワークショップ

翌日は、Yahoo大阪とのエスノグラフィワークショップでした。
外国人観光客の方々がいる場所で、外国人観光客の行動を観察・発見→目に見えない価値をKA法で洞察しようというものでした。
私たちの班は、大阪城でフィールドワークを行ってきました。

大阪城公園の駅で、地図アプリを見ながら迷っていたタイ人観光客のグループに声をかけて、密着させてもらいました。
日本に来るのは二度目で、東京→河口湖で富士山をみる→京都→倉敷→関空という旅程だそう。
DSC_2028

城壁の上に座る観光客の方々に話しかけるメンバー。
オランダからきた観光客の方は「日本は古いもの(お城)と新しいもの(ビル)が一つの景色に融けているのがおもしろい!」といっていたそう。日本にいる私たちにとっては、当たり前の風景だと思っていたのでびっくり!
DSC_2029

持ち帰ったデータを、KA法で分析。
KAカードを書いて、価値マップを作成、サービスにつながりそうな価値を抽出していきます。

DSC_2038

私たちの班は、『一度にたくさんの体験をできる価値』として『アニメやゲームの風景を再現して遊ぶ価値』『珍しいものを写真におさめる価値』『好きな自分に海外にきても酔える価値』があり、その体験を周囲(旅行者や旅行者以外)と共有することで、よりその価値が相乗効果で高まる…という分析をしました。

個人的に、サービスにつながらないけど面白かった洞察が『アニメやゲームの風景を再現して遊ぶ価値』部分。
これって、いい大人2-3人だとやらず、集団になるとこうした遊び=子供返りが発生するのです。
その洞察を浅野先生にふと話したら、「人間て2-3人だと外界と接してる認識をするけど、集団になるとその集団内でコミュニケーションが閉じる。結果、外界との接触の認識が薄くなり、子供のような遊びをしはじめる。」との分析が。

「集団の中での暗黙のルールを見つけるのがエスノグラフィである」/span<>そう浅野先生は何度もおっしゃっていました。
このルールが、ユーザーを理解することに繋がると。
私はこの暗黙のルールを見つけるというところが丁寧にできず、マイルール(自分の価値観・先入観)を人に押し付ける側面があるなーと痛感しました。
自分の価値観・先入観を押しつけると、視点が狭くなり、分析やその後の行動が甘くなるのです。
これってエスノグラフィに基づいた調査から施策立案でも、実際の会社での働くスタイルでも同じ現象がおきるのではないでしょうか。

余談ですが、私は価値観が違うコミュニティでは極端にコミュニケーション苦手になるし、ひきこもり気味となります。

「価値観が異なる集団の中での暗黙のルールを見つける」のが苦手なのです。
今後、私がチームを率いて働いていくのに、ここに手をつけないとどうにもならないんだろうなあと思い始めました。

「お前はグラフィックレコーディングを捨てろ。捨てないと次に進めない」という浅野先生からのアドバイスがぐるぐる最近まわっています。
私にとってグラフィックレコーディング=情報の可視化は、コミュ障な自分がプロジェクトを前に進めるうえで欠かすことができない武器なんです。
だから最初は「私からグラフィックレコーディング=情報の可視化」を捨てたらダメ人間しか残らぬ!と思ったものの。

この武器1本だけだとずっとは戦っていけない。もっと武器を身につけろ。
そう浅野先生は言いたかったのかな、と受け取っています。

↓yahoo大阪でのグラフィックレコーディング。
3枚ばらばらだったグラフィックを繋ぎなおして構造化し、気合いでえいや!でまとめました。
IMG_20150418_185652

はてなでのUX KYOTO 「UXの学びをどう活かす?」LT大会

マイラブ★はてな!
はてなは(一方的に)大好きな会社なので、いけること自体がとてもうれしかった!
DSC_2056

私がはてなを好きな理由に、あまりに独自で濃厚なコミュニケーションが生まれる場をデザインされてるなーという点があります。
たとえば増田(はてな匿名ダイアリー)。
匿名だからこそ書ける、「王様の耳はロバの耳―」的な人の叫びのるつぼだなーと思っています。
その叫びを誰かが拾って、また意見を書いて、だれかがまたひろって・・・と匿名のコミュニケーションがどんどん広がっていくのです。
もちろん2chをはじめとする匿名掲示板でも同様の現象はおきているのですが。
はてなの場合、匿名性があまりない(もしくは全くない)はてなダイアリーへも均等に波及していくのがおもしろいところ。
水面に石を投げ入れたら、それがどんどん広がって、いろんな水をかきまぜていく。

LTでは、はてなの森口さんが「コミュニケーションの設計」の話をしており、まさに私の興味関心にどんぴしゃでした。
水面に石を投げたら、どうすればその広がりや水の混ざりがおきるのかを考えるお仕事。
もっとお話をききたかったなーと思いました。

また、印象的だったのは、石川さんの「Restart UXでやめた人の再出発」というプレゼン。
webデザインの現場から離れ、本当にしたいことは何だろう?を考え、本当にやりたいことを考えた結果。
人(ユーザー)を知って、人(ユーザー)と社会をつなぐ、ソーシャルワーカーを目指すようになったとのこと。
UXデザインのプロセスやその思想を活かす現場って、きっとwebとかプロダクトデザインの現場以外にもたくさんあるんです。

そうした意味で、成安造形大学の大草先生の目指す方向がとても私はいいなーと共感しました。
webとか紙とかプロダクトをデザインする、ではなく社会をデザインしていくという思想。
その思想を授業にしていかれたという話を伺い、なんと学生さんたちは恵まれているんだろう!とうらやましくなりました。

↓LTの内容をグラフィックレコーディングを行い、浅野先生が総括していきます。
グラレコはこういうタイミングで俯瞰して、議論ができるので便利。
DSC_2062

———-

「UXは即効性がない。漢方薬のようなもの。一気に組織はかわらない。」
浅野先生が繰り返しいっているセリフをかみ砕くたび、組織でなんで自分がやっているんだろう?と自問自答せずにはいられません。
つまるところ「UXデザインを学んだことで、自分は社会においてそれをどうやって活かしていきたいのか?」。

それって、別に今の組織や仕事に固執して考えることではないと思うのです。
もっと広く考えれば適切な組織とか仕事ってあるのかもしれません。

ただ、今の組織でなんで私がやりたいんだろうって思ったところ。
今いるメンバーはまだまだ完全ではないけど、その分成長したいって気持ちが強いこと。
チームのスケールのスピードが加速してきており、いい風が今ふいていること。
そこに自分の力を活かすことは、自分の弱点とむきあって、何か新しいものに出会うきっかけになるかもしれない。

そう、すとーーーーーんと思うようになりました。

社会人生活10年目。
産技大卒業は、その10年の節目を卒業する意味合いも含まっているのかなと思うのです。
個人で何かつくることから、チームで何かをつくることに進んだ10年間。
次の10年は、そのチームをもつくる10年になるのかもしれません。

先のことはわからないし、チームをつくる人間として私は本当に未熟だけど、走ってみて、またしっかり考えていこうと思います。

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a Reply

*
*
* (公開されません)

Facebookでコメント

Return Top