6月20日に、リクルートホールディングス本社にて、「グラフィックレコーディングをやってみよう!ワークショップ」を開催しました。
応募開始から1日で満席、キャンセル待ちが続くという大盛況ぶり。
増席したい気持ちは山々だったのですが。
ワークショップの内容上、参加者の方にケアが必要なため増席は厳しく・・・・。
「また開催しよう!」とグラフィックレコーディング勉強会スタッフ一同考え企画をはじめているので、またぜひご期待いただければと思います。
そんなわけで当日のレポート。
「グラフィックレコーディングをやってみよう!ワークショップ」レポート
準備運動と自己紹介
今回のファシリテーターはグリーの津崎将氏さん。
アシスタントは株式会社ROLOの今野敬介さん。
二人とも、グラフィックレコーディング勉強会のメンバーで、産業技術大学院大学人間中心設計履修証明プログラムの同期です。
グラフィックレコーディングは、マックグラフィックアーツの小野奈津美さん。
今回長丁場のグラフィックレコーディング初挑戦です!
全体へグラフィックレコーディングについての説明をした後は、準備運動としてのペンの持ち方・自己紹介に入ります。
技術アドバイザー和波さんが、ペン(プロッキー)の持ち方をアドバイスしにまわります。
ペンの持ち方を教えると、参加者の方の線の引き方が一気に変わり、美しく遠くからでも読みやすいものになります。
聴きとるトレーニング
次は聴きとるトレーニング。
高速で話されるワードを聴きとるなかで、聴くうえでの工夫をしていくワークです。
参加者の方からは「似たようなものは似たようなエリアへ近づけてみる」「漢字だと間に合わないから、ひらがな・カタカナで書く」「ほぼ線のような絵でかく」というような工夫の声があがりました。
おもしろかったのは、和波さんの「頭の中に似たものを入れる小部屋があって、その中にどんどん聴いたものを一時的にためていく」という話。
私も同じで、イメージ連結させて小部屋に放り込んでいるのです。
例えば「インドでは冷蔵庫に鍵がついている。なぜなら猿やお手伝いさんが勝手に中の食べ物を食べたるのを防ぐためだ。」を聴きとるとき、鍵がでっかくついた冷蔵庫のイメージ+冷蔵庫開けられない猿&お手伝いさんのイメージを即座に描いて脳内に放り込んでおくイメージ。
グラフィックレコーディングやっていると「よく記憶できるね」といわれますが。
文脈にそってイメージ記憶術で覚えていくから、記憶力よく見えるのかもしれません。
聴きとるトレーニング+表現するトレーニングの連結として、イメージ記憶術は有効なのかも!
(ただしグラレコの時のような文脈重視の場合イメージ記憶は有効で、具体的名称や数字が命の時はイメージ記憶使えないなーと感じます。反復記憶定着練習あるのみ。)
表現するトレーニング
聴きとるトレーニングの次は、表現するトレーニング。
表現するトレーニングでは、簡単人間の書き方をマスターを目指します。
グラフィックレコーディングで人間を描く時一番大事なのは、丁寧に書くことではなく、『伝わるものを早くかくこと』だと私は考えています。
だから人間は棒人間からはじめていいと思うし、簡単なコツを覚えれば思考や行動は非常に豊かに表現することができます。
この表現するトレーニングで、何をさておき人間を描いてもらうには理由があって。
それは、グラフィックレコーディング=人が何かを伝えようとするものを表現する、という行為に他ならないからです。
人が「伝えたい!」と思うものの背景には、その人ならではの思考・感情・行動がたくさん含まれます。
「伝えたい!」をわかりやすく伝えるには、その人の思考・感情・行動をいかにわかりやすく表現するか、がポイントなのです。
あと、人の顔の絵は人の情報処理の中で優先されるので、注目を集めやすい=重要なポイントにおいて伝える力が非常に強くなる、という効果もあります。
『シミュラクラ現象』というらしいので、今度説明のとき使おう。
構造化するトレーニング
お次は伝わりやすい表現の骨格である、構造を考えます。
グラフィックレコーディングでよく使う構造は、リスト・ラディアル・クラスターの形。
表現が無限にありそうなグラフィックレコーディングも、実は構造を見るとシンプルなことが非常に多いです。
実際の和波さんのグラフィックレコーディングを見ながら、構造のポイントを解説します。
- 同類を囲い、まとまりとして見せてあげる
- 大事な言葉は強調して見せてあげる
- 関係性を矢印を使って表現する
構造化していく時の考え方として『帰納法』『演繹法』があります。
- 帰納法:要素(事例)を書きだし、要素(事例)を見てルール付けをしていく
- 演繹法:最初にルールをつくって、そのルールに沿って要素(事例)を分類していく
要素(事例)のルールづけ(リスト・ラディアル・クラスター)する際、帰納法と演繹法を即興で使い分けていくとよいグラフィックレコーディングができるようになります。
ただ、最初は帰納法・演繹法を使い分けていくのが難しいため、それぞれのトレーニングをしてみると体で覚えていきやすいかなと感じています。
帰納法のトレーニングとしては『コンノ式』。
「1ページに1つの情報を書く」という基本ルールにのっとって、強制的に1ページ要素の内容を書き、ルール付けは紙を並べ替えして行っていくというものです。
演繹法のトレーニングとしては『ビギナー向けテンプレート』。
演繹法のテンプレートにそって、自分の考えたことを書いていきます。
最初にルールがあるので、その中で自由に要素をいれていきます。
演繹のテンプレートをどう使うのかは、ほんとに人それぞれ!
色の塗り方、縁どり方、STEPの表し方。
きまった構造でもこうまでしてバリエーションがでるのか!と驚きです。
ラクガキノート術のタムラカイさん!
矢印の下にある「会社の仕事もやらないと・・・・」の表現が秀逸。
いろいろな現場でグラフィックレコーディングをやっていると、私は以下の順番で構造化することが多いです。
- STEP1:演繹法で全体つかむ
- プレゼン全体の骨格をつかむ。骨格を形成するのは『問い』『意見(主張)』『その人のプロフィール』『意見を支える論拠2-5個』『根本思想』が多い。
※えてして『意見(主張)』『その人のプロフィール』『意見を支える論拠2-5個』は見えるが、『問い』『根本思想』はこの段階では見えない。
※なお、頭で骨格が全く読めないプレゼンも3割くらいある。そのときは『意見(主張)』『その人のプロフィール』『意見を支える論拠2-5個』がある前提で話をきいていく。 - STEP2:帰納法で要素書きだし繋いでいく
- プレゼンの骨格に従って、要素を書きだしてルール付けしていく。
- STEP3:帰納法と演繹法で全体ストーリー繋がるかチェック
- プレゼン終盤~終了直後で、『問い』『意見(主張)』『その人のプロフィール』『意見を支える論拠2-5個』『根本思想』がでてるかを見直し、足りないところがあれば補う。
「STEP1:演繹法で全体つかむ」については、難しいですが。
『意見を支える論拠2-5個』部分にまでこれができるようになると絵としてのクオリティ、伝わるレベルもとんでもなく上がるので、訓練していきたいところです。
たぶん演繹法で全体つかむ、という過程が「グラフィックレコーダーって先読みしてるの?予知能力あるの?」っていわれるゆえんじゃないかなと思います。
予知能力は残念ながらありませんが。
『伝わるものの構造』を知っているので、たとえ伝わりづらいプレゼンだとしても、その構造に基づいた『伝わるためのストーリー』にするための具体的手法を使うことはできます。
この手法はデザイナー限定とか絵心あるかどうかとは全く関係ないし、ましてや魔法なんかではありません。
「どうやったら相手に伝わるかな、わくわく!」と楽しみながら手を動かす訓練で身につくものであると思っています。
グラフィックレコーディングをやってみよう!
最後はグラフィックレコーディング。
TEDのプレゼンをきいて、グラフィックレコーディングをみんな描きあげます。
ずらり!同じプレゼンをきいても、一人として同じものができることはありません。
「これいいな!」と思ったグラフィックレコーディングに、「いいなと思った理由」を書いて投票していきます。
人のものをみて、何がいいかを考えるというのも重要な学びです。
ここもグラフィックレコーディング勉強会のこだわりです。
得票数の多かった人の作品の意図や、かいたときのコツ、みんなから評価されたポイントを共有していきます。
人の作品をみることで、次の自分の作品にとりいれていくべきポイントもみえて、目から鱗!なこともおおい瞬間です。
最後に、グラフィックレコーディングをどこでいかせそうか、というふりかえりをしました。
みなさんさすが、どんどん絵をかいてて楽しそう!
グラフィックレコーディング勉強会のメンバーが担った、パートパートのグラフィックレコーディングも並びます。
練習も大事だけど、本番で実際にやってみるとより大きい学びが得られます。
当日のスライドはこちら。
「できあがった雛形をあえて壊して、新しいものを生み出す」即興性
グラフィックレコーディング勉強会では、毎回ワークショップの度にファシリテーターとアシスタント、グラフィックレコーディング担当を入れ替えて実施しています。
「できあがった雛形をあえて壊して、新しいものを生み出す」グループでいたいから。
誰か一人がグラフィックレコーディングできて教えられればいい、というのではなく。
勉強中だからこそわかる「グラフィックレコーディングやってみたい!けど絵心なくて不安だなー」「少し書けるようになったけど、どうやって上達すればいいの?」という問いに寄り添うワークショップ設計を行っています。
(もちろん、技術サポートとしてのメンバーも常に参画しています!今回は私と、DeNAの和波さん、グラグリッド三澤さん皆がそろいました。)
ここは、私はじめメンバーの思想が強く反映している部分で。
私の場合、先が読めないハプニングをあえておこす!面白がる!そしてそこから何かを生み出す!という渋さ知らズのダンドリスト・不破さんの影響を強くうけています。
不破:参加者の中には、音大に入れるようなレベルの子がいたり、近い将来、いいジャズマンになれそうな才能の子がいたりするわけです。そういう子たちが、自然とできない子に自発的に教え始めたんですよ。始まった当初は、明らかにできる子はできない子を疎ましく思う感じもありまして。なんですけど、次第にみんなでやる楽しさを覚えて、「ここはこうすればできる」などと助言し始めたんです。つまり、ワークショップ内ワークショップが発生したんですね。本来の意味で同じ船に乗り始めるという現象です。僕はそれに感動しましたし、できる人たちの精神がより透明というか瑞々しくなっていくのを感じ、嬉しく思いました。逆にこちらの方が教わることが多かったですね。
その先にあったのは、「楽しさ」です。それを共有するために、子供たちがお互いに成長していったんだと思うんです。
(中略)
時を同じくして、フジロックにも出演を果たし、何万人ものお客さんが喜んでくれて、バンドマン冥利に尽きる思いだったのですが、阿部田くんがもう渋さ知らズは完成したからやめようと。今後やれることは、パターンを変えてそれを続けていくことぐらいしかできないからやめようと言うんです。僕もまったくその通りだと思いました。この先はないなと思いましたね。
100人超えの巨大バンド、渋さ知らズ率いる「ダンドリスト」流・人を成長させる方法
みんなでやる楽しさ、というのはまさにここにあるのかなーと。
この中から、コンノ式という初心者向けのグラフィックレコーディング勉強法や、ファシリテーター+技術サポーターという体制、グラレコそのものをどんどん工夫していく姿勢がうまれていくように思います。
この体制を確立した三澤さんを私はとても尊敬しています。
ちなみに、7月に開催する関西Devloveでのワークショップも、依頼をいただいたファシリテーター(私)以外の参加するメンバーはくじびきで選びました。
不破さんのいきなりな「お前とお前、立て!やれ!」状態。即興です。
不破さん、三澤さんに共通するのは、おもしろがれるダンドリストという点。
私はまだまだ腹をくくっておもしろがれずに「あわわ、手をださなきゃ」でイノベーションの芽をつぶしてしまいがちなので。
なんかこの即興を生みだしダンドリストできる力って、これから生きていくのにめっちゃ必要な気がする。
即興に応じた変化を受け入れる体制作り、新たなグルーブを生むファシリテーター=おもしろがれるダンドリストとしての動きを全うしたいと思います。
次の関西(大阪)でのワークショップ、こうご期待!
——-
おまけ。友人で今回のワークショップ参加者でもあるなごやんのグラレコ練習。
すごすぎる。予想の斜め上をいっててすごすぎる。
今度の東京でのワークショップは彼女にメインのグラレコしてほしい・・・!何がおきるかわからなすぎて楽しい!!
マッドマックス怒りのデスロード、ほぼネタバレの無い感想らくがき。覚えてる絵面で5分間一本勝負。
※グラレコ練習用 pic.twitter.com/tILbsdiZYF
— Yuki.N (@yuki0426) 2015, 6月 27
Leave a Reply