ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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UXデザインのための観察リサーチ入門 ~ユーザーテスト、ユーザーリサーチの基礎力を体験して学ぶ~を開催しました

img_150906産業技術大学院大学人間中心デザイン同期のメンバーを中心に、「みる研究所」という組織を立ち上げまして。
第一回のイベント『UXデザインのための観察リサーチ入門 ~ユーザーテスト、ユーザーリサーチの基礎力を体験して学ぶ~』を開催しました。
「みる」(今回は観察(オブザベーション))することの必要性、そしてワークショップで得たかった学びについて、色々考えさせられたイベントでした。
今回はそのあたり、つらつら書いていきたいと思います。

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・webサイトは作成中

「みる研究所」について

UXデザインを学び、実務をやっていく中で痛感したのは、『一人でやることの限界』でした。
自分とは違う多様なステークホルダーと一緒に、自分とは違う多様なユーザーのためにデザインをする。
そんなものづくりの過程において、どんなに学んだとしても、自分の力の及ぼせる範囲は限界がある、と痛感しました。
同時に、誰かの意見から想定してない世界が開けるのを何度も何度も感じました。

ずっとこうやって、ものづくりをしていきたいなあ。

そう思ってた矢先、代表の津崎さんの「産技大のメンバーとこれからもつながっていたいーーー!!」言葉に思いっきり引きこまれて。
組織を超えてUXデザインを学び、実践する場として「みる研究所」を立ち上げるに至りました。

デザインにおける「みる」ことの大事さ

「みる」とは何か?

「みる」ことがデザインに大事なのは、みることがデザインの一番の起点になるからです。

この「みる」というネーミングは「見る」という行為からきています。
「誰のために作るんだろう?何のために生みだすんだろう?」
モノづくりに携わる人なら、きっと考えたことがあるはず。
このデザインの目的・意義を考える出発点が
「みる」という行為であると、私たちは考えています。

「みる」という行為を起点とし、
組織や職種の垣根を越えてともにモノづくりに取り組むという
共創のあり方を世の中に広げていきたい。

(みる研究所のCREDより)

ユーザー(対象者)をみていると、行為や行動がまず目に入ります。
でも、なぜそれをしているのか、どう思っているのかという思考や感情は、目に見えません。
ユーザーの体験は、目に見えるもの(行為や行動)+目に見えないもの(思考や感情)で成立しているのです。

この目に見えるもの(行為や行動)+目に見えないもの(思考や感情)両方をみる行為が、「みる」ことであると私たちは考えています。
「みる」ことで、ユーザーの体験を自分ごとになり、ユーザーが求めるものを理解し、何を優先してデザインをすればいいかの意思決定が皆でできるようになります。

「みる」=ユーザーの体験を自分ごとにして、ものづくりを続けるパワーになる

ユーザーの体験を自分ごとにしていくには二つ手法があります。

  • 自分の体で体験する・・・自分でユーザーと同じ体験をして、思考や感情を自分のものとする
  • 体験した人からきく・・・実際に体験をした人からきいて、体験として理解する

どちらも有効な手法だとは思うのだけど。
長い人生で色んなものづくりをしていくにあたっては、体験した人からきくという部分はとても大事です。
自分の人生とか体験できることに絶対限界はあるから。(例えば私は人生において『男性』としての経験はできません。)
でも、自分でできない体験も、体験した人からきいて自分ごとにしていくことはできるんです。

ユーザーのことを自分ごと化する、というのは、自分が対象ユーザーの時だけに限ってできるものではない。
ましてや、才能ある一部の天才だけができるようなものでは決してない。
学習と訓練で実現できるものなんです。
そう思えることが、自分のものづくりに対する「どうせ自分は天才じゃないし」という諦めリミッターを外してくれます。
仮に仮説が外れてつくったものが想定の結果を得られなかったとしても。
「この仮説は外れたけど、次はこっちかな!」と、もっともっと学んでやってみようという持続可能なエネルギーを生み出してくれるように思います。

「みる」手法を選べることで、プロジェクトを前進させられる

ワークショップでは、とある利用状況の中での「みる」、オブザベーションを実施しました。
ワークショップの中で「利用状況を指定する必要性がなぜあるのか?」という趣旨の質問をうけましたが。
「みる」ことの目的によって、見方もかわってくるなと感じています。

  • 利用者、利用状況、目的が見えないとき⇒気になる点にフォーカスをあてて行動行為と、思考感情をぬきだす。探索的。見えてない価値発見につながるので、新規事業を考える時とか使えるかんじ。
  • 利用者、利用状況、目的が見えているとき⇒ユーザーの行動行為と、思考感情を細かくぬきだす。探索にも使えるけど、評価としても使える(ユーザーテスト等の時など)

どんなにみたくとも、ユーザーの全てを「みる」のはできません。
その時のプロジェクトの状況、目的に応じて、最適な手法を選べると、仮説をうみだすのがぐっと楽になります。
世の中のどんなプロジェクトも納期があるし、工数に限界もある以上。
限られた時間の中で、プロジェクトを前進させるよい仮説を生みだす手法を選べることは、UXデザイナーの大事なスキルではないでしょうか。

ワークショップで得たかった学びについて

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「観察することで、自分のバイアスがあることを体をもって実感できた」
そう参加者の多くの方に評価いただけたワークショップだった点、とてもありがたいなと思いました。

実はワークショップを生みだす過程は、だいぶ難産だったと思います。
ワークショップのテストは5回以上?
毎晩毎晩、同僚や仲間に手伝ってもらって実施していました。
開催直前はほぼ毎日のようにテストや確認を行っていました。

ワークショップは、参加者が何かを一方的に教えられる場ではなくて。
普段考えないような『問い』があることで、参加者皆に考えてもらうきっかけとなる場だなーと思います。
この『問い』こそが、ワークショップには大事。

今回はその『問い』を生みだすのが難しかったです。

今回は、「みる」という「(1)見る」⇒「(2)行動・行為を書きだす」⇒「(3)仮説を立てる」⇒「(4)意図を聞く」というプロセスをまず体感できるというのがワークショップのコアでしたが。
同時に、「(2)行動・行為を書きだす」⇒「(3)仮説を立てる」の過程で、「なぜ他の人はその仮説をたてたのか?」という問いを考えたいなと思っていました。
その人がたてた仮説の裏には、その人の価値観…累積された経験(成功も失敗も)、生まれ育った場所、文化、価値感、思考の癖、体、性別、今の環境など、様々なものが影響していると思うのです。

「Aさんは自分とは違う仮説をだした。なぜならAさんは自分とは違う他人だから。実際のユーザーの意図は、仮説とあっていた/違っていた。」
その違いそのものを体で学ぶのってものすごい面白いんだけど。
その違いを生み出す要素を分解できると、ユーザーの意思決定と結果としての行動のメカニズムがわかってくるし、一人の人間として捉えていく=自分ごとにできるんじゃないかなーと私は考えています。
次はここまでいけるようなワーク設計にできたらおもしろいんじゃないかなーと思ってます。

マンガや小説書く時、「ああ、この人ってこういう行動をとるよね。その人はそういう行動とるよね。」があってはじめて、読者からの共感はうまれると思うのです。
全てが作者の価値観と同じ人間しかいないとそもそも読むに堪えない作品になってしまうし、登場人物の行動が一貫性なく破たんしてる状況の中無理やり話をつなぐと、ただのご都合主義的ストーリーになってしまいます。
デザインも同じ。
自分ではない、誰かのためにつくるのだから。

当日の今野さんのグラフィックレコーディング。
ワークショップ参加者をひきつけていました。

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またみる研究所では、ワークショップ企画を進めていきたいなーと思います。
UXデザインに興味がある方、ぜひご参加いただければ幸いです。
もちろん実践もしており、UXデザインの案件もうけおっています。
気になる方はぜひお声掛けください!

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