ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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そうだ、ユーザーテストのユーザーテストをしよう!『ホリエ式』について

151209この記事はUX Tokyo Advent Calendar 2015の9日目の記事です。
ここ数年の上司・仲間との活動が実って、社内ではユーザーを見ることでの設計の大事さが少しずつ根付いてきてはいるものの。
まだまだ属人的な部分や、やれてないなあというところもたくさんあるのが現状です。

特に最近「うおおどうしよう!」と思ったのが、ユーザー調査のまきこみ方。
社内でとあるサービスのユーザー調査(ユーザーインタビューとユーザーテスト)をすることになったのですが。
「今回、ユーザー調査が初めて!」というメンバーが大半でした。

その中で自分がどういう関わり方をすると、プロジェクトに活かせるデータをとることができるんだろう?
それぞれのプロジェクトにもちかえって活かすことができるんだろう?
初めてのメンバーでも興味をもって楽しく関われることができるんだろう?
色々悩んでた時に、ユーザーテストのユーザーテスト兼勉強会の場として同僚が提案してくれた方法がすごく楽しかったのでブログにのこしておこうと思います。
名付けて『ホリエ式』(ホリエさんが提案したので。安直w)

ユーザーテストのユーザーテスト兼勉強会『ホリエ式』について

事前準備

・ユーザーテスト用の記録用紙(行動・思考発話を記録できるフォーマット)を用意
フォーマットは 【マンガ】成果を出す!手作りユーザーテストのすすめ に記載した内容

・ユーザーテストのタスク設計は本番と同じものを自分(経験者)がやっておく

・ユーザーテスト開始時のトークスクリプト、OK会話集、NG会話集をつくっておく
ユーザビリティエンジニアリング(第2版) ―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―をコピーして渡す。

『ホリエ式』スパルタ塾

・1限目 15分「15分でわかるユーザーテスト」
実際のユーザーテスト短縮版。解説なしとりあえず見ろ精神。
進行役は私、被験者は参加者の中から任意、記録者はホリエ氏(=ユーザーテスト経験者)

・2限目 15分「15分でわかるユーザーテスト解説」
実際にとった記録を見ながら・おさらいしながら何をしていたか説明。

・3限目 60分
「スパルタ実践。30分で実際にユーザーテストやってみよう」
1班A:進行 B:記録 C:被験者
2班DEF3人:ギャラリーは良い点改善点を1班に伝える

2班D:進行 E:記録 F:被験者
1班ABC3人:ギャラリーは良い点改善点を2班に伝える

総括

事前準備の意図

・自社では、ユーザーテストの記録フォーマットを統一するために、行動・思考発話を記録できるフォーマットを用意しています。
書く人が自ずと行動と思考発話を切り分け、集中してかきとれるようになっているので、毎回重宝しています。

・ユーザーテストのタスク設計は、正直初めてのメンバーには重い荷だなと感じています。
今回は3プロジェクトで利用する目的があったのでプロジェクトメンバーに「このデータとれたらどう使いたい?」と事前ヒアリング⇒タスク設計⇒調査目的の明示を私のほうでやってしまいました。
設計こそ肝なれど。初チャレンジの人には、まずは『ユーザーテストってどんなん?』を体で覚えて、その大事さとかおもしろさを知るほうが次につながるのかなーと最近は思っています。

・トーク集用意するのも、質のよいデータをあつめやすくするため。
本当は「なぜその質問がいいか?」等質問方法について座してみっちり学ぶのがベストとは思うのだけど。現場だとその時間がないので先人の姿をみて学べ方式です。
ただ、さすがに誘導尋問とか、なぜなぜ攻撃、自分の仮説検証に走り出すような「こういう質問はNGだよ」例はつくり、共有しました。

『ホリエ式』のねらいと実際にやってみた感触

・とりあえず目の前で見てみる。
ユーザーテストがなんぞやという説明をするよりも、目の前でやってみせたほうが「それがなんなのか」は伝わるなと感じました。

・みたものの解説
実際にやったユーザーテストをねたに、基本的な流れ(イントロの説明、ユーザーがさわっているときに観察してみているところ(行動や思考発話)、ユーザーから質問をうけたときの返し方)のネタバレをします。
自社では、必ず進行の人と一緒に記録者をユーザーテストにはつけています。
進行の人のやったことのねらい、そこを記録がどうかきとっていったのかというのを対にして見せていくことで、それぞれの役割がだんだん見えてくるようになります。

・スパルタ実践
あとはもう実践。あんちょこみながらでいいので、ユーザーテストを実践してもらいます。
ポイントとしては、ギャラリーが実際に見ながら、実施した人たちの「よかった点」「改善点」を考えて伝えるというところ。
人の進め方を能動的にみられるようになるし、「おお、これはいいな!」と思った点を場に共有していくことで皆がそのいいところをとりいれてみたくなるのです。
また、改善点についても、自分一人では気付けない部分につっこんでもらえるので、「本番はこれを気をつけよう」とチャンレジしてみる気持ちになるみたいです。
ここからどんどん場があったまっていくのを感じました。

・総括
実際にやってみて、じゃあユーザーテスト本番ではどんなことをしたい?を雑談。
「フォーマットはこの欄がほしい!」「ユーザーの背景をきく質問をもっとしてみようと思った、ユーザーインタビューもしっかりきこうと思う」「このタスクって実は○○じゃない?」と、本番にむけてすごく意見がでてくるのです。
今まで一方的めな座学でユーザーテスト勉強会やってきたときより、皆が本番を楽しみにしている感。
はじめての熱量だったので、すごくわくわくしてしまいましたw

———-

ユーザーテストというと、なんか専門的・体系的な知識、機材の使い方を知ることが必要なのかな・・・と最初は尻ごみしてしてしまう部分があるなと感じています。
自分がユーザーさんの前で失敗したら、せっかくきてくれたユーザーさんにも申し訳ないし、プロジェクトにとっても残念な結果になってしまう・・・少なくとも、ユーザーテストをはじめた頃、私はそんなどきどき感でいっぱいでした。
だけど、その一歩を恐怖ばかり考えて踏み出さないのはもったいないなと思うのです。

もちろん、ユーザーを見るという行為はやればやるほど、専門知識や体系的な知識、経験や共感する力が必要だと痛感します。
でも、まず最初は。
ユーザーをみてみることで、「気づいてなかったいろんなものが見える!」というおもしろさに一番にであってほしいなあと私は思うのです。
『ホリエ式』の価値は、この出会いをひきよせる大きな力になるなーと感じています。

「気づいてなかったいろんなものが見える!」というおもしろさは、新たな発想に繋がるし、チームでの推進力をもうみだす。
まだその発想部分や、推進力となれる部分を、自分が組織で拡げてきっているかと言うと答えはNO(苦笑)。
一気に拡がる気はまだまだしていません。
少しずつ、少しずつ、組織でゆっくり育てていければいいのかも。
『ホリエ式』がうみだされたように、きっといろんなやり方が、みんなの中からでてくる日がくると思うのです。

それが組織の中で、UXデザインが根付いてくるということではないでしょうか。

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