ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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webディレクターが人間中心設計(HCD)専門家認定制度うけてみた話

img_160223webディレクターやってはや10年。
サービス開発の現場に立ってUIとかUXとか考え続け、気付けば5年。
一つの区切りとして「なんかやったぞ」感をのこしたく、人間中心設計(HCD)専門家認定制度をうけてみました。

12月は受験申し込みだけした

受験申込書をだしたあと、12/26~台湾に旅行⇒年末夫の実家にいき、そのまま年始まで帰宅しないという生活をしていました。
当然申請書類は一切手をつけず。
1/1に帰宅して、「年始だしやるか!」という謎の年始の勢いにかられる中。
このスライドみて脱力しました。

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無理ですからぁってアンタ。

・・・そして書き始めて、「無理ですからぁ」をかみしめました。

私のやった案件、どこにかけばいいの問題

人間中心設計(HCD)専門家の書類のうち、特にボリュームが多く大変なのが、B3『B-3 コンピタンス記述書(専門家資格受験者)』。
大量のexcelのセルをみて、まず愕然。

そして、上から順番にうめていくのですが。
『B1 プロジェクト企画能力』をかいて、さあ次は『B2. チーム運営能力』『B3. プロジェクト調整・推進能力』だ!と思って項目をみると。
・・・・あれ、B1で書いたことと同じことかいてない?
同じことが、Aの12個のHCD基本コンピタンスにもいえます。

「とりあえず何も考えず書こう、あとからいらん部分は消そう」と思い定め、かきたいことをあっちゃこっちゃに書き散らした結果。
私の年始の休みはすぐに終わり(たぶん8時間くらいは使った)、1案件(しかもユーザーテスト企画実施というだけの、一番軽いはずの案件)しかかけない状態となっていました。
どう考えても書きなおししないといけないクオリティ。
この状態で締め切り前一週間前だったら、絶対先のボリューム想定して絶望して出願諦めていたと思います。
ああ。これが「無理ですからぁ」なのね・・・・

年始に会社にいって、コンピタンスを印刷して眺めてると。
ふとどこに何をかくべきかが見えてきた瞬間がありました。
「ああ、これHCDの各サイクルの部分を集中して書けばいいのか。」
↑言葉でいうのは簡単だけど、感覚としては伝わりづらいので。
ここを今回言語化してみようと思いブログをかきました。

『B-3 コンピタンス記述書』=家庭料理の状況・課題をこまかく書いてくかんじ。

私はこのコンピタンス記述書を書く大変さを、「正しい料理方法を知った上で、家庭で毎日のごはんをつくれるようになったことを文章をかいて証明する」という風に感じています。

例えば、『だしをとる』という過程。
・だしが必要な理由:うまみのもとになるから。特にグルタミン酸イノシン酸を組み合わせると人間はうまみを感じやすい。過剰な油脂や糖に頼らなくてもおいしさを感じることができる。
・だしのとり方:冷たい水にこんぶをつけて、ふっとう直前になったらかつぶしをくわえて、そのあと濾して冷蔵庫で保管。

でーもーねー。
一般家庭で毎日毎日だしをとるって大変です。
そんなときに、『B-3 コンピタンス記述書』風にかくとこうなるのかなと思います。

課題/目的の明示
・私は共働きで、毎日帰宅が夜遅めで、しかも体力ない。深夜に食べると太るので、できるだけすぐごはんをつくりたいと思っている。

・でも、おいしくて健康的なものを食べたい。夫の健康診断の結果も気になる。

・塩分をとりすぎないように、だしをしっかりとりたいと思う。

なぜその方法を選び、どのように企画設計したか?工夫したことは何か。
・うまみ成分をいれて、過剰な塩分をとりすぎないようコントロールすることが味噌汁の調理には求められる。

・だしはパルシステムの顆粒だしを利用することにした。パスシステムの顆粒だしは、化学調味料の強い味がせず、味わいがやさしく自然なだしの味に近しいため。また、ふりかけていれるだけのため、だしをとる時間を圧縮することができる。

・また、パルシステムの顆粒だしは1本で味噌汁4杯分つくれる仕様となっており、1回につき半分を使えばいいため、利用量がわかりやすい。塩分とりすぎを自然と防ぐことができる。

・水300mlに顆粒だしと、うすめの半月切りにした大根をいれて、大根に火が通るまで沸騰直前の状態で火を通した。大根に火がとおったら、油揚げを入れ、味噌をいれ、放置し他の炒め物料理を作成。この放置時間でさますことで、食材に味がしみることがねらいである。また、炒め物は先に作ると放置できず水分がでてくるので、煮物の工程を終えてから調理を実行することとする。

・炒め物料理を食卓にだした後、再び火を入れて味噌汁をあたためる。このとき、ふっとうすると味噌本来の風味がとんでしまうので、沸騰させないように気をつける。

・味噌汁をお椀にもる。このとき、大根の葉をきざんでのせる。彩りよく見えるようにするためと、栄養価をあげるためである。大根の葉は緑黄色野菜に分類され、βカロテンやビタミンを多く含んでいる。

どうでしょう?
「大根とあぶらあげの味噌汁をつくる」という味噌汁をつくるという行動すら、長くなるので書くのがすごく大変なのです。
また、背景情報は自分にとってあたりまえの情報で。
このあたりまえの状況を客観視して、手法をえらんでいくということ自体、けっこうやれてない部分なのかんとかんじました。
(例:お母さんがいつも顆粒出しいれてたから、私もなんとなく顆粒だしつかうもんだと思ってた状態)

トータルとしては、各コンピタンス、脳内でこんな変換をしてみると、直感的に理解できるのかなーと感じています。

A:料理の基本力
※料理プロセス⇒家族を見る・何が必要か考えて外化・献立つくって料理・評価する のもとになる力
【家族を見る】
・A1 食べる家族について調べる時、どう調べるか考える能力
・A2 食べる家族の行動や好みを調べる能力
・A3 調べた内容を分析する能力
・A4 調べた内容を見える化する能力
【何が必要か考えて外化】
・A5 食べた家族がどう幸せになるといいか考える能力
・A6 家族がどんな献立や栄養を食卓に求めているか検討する能力
・A7 長期的に家族が健康でいるために栄養を考え、毎日どうやれば持続可能に食卓をまわせるか考える能力
【献立つくって料理】
・A8 栄養を考える能力
・A9 料理をつくる能力
・A10 献立をつくる能力
【評価する】
・A11 下味つけた段階で調整していく能力
・A12 家族に味見してもらい、その結果をうけて改善しおいしい料理につなげる能力
・A13 するどい舌で味見する能力

B:毎日の台所をつかさどる力
・B1 今の家庭に必要な毎日のごはんを考える力
・B2 手伝いする家族をまきこむ力
・B3 現状の家庭状況にあわせて料理をする環境をつくる力

C:自分の家や親戚の家庭に料理プロセスを教えていく力
※料理プロセス⇒家族を見る・何が必要か考えて外化・献立つくって料理・評価する
・C1 どうすれば自分の家族や親せきの家に料理の一連プロセスを伝えていけるか考える力
・C2 自分の家族や親せきに、料理のプロセスを伝える力
・C3 自分の家族や親せきが料理のプロセスをできるようにそだてる力
・C4 自分の家族や親せきが料理のプロセスをできるようにそだつため、教える手法を考える力

L:ひとと一緒に料理をつくっていく時のテクニック
・L1 人と一緒に料理をしていく際、献立や料理をうまく文書で伝える力
・L2 人と一緒に料理をしていく際、献立や料理がすてきなおいしそうなものと感じられるようみせて伝える力
・L3 人と一緒に料理をしていくために、家族や親せきをうまくまきこんでいく力

大事なのは、
・自分のおかれた背景状況を客観的に理解すること
・その状況にあわせて、基本をしったうえで、適切な目的設定をし、適切なタイミングで、適切な効果を得られる手法をくみあわせること
・手法にたいしての評価を行い、次につなげること
だと思います。

知識を多くもった人とか、手法をたくさん知っているひとが専門家なのではなく。
この状況把握および適切な手をうちつづけられる人が、人間中心設計専門家なのかなと感じています。

この感覚を得た時『B-3 コンピタンス記述書』がとてもかきやすくなりました。
まあそれでも大変だったんですけどね・・・・。たぶん60時間くらいトータルでかけてると思います!

人間中心設計で大事なこと

「UX学んだから、手法たくさんしってるんだよね、知識がたくさんあるんだよね」
産業技術大学院大学にいって、人間中心設計を学んだとき、会社でそういってくる人がいました。

違うんです。
知識量とか手法できる人じゃなく、現場で活かして事業を前にすすめてこその力なんですと。

私のもってる現場は、別にそうひろい台所ではないし、最先端のイケてる調理器具とか最先端の調理人がいるところではないと思います。
私自身、じゃあ最先端のスキルもった料理人かっていうと、絶対NO。

でも、ものをつくるときに、つくって誰かにみせて、こわして、またつくって…というプロセスはそれなりにまわせるようになったんじゃないかなあと思うのです。
まだまだ修行中ではあるけれど。
専門家とれるかとれないかはわかりませんが、書いたことでなんかすっきり、次へいける感がしてきました。

そんなことおもいつつ。
今日は夫も長期出張でおらず、自分ひとりのため、大鍋に牛肉1kg+筋肉いれて、大量の牛筋にこみをつくってしまいました。
しかも1品だけ。
大根人参つっこんでるけど、栄養かたよりまくりです。料理プロセス設計能力ゼロ。
すごいうまいんだけど、誰がたべるんだろうなあこれ。

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