webディレクターの阿呆な研究

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UXデザイナーが直面する、体や心を壊す状況について

160531_imgUXデザインの業務をはじめてはや5年。
自分自身も三十路超え、ついでに体重も肥え、文字通り『脂がのってきたかんじ』の状況ですが。
5年の中で、先輩方が体を壊したり、自分自身もあと数歩で体を壊すのでは?というところにいったことを、ふと@VoQn氏のツイートでおもいだしました。

※詳細 @transit_kix姉さんがまとめてくれている「酔ったぼうくん氏語る「ポジションに据える形での“UIデザイナー”というセクショニングの危険性」

「フルスタックデザイナーになろう!デザイナーもコードをかくのが当然」「デザイナーもUXデザインで上流工程へ」「webディレクター不要論」「いやディレクターこそUXデザインでグラフィックデザインできるように」とか、いろんな要望がデザインの現場でとびかう今。
その言葉の強さと、潜む怖さを感じ、じゃあデザインの現場にいる人間としてどうしていくのがいいのかなと思い、つらつら文章をかくことにしました。

UXデザイナーが直面するシチュエーション例

私がみてきた中で、よくあるパターンをまとめました。
なお、まじめにCJMつくったりペルソナつくってるわけじゃないのでその点ご注意ください。

プロジェクト開始時

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  • 行動:「よーし、調査も制作もしっかりやるぞー。ユーザーのためになるいいサービス作るぞ!」と意気揚々と早速リサーチ計画を始める(調査、要求事項の提示、設計、評価に加え。グラフィックデザインやコーディングもできる人も一定数いる。)
  • 感情・思考:UXデザイン業務全部に入れることにやりがいをかんじる。「任されてうれしい!」

調査、要求事項の提示(要件定義)

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  • 行動:リサーチしてペルソナ像やユーザーの行動をモデル化しようとするが、やれたらいいなという調査がすべてはできない状況になる
  • 感情・思考:すべての人がのってくれるわけではなく、プロジェクト内で「あのひと何やってるんだろう?」という視線も感じてる
  • 感情・思考:プロジェクト内でだいたいユーザー像はそろってはくるんだけど、声が大きい人の意見に全体がひっぱられて悪戦苦闘するときも・・・うーんどうしよう・・・
  • 感情・思考:ちょっとした違和感は感じつつ「仕事だからすべてがうまくいくわけではないよね。」と思う。

UI設計→グラフィックデザイン→フロントエンド

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  • 行動:えてして結構一人でできてしまうので、UI設計からグラフィックデザイン、時にはフロントエンドまで一人でがんばってしまう
  • 行動:ビジネス的な課題やシステム的な課題が発生し、UIでそこをフォローしなければならない時がでてくる。
  • 行動:当初考えてた設計も、グラフィックも、フロントエンドも、全体設計がなんだかしっくりこない。
  • 感情・思考:一人で全部完結するから「早い!」とみんなに喜んでもらえる。嬉しい。
  • 感情・思考:全体を苦労して設計したんだけど、「ここなおして」と的外れのところを指摘されているように感じる。「ここ直すのって全体に影響がでてしまうんだけどなあ・・・」
  • 感情・思考:「なんでビジネス的な問題をUIでばかり吸収しなきゃいけないのかな。自分たちで考えたユーザー体験がいまいちになっているような気がする。でもどううまく伝えよう。」
  • 感情・思考:「自分はこんなに調査も設計もデザインもフロントエンドもがんばってるのに。他の人が『調整しきれない』ていうのって無責任だよ・・・」

プロジェクトが進むにつれて・・・

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  • 行動:リリースするための調整、売り上げをあげるための調整、偉い人からの突然の意見など予期してなかった状況が発生。自分が修正をする立場になる。
  • 行動:修正箇所がたくさんあるので、少しでもよいユーザー体験のために関係者調整に乗り出す。でも解決はしきれない。
  • 行動:修正が一人の手ではおえなくなる。しかし調査、要件定義、UI設計、グラフィックデザイン、フロントエンド、全部が密接に結合しているため、一人のほうがはやいとみなされる(もしくは自分でそう判断する)
  • 行動:あまりにやばそうと周囲が判断したら、他の仕事せずコアの仕事だけをするように調整してもらえる。
  • 感情・思考:もっと設計もよい方法があるからなおしたい、なおしたい。でも提示された修正もなおさなきゃ。
  • 感情・思考:でもこの修正指示理不尽だし、ユーザー体験損ねそう。がんばって関係者調整をして、自分が食い止めなきゃ!
  • 感情・思考:でも食い止めきれない・・・こんな実装やりたくないなあ
  • 感情・思考:修正多いけど、今から誰かに助けてもらうイメージがわかない。誰かがはいっても説明する気力ないし、あたってしまいそう。一人でやらせてほしい。
  • 感情・思考:仕事の調整してひたすら修正対応。深夜土日でどうにかやってるけど、なんのためにやっているんだろう

ゾンビ化

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  • 行動:責任感があるがゆえ、作業の手は進める。修正はある程度進むし、サービスもどうにかリリースをむかえる。
  • 感情・思考:でも、あまりに未完成なところや本筋ではない修正が多すぎて、やりきれない自分がどんどんつらくなる
  • 感情・思考:やる気を時々復活させても、穴のあいたバケツのようにどんどんもれていってしまうように感じる

そして特徴的だなと思うのが、環境によってはこのループが繰り返されがちという点。
プロジェクトはリリースしているという事実もあるのですが。
それ以上にまた本人自身が責任感をもっていること、またプロジェクト内でうごく力、手を動かす能力も一定以上あるので、どのプロジェクトにはめても機能しそうに見えるのです。

でもこのループに何回もはまりつづけると。
人はどんどん体を壊すし、心も病んでしまいます。

そして完全にゾンビ化すると。
最終的に、攻撃性がでてきて、組織や家族、何より本人が一番しんどい状況になってしまうのです。
・外への攻撃→「どうせあいつらわかってくれない」と、会社や周囲の人の悪口を内外構わずいってしまい、周囲との関係性が悪化する
・内への攻撃→体と心のどっちかが壊れて、もう片方もあっというまに引きずられてある日突然会社に行けなくなる。働けなくなる。

※なお、ゾンビになった後、まれに仙人になる人もいます。達観するんだけど、人里離れて晴耕雨読の生活する的な。。

UXデザイナーが持続可能にはたらくためにできること

転職時、プロジェクト開始時のロールをすりあわせる。

自分ができる役割を言語化し、転職の面談やプロジェクトの上長に説明。
「ここはできますが、ここはできません」
「ここは前回プロジェクトで担ってしんどかったので、持続可能性を考えてこうしたいです」を伝えるのがまず基本かなと感じます。
このあたりは坪田さんの「デザイナーに必要なコミュニケーション能力とは何か」がすてき。

私はすてきなシート的なものだせず申し訳ないのですが。
自社のUXデザインの業務の説明するとき、以下HCD-NETの表をちょっと加工して、人にみせています。

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「私は(デザイン仕様作成能力=)グラフィックデザインはできないんですー、そこは人をいれてください」と話す。
「プロトタイプでコーディングやエンジニアリングはできないけど。invision使って評価する、もしくはペーパープロタイプで実施する、データが大事なECサイトの場合は開発のなるべくはやめにユーザビリティテスト追加するなど、場に応じた設計をします」とか。

プロジェクトの持続可能性を目的として、ロールを分割する

プロジェクトとして一人で担うのが持続可能性としていいのか?というと、人並外れた体力と能力がある人をのぞいては私は微妙だなーと思います。(まあ世の中にそんな人がいて、目立っているからつい目指しちゃうんだけどさ。)

現実的には。
ロールを分割して、例えば「あるプロジェクトでは手を動かすロールから離れてファシリテーターとして立つ」「このプロジェクトは規模が小さいからグラフィックもUXデザインもやりきれそう、でもフロントエンドは○○さんに。」など、プロジェクト状況に応じて検討するほうがベターじゃないかなと感じています。

もちろん、スタートアップや新規プロジェクトなど、ロールをあえて分割しないフルスタックな人のほうがベターな組織はありますし、それを否定するつもりはありません。
ただ、上記のゾンビ化サイクルが続くようなら、それをとめるよう、どこかで声をあげるべきなんじゃないかとも思うのです。

UXデザイナーが「持続可能なサービスのために、ステークホルダーをまきこんでつくっていこう!」といっていながら。
とうのUXデザイナー自身のロールが一番持続可能性がないというのは大きな矛盾です。

今自分の体や気持ちの状況をみて、今の環境でどの程度持ちそうか?を考える

上記のようないろんな役割になってて「楽しい!もっとがんばろう!」だったらすごくいいと思います。
ただもし、未完了積みあがって、体も心もぶっ壊れる怖さがどこかにある状態にあるのだとしたら。
「あと1年、このスキルを得たらここは出よう」と決めて挑むのも一つの手だと思います。

いい組織であれば相談しながら環境の改善をおのずとしてくれるだろうし、組織的な要因があり環境が改善することもあります(事実自社も、外部要因ありつつ上長たちのケアもあり、環境が昨年度劇的に改善しました。月残業時間が70-80/hだったのが一気に40/h程度に。)。

これ考えるときに、一個私はNGと思う問いがあって。
「自分があとどのくらい頑張れそうか?」という問いはやめたほうがいい。

えてして私がみてきた周囲のUXデザイナーは、もうすでにみんな相当頑張ってるんですよ。
手を動かして、利害関係者の調整もして。残業たくさんして。
後輩がいる立場で、中堅としてのよい働きを求められるし、実際評価もされている方も多くいました。

そこに「頑張れそうか?」=という前向きな質問を自分自身にぶっこんで、前向きな(ながめの)期限をだすと、「頑張らなきゃいけない」に体や心が縛られて、体や心を壊すもとになってしまいます。

おまけ:30代女性としての働き方

もはやここからは思ったことを叫びます。

体力の限界あるし、職業キャリアが止まる時期あるなと感じる

生理期間がマジつらいからピルのんでがんがん仕事したい。
でもどんなに体力つけたり、薬をのんだところで、子供を生むこと考えると先々考えるとどっちみち男性と同じように仕事するなんてできないのはわかっている。
どこかで職業人としてのキャリアを休める時期はでてしまう・・・うう負けず嫌いなのでわかっちゃいるけどここは本気で悔しい。。

とはいえ、『副業(複業)』としての『お母さん業』はおもしろそう!

結婚してよかったのは、家庭という組織の中で『嫁業』が発生したことだと思う。
相手がいないと絶対いかない場所にいったり、人とであったりとか。
そうした会社以外の組織で役割を担うということは、自分を広げてくれるし、ものの見方を大きくかえてくれる。
『お母さん業』ってその最たるものではないかなと考え中。

『副業(複業)』としての『お父さん業』『お母さん業』、『PTA役員』『地域のボランティア』も立派な「フルスタック」だと思うよー

フルスタックというのが職場内に限られてみられてるので、東京のITデザイン業界いる若い人みんなそっち目指すし三十路は焦るけど。
別にデザイナーがコードかけなくたって、UXデザインできなくたって、ディレクターがグラフィックデザインできなくたって、他に担う役割があるってとても大事。
そこで得た知見やものの見方って、ものづくりに強く反映されるのです。

あ、もちろんどの職種もその状況に応じた学びや知識のブラッシュアップは必要と思うけど。
年単位でトータルでみてバランスとれればいいんじゃないかなー。
そしてそのバランスとりやすい制度ができてほしいし、都度相談提案していきたい。

持続可能なプロダクトづくりは、持続可能な自分の仕事づくりから

我が家は父母の家系とも鬱病に縁がある完全サラブレッド的な血筋。
ぶっちゃけ色々相談してる、先を気にしてるのも「鬱病が本当に身近で、いつか絶対自分がかかりそうと確信しているので、予防を丹念にしている」というのが正しい。(あーいっちゃった。)

いくつになっても、持続可能に働きたい。
持続可能に働くことが、社会で自分の価値を最大に発揮し、幸せに生きることなんじゃないかなと思う。
正直いろんなチャンスはあったのかもしれないけど、やっぱり私は『持続可能』というのが一番のキーワードで、少ない体力値や疾患予防しつつ、できることを行動しているという状態。

本職で挑戦しない部分もあるなんてぬるい、とうつる人もいるかもしれない。
10年前の自分だったらそういいそうだな。うん。
でもねー、本職以外もやったからこそ見えるものってたくさんあったなーと実感するのです。

そういう迷いは私が生きているからこそ発生するものだし、となりに、そして周囲にいてくれる人もいることだし。
できえる範囲で、できることを、持続可能にやりつづけるのがきっとみんな幸せなんじゃないかな、うん。

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