ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

Read Article

eVar7 Adobe Summit 2016報告会にいってきた

160601eVar7 Adobe Summit 2016報告会にいってきました。
このところずっとHCD(人間中心設計)のプロセスぐるぐるしていたため、マーケティング系の仕事はしていなく、Adobe系の解析ツールから離れて久しい状態でした。
ただ、今担当しているサービスでマーケティング系に類する仕事が自分の範疇に再び戻ってきそうな状況や、登壇者で話をききたいトークもあり。
「Adobeのマーケ系ツールのユーザーではないけどご容赦を・・・」とどきどきしながらAdobe Summit 2016報告会にいくことにきめました。

全体グラフィックレコーディング(ざっくり)

160601_sumitt
※Adobeの安西さんのセッションは途中からしかみれてないので、前半がありません

気になったポイントをいくつかあげていきます。
・テクノロジーによる最適化→組織づくりの流れ
・Goods Dominant Logicから、Service Dominant Logicに移行している流れ
・AdobeのExperience中心のマーケティングと、人間中心設計の違いについて

テクノロジーによる最適化→組織づくりの流れ

技術の進歩でどんどん最適化のツール、ブラッシュアップがすすんでるんだなーという点はすごすぎて、正直追いつけてないなと実感しました。
特に気になったのは、DELTA航空の事例。
どこかでちゃんと調べたいなーと思います。ブログにまとめて書こう。

ただ、話の流れとして、なんか既視感があるなとも感じてまして。
そうだ、UX戦略フォーラム等、組織内UX導入という文脈でも同じ話をしていたがな!!
組織でユーザーのためにとりくむために、コミュニケーション、成果の見せ方、巻き込み方、組織体制、階段をのぼっていくがごとく体制をかえていく必要があるというのはUX(人間中心設計)と本当に同じ。

大倉さんの話では「ロードマップを描く」「グラフィカルに伝える」という部分。
安西さんの話では「社内を盛り上げていく」という部分です。

分野は違ってもみんな『ユーザー体験』を中心としたアプローチを組織で行っていくために、同じ悩みをもっているんだよなあ、と思ってしまいました。

Goods Dominant Logicから、Service Dominant Logicに移行している流れ

マーケティング、というワードというより、”Experience”というワードが多様されていた会だったのがとても印象的でした。

事業戦略や商品あって、そこからデザインへ降りてくるのがGoods Dominant Logic。
デザインの分野では、事業戦略もデザインも一緒に考えるというService Dominant Logicという形が大事といわれていますが、マーケティングの分野でも同じことがおきているように思います。

鈴木さんのいっていた「ビジネス全体を担う」って、まさにこれ。

AdobeのExperience中心のマーケティングと、人間中心設計の違いについて

反面、事例をきいているうちに、アプローチの違いや見える景色の違いも感じてきました。
この二つ、たとえるなら富士山登るのに、吉田口から登るのか、御殿場口から登るのか、的な違いかと。
最初は見える景色も一緒に登れる人数も違いますが、どこかで必ず出会うのです。

AdobeのExperience中心のマーケティングと、人間中心設計の違いについて、サービスを実際につくっていかねばならぬという視点がいるため。今回はサービスデザイン思考の5つのポイントから比較してみます。
(サービスデザイン思考についての解説は、『カスタマージャーニーマップだけじゃない! 顧客理解を深めるために使い分けたいツール』がとてもよかったのでぜひおすすめ!)

160601_02

■ユーザー中心
マーケティング:可視化の手法は定量データ。数字。
人間中心設計:可視化の手法は定量データ、定性データ。感情が入る。

■共創
マーケティング:ステークホルダー皆で、という色がややうすく、調査→要件定義→解決策作成→評価いずれもマーケター主導。
人間中心設計:ステークホルダーをワークショップや調査にまきこむなどプロセス設計はデザイン側が実施する必要ある。調査と要件定義は共創。解決策の作成からは完全にデザイナーの力。

■インタラクションの連続性
マーケティング:web等一連の流れでデータ化しやすいものと、店舗などデータ化しにくいものがある。またその連続性がきれてしまう部分もある。
人間中心設計:カスタマージャーニーマップ等で整理。行動、感情、思考、タッチポイントは見える反面、量がどの程度なのかは見えない。

■物的証拠
マーケティング:複数のタッチポイントを定量計測できるよう、テクノロジーが進化。デバイス横断時などログイン前提等限界もあるが、クリアできる日もそう遠くはなさそう。
人間中心設計:行動、感情、思考、タッチポイントは見える反面、量がどの程度なのかは見えない。

■全体的な視点(生態系全部を考える)
マーケティング:量はだしやすいので、データをみてビジネスとしてスケールしやすそうなポイントはみつけやすそう。ただ、データによる最適化とはいっても、「最適の候補案」を生み出す手法ってどうなんだろうな?というのが今疑問。
生態系全部を考えるための手法とか、ユーザーのインサイトを得るためのって手法って確立してなさそうだなーと思った。
人間中心設計:人間が共感し、利用状況に即したほしいものができそう。ユーザーのインサイトを導く手法や、解決策の作成まで考えられる構造化シナリオ法などの手法もある。けど、生態系全部のうち、『スケールするかどうか』はまた考える必要はある。

Adobeの掲げる”experience”マーケティングも、人間中心設計も、企業でサービスをつくっていくのに取り入れるとしたら『手法』のひとつなので。
うまいとこ、私は両方の知見もつか、もしくは助けてもらいながら考える手段として併せもっていけたらいいなーと思います。
個人的に、以下のように出身が違う作戦が、最終的に同じ山へむけてのぼっていること=いろんな視点を作り手がもてるということだとも思うので。

マーケティング=ユーザーのデータに対してメッシュをかけて、商品がたくさん効率的に売れるようにする作戦。
そのメッシュの目のところを最適化する目的で、調査→要件定義解決策作成→評価を行う。

人間中心設計=ユーザーのシーケンスな状況をみて、ユーザーのためになるものづくりをしていこうという作戦。
ユーザーが利用できるものづくりを目指して、調査→要件定義解決策作成→評価を行う。

マーケティングデータのもつ、スケールの大きさと可能性

iXSのお二人が話されていた事例がとても印象的でした。

例えばスーパーマーケットで、レシートをスマホで撮影してアプリで見ると、その内容で他のスーパーより安いものがあれば告知して返金してくれるというサービス。
実はアプリ内で会員データと購入データがひもづけられて、ユーザーの行動を期間をまたがってシーケンスに見ることができるのです。返金なんてたいしたダメージじゃない。
このデータ取得とそこからの販売促進というのは、ビジネスとして非常に理に適っていて、人間中心設計ばかり見てるとつい見落としてしまう発想だなーと感じました。

また、解析するデータをAPIで読めるようにする、活用するという事例についても同様で。
販売促進そのものを自動でハンドリングするためのデータとしても使えるし、読み込めば分析にも使えるし、一粒で二度おいしい(笑)
こうした最適化→組織のビジネスに貢献という流れ、まさに自社でもチャレンジしている部分なので。
別の切り口からみることで、あらためて「そっかー」と納得しました。

そういえばマーケターってデータからどう発想するねん問題

構造化シナリオ法のように、価値とタスクを明示→ユーザーのアクティビティシナリオをかく→そこからインタラクション(解決策)をかくという進行だと、ユーザーの利用状況に応じた自然な流れをつくりやすいとは思うのですが。

少なくとも自社のwebマーケターからこうした話って実はあまりきかないなーと思いました。
データをみて、そこからいきなり解決策をつくるかんじです。
ユーザーのシーケンス流れが個人個人の推測でしかなく、人によっては百発百中外れていましたw

手法はあるのかもしれないけど、マーケターもデータみたのち、アクティビティシナリオを考えることからがスタートなのかな。

ハンズオンは素晴らしい

その場で習って、触って、新たな切り口からユーザーをみることができるのは楽しい!
登壇者の方が、「アドビサミットにいったらぜひいって!」とくりかえしてたのが印象的です。

eVar7のイベントまたいきたい

幹事太田さんの登壇にあるとおり、「初心者の目線から」というのはやっぱりすごく入りやすいなーと感じました。
いろんな視点から話をきけるの楽しい!

今自分が担当しているサービスでは、まだAdobeの解析ツール系いれられてないのですが(予算の壁!)。
成功事例を積み上げて、ビジネス的にスケールするんだよ、という道筋を示して「でもこれはAdobeでしかできないんですようりゃうりゃ」ができるように頑張りたいと思います。むん。

幹事のみなさん、ありがとうございました。

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a Reply

*
*
* (公開されません)

Facebookでコメント

Return Top