ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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ひとと一緒につくり続けるために、『問い』を連ねる ~30代webディレクターとしての成長戦略(仮)

160724_img自分の人生を前に進めてくれた大きなものの一つに、私は『問い』があると思います。

受験小論文、ブログ、コンペの提案資料、職務経歴書、サービスをデザインするための様々な設計書。
無数の『問い』をたてて、考えて、ひとの前にだして、精いっぱい考えて、前にすすめる。

webディレクター経験もまる12年(干支一回り!)経っている中で、少しずつ自分の在り方もかわってきました。
『問い』をたてる範囲も変わってきてるように思います。

じゃあ、これからはどうなるんだろう?

webディレクターはここ20年?くらいからうまれた、新しい職種です。
技術の進化もあいまって、三十路でどうあるべきか、40超えたらどうなんていうロールモデルは見えづらいです。
そんな中、30代webディレクターとしての成長戦略(仮)を考えるために、最近いったいくつかのイベントをふりかえりつつ、今の『問い』の範囲についてつらつら思うところを書き綴っていきます。

大前提として:自分にとっての成長の定義

意識高いような問いでいきなり申し訳ないのですが。
自分にとっての成長の意味は『一緒にものをつくれる人が増えること』です。
どれだけ多くの、多様な人と、いい熱量で、いい影響や成果をうみだせるものを作れるか。

22-24才:新人webディレクター
・先輩の下で構成案をかく。進行下手過ぎてデザイナーやディレクターから総スカンくう。
・関われる人:一部のクライアント、一部のデザイナーやディレクター、上司
・つくるもの:クライアントから依頼されたもので上司の指示のもと

25-26才:若手webディレクター
・定常プロジェクト内で仕事まわせるようになる。
・関われる人:クライアント、デザイナーやディレクター、上司
・つくるもの:クライアントから依頼されたもの

27-29才:事業会社webディレクター(販促メイン)
・転職したが、いわれたものをデザインする立場。それなりには楽しいけど評価は平凡系。
・関われる人:事業会社の事業現場メンバー、デザイナーやディレクター、上司
・つくるもの:事業現場メンバーから依頼されたもの

30-33才:事業会社webディレクター(UXデザイナーメイン)
・何かが流れた結果上流にさかのぼっていた。評価される機会増えた。
・関われる人:事業会社での事業現場上司や現場メンバー、エンジニア、カスタマーセンター、デザイナーやディレクター、上司。さらに外の活動でグラフィックレコーディングやワークショップ設計等やりはじめたことで、普段の業務で出会えない職種の方々や、ワーク参加者の方と出会うことができました。
・つくるもの:事業メンバーと一緒に考えたもの、場をつくるメンバーと一緒に考えたもの、およびそのプロセス

2年~3年スパンでつくるものが変容し、関わる人の範囲も変わってきた傾向があります。
『問い』は大きくはかわらないのです。
「どうやったら、人と一緒に、今つくりたいものをつくっていけるか?」

ただし、そこから細分化される問いは、大きくかわってきてるように思います。

これから作りたいものと、そこに向かうための『問い』

きっとこれからつくるものって、仕事だと以下の方向なのかなとうすら予感しています。

34才~:事業会社webディレクター(UXデザイナーメイン)??
・関われる人:プロジェクト外も含むデザインチーム全体、ビジネスの生態系の中の様々な人
・つくるもの:ビジネスの生態系とそれを作るためのプロセス、チーム

ゆえに私がwebディレクターとして成長する=これから関わる人を増やすには。
・会社で担当しているプロジェクト外のメンバーと関わる
・所属している企業では出会えない人たちと関わる

という2つの方法がありそう。

会社で担当しているプロジェクト外のメンバーと関わる

これは主に『同じチームではあるけど、担当しているプロジェクトが異なるメンバー』について。
自分自身はプロジェクトではパフォーマンスをある程度だせているかなとは思うのの、チームに対する貢献(しかもそれが事業につながるか?)、となると、不十分だな・・・と感じています。
がんばっているんだけど、なんかばらばら。
デザインの成果が、事業成果につながっては見えない、不全の状況。
組織全体からみたときにチームでのデザインの価値を認めてもらうには遠いところにいそうです。

プロジェクトだけやっていたのでは、どうにもならないなあ。
でもどうしたらいいんだろう?
プロジェクトの成果をだす手法はわかっていても、自分の関わっていないプロジェクトに参加しているメンバーとどうかかわっていくのかというのは大きな悩みでした。
自分の手法を一方的に提示するのは、単なる押しつけだし。単なる老害でしかない。

そうもやもやする中、「社会を変えるデザイン」Civic Tech Live!7月号でいいなあという視点がありました。
『デザイナーがもっとcivic techに参加していくには?』という問いにたいしてでた答え。

  • 楽しいとおどっているような人が見えること=祭り
  • 活動者が「○○の問題どうしたらいいのかな?」という問い(気持ち)を、素直に伝えて対話する

この二つって、civic techでも、組織の中のデザインでも、同じなんじゃないかなーと思うのです。

組織から見たときにデザインの価値を伝える活動が、お祭りの、あの無条件になんかワクワクするかんじする。
と同時に、一緒にかんがえて描いていく真っ白なキャンパスがあるかんじ。
そんなあり方で問いを考えて、メンバーと話しはじめればいいのかーと納得しました。

例えば:「組織の中で、チームでデザインの活動をせっかくやってても、事業につながってるようにははたから見えず評価されづらくなっているという課題がある。私はその状況を残念に思っている。あなたはどんなことを感じている?」
「『私たち』はどうやったら、事業につながるデザインという価値を生み伝えることができる?」

※たぶんここ、「デザインの価値がわからない上司たちがいけない。上司たちが認めてくれて動かないと成果もあがるはずない。」という他責的なあり方で『問い』をたてると、結局何も進まないんじゃないかな・・・と思います。
解決方法=転職。でも転職したって同じような問題にぶちあたる系。

所属している企業では出会えない人たちと関わる

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※写真は、「社会を変えるデザイン」Civic Tech Live!7月号での自分用スケッチノート。

「社会を変えるデザイン」Civic Tech Live!7月号でおもしろかったのが、三澤さんの「インハウスデザイナーとは根本的に違う問い」の話でした。
事業会社でのインハウスのデザイナーが考えない問い「社会の中で何のためにつくるのか」「何をやるべきなのか」「この予算はほかにまわしたほうがいいのではないか」・・・

事業会社内の社員をやっていると。
「これが伸びると分析したので、どんなことをやりましょう?」というような、すでに誰かが築いて社会で価値が認められている生態系の中で、少しでも伸ばせるような方向性の問いでデザインとかかわることが多いです。
でも、その生態系がまったくの新しいものだとしたら?
社会にどうつながっているのかから、自分たちで規定するものなのだとしたら?

私は、まだその生態系を生み出すという行為、そしてその規定方法がわかりません。
三澤さんに質問したところ「決めてやればいいんだよ!」。
存在としての理解はしているんだけど、何からとらえていくのかが自分の体にまったくおちてない。
その状態がものすごーーーーくモヤモヤもやもやするのです。
わかりたい。

もちろん、自分の社内でそうした新たな生態系とむきあうという方向もありますが。
ちょっと違うなーとも思っています。
成長しているから関わる人もより多様になっていることじたいがおもしろいし、生態系をとらえるという意味で、旅行業界とむきあう覚悟こそあれど。
「本当に(膨大なステークホルダーがいる)旅行業界の生態系全体に人生かけてむきあいたいか?旅行業界を新しくつくっていきたいか?」という『問い』をたてると、歯切れが悪くなってしまうのです。
私がつくりたいのは、人がうみだす情報や、そのデザインをつかさどるプロセス、そしてチームなのです。
そして、デザインが関わることでうまれるであろう、未知なる生態系。

まだ、生態系をつくるには、『問い』をたてる素材がたりてないので。
まずは素材集めからかな、と考えています。

例えば:「生態系をつくっている人たちはどんなことを考えているのか?行動しているのか?について、どうやったら学べるか?」
「そこに自分はどんな力を提供して、貢献していけるのか?」

※割と、Lean UXの 「学びたいことを決めて、つくって、計る(Learn→Build→Measure)」という思想で行動するかんじ。
職業人生もLean UX案件の一つと思えば、まあチャレンジする障壁も下がるかなと。笑
※会社では上長相談の上、研究活動一貫として、副業申請済みにしました。やれる範囲拡がるのは研究で、チャレンジ楽しい。

『問い』を連ねていくこと

つくる範囲がひろがっていき、特にチームやプロセスを考えるシチュエーションが増えると。
どのような『問い』があると、状況が前に進むのか・・・というのを延々と考えることになります。
というわけで、『問い』について考えたく、問いをデザインする技法を探る-ワークショップにおける”良い問い”とは何か?に参加してきました。

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おもしろかったのが、問いの質によって、プロセスが大きく異なってくる点。
『居心地がいいカフェとは?』『危険だけど居心地がいいカフェとは?』だと、後者のほうが思考や会話があっちこっちにいって、創発が促されるとのこと!

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  • 問いには前提、制約、小問がある。
  • 前提は必ずしも明言はされていない
  • 制約条件、思ってもいないようなものや、かけあわさり方をすると、大いに考える人にとっての刺激になる。

会社で人と対話する、議論するとなると。
思ってもないような制約条件をだして考える、離れたものをかけあわせてみるということをそういえばしてなかったなーと感じました。
次から創造的な問いを考えるときに、この視点を無理矢理にでもぶっこんで考えてみようかな。笑

そして、目的と評価について。

  • 『問い』には目的があり、その目的にあわせていつ評価されるべきかもかわる(創発・学習・省察)
  • 問うための『問い』→核となる問い→問いを活かす問い この問いの連なりを設計する

人と話していくとき、特にワークショップや対話の場など、『問うための問い→核となる問い→問いを活かす問い』をどうつくっていくか?というのが今とても自分的にはホットな分野です。
プロジェクトではないチームのメンバーと関わって話をしたいとき、この問いの連なりをどうつくっていくか?と常に考えているので・・・。

自分の役目はファシリテーターで、見えなかったものが共振し、増幅して、あふれてみえてくるというプロセス設計。
私は一人のスペシャリストとしての自負がある分、つい実務や先導をやりがちになってしまいます。しかもほぼ無意識!
できる人はファシリテーターと実務者を切り替えできるのかもしれませんが。
残念ながら自分は器用ではなく、そうじゃないんだよ、立ち位置を変えるんだよ、というのにトレーニングがとても必要みたい。
慎重に、意識しながら、かかわりを考えています。

新たなかかわり方ができれば、関われる人、一緒につくるものも広げることができるので。

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ワークショップ最後に、安斎さんがいっていたことばが印象的でした。
『問い』をデザインするためには「プロトタイプを試す」と、「場でおきているモヤモヤを、次の問いのデザインに活かす」。

人間中心設計の、プロトタイプ作成→ユーザビリティ評価と同じやん!笑
感覚としてものすごくすとーんとはいってきました。

—–

webディレクターのキャリアは、先がみえづらくなる瞬間がありますが。
目に見えて、みえなくてもいいんじゃないかと最近おもいます。
だってこれからつくるんだもの。
むしろ生み出すプロセスわかっていたら、何がおきるかわからなくて楽しいかも!

まず、『問い』のプロトタイプをたてて、場で試して、そしてまた次につなげればいいのかなーと思うのです。
この『問い』の連なりこそが、新しい世界を切り開いていくはず!
(成長戦略(仮)なのは、『問いの連なりこそが、キャリアを切り開くのでは?』という問い自体も、まだプロトタイプだからです。試してみて、仮をはずすか残すかは考え中。笑)

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