ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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『実践例から考えよう!WEBサービスでのUXデザイン』で講演してきました

160919_img9/10(日)新潟で『実践例から考えよう!WEBサービスでのUXデザイン』で講演してきました。
主催は、fukuroさん、新潟グラムさん。

色々なイベントや勉強会で「UX」とはいうけれど。
最先端の設備や専門家がいる会社での話がでてきたとしても、普通の現場で実践例がでることがなかなかないんじゃないか?
実践例を話したうえで、現場でやれることを考えてみようというイベントでした。

事業会社の開発現場で、どのようにとりくんでいるか?

私の会社じたい、そもそも旅行会社で、専門的なユーザビリティテスト用ラボとかないし、UXの調査をするための工数もお金もそれ専用にあるわけではないです。
とはいえ迫ってくる納期。

私の基本的なスタンスは、納期中心デザイン・KPI中心デザインの現場で、UXデザイン(人間中心デザイン)をするということという記事にあるとおり、「完璧なフローでなくてもいい。家庭の味がある、楽しい現場にする」です。
じゃあ何をどうやって意思決定して、プロジェクトに必要な意思決定ができ、皆が同じユーザーをイメージしながらものをつくれるか?事業の成長に寄与できるか?というのをまとめたのが今回のスライドです。

webサービスでのUXデザイン 発表スライド from Azumi Wada

特に自分で、いちばんいいたかったのがここ。

webサービスでのUXデザイン 発表スライド from Azumi Wada
  1. 仮説は信頼できる精度があればよい。(だしとらなくても、だしの素とか使える手段たくさんあるよ!)。
  2. webなんだから小さいトライ&エラーたくさんできる(味見して調整すればおっけー)。
  3. あと、評価は必ず『事業の提供価値』を達成するためのKPIをチームでにぎってチームで見る、ということ。(栄養は十分かチェック!)

1の調査フェーズについては、一見「ものすごい調査をやらなければいけないのでは?」と思うけど。
マーケティングデータやアクセスログ当を用いて、断片的な「行動」がどの程度されるのかというのはわりとはやくわかると思います。
問題なのは、「なぜ、ユーザーはそんな行動をしたのか?」という文脈の部分。
その文脈を調べようと思ったら、周囲の人や身近なユーザーを探してきいてみる、過去の類似調査から流用できないかかんがえる、などとりえる手法ってあるのだと思います。
完璧な調査でなくてよくて。
サービスをつくるうえでチームがぶれない精度があり、ブラッシュアップしていけばよいのではないでしょうか。

また、企画→解決策作成→評価のフェーズについては。
「小さいトライをする前提で開発する」ということがすごく大事だったなと、私は2016年の開発案件(オーストラリア向けホテルサイト)で痛感しました。
会社で本当に小さく5人×3セットユーザビリティテスト実施し、改善を行ってきてはみましたが。
やっぱり、リリースしてみてはじめてわかることが多々あるのです。

調査フェーズでたてた仮説と解決策を検証し、それをいかにユーザーと事業運営に沿うものにしていけるか。
今回、自分の案件では事業側の上長、および開発側の上長(プロジェクトリーダー)とも、「小さく作ってトライし、はやく事業を成長軌道にのせる」という意思決定をしてくれていたことがとてもありがたかったです。
※逆に言うと、ユーザー像のイメージと事業で提供する価値がブレなかったので、『小さく作る』ができたのかも。

『事業の提供価値』を達成するためのKPIについては。
仮説をたててトライ&エラーをしていくのに必須です。
事業会社でも、クライアントでも、『デザインがほしい』わけじゃないんです。
ほしいのは提供価値に見合った、事業の成果。
何をやるかの優先順位や施策を、チームで考えるための道具がKPIです。
この考えるための道具を適切にだすというのも、私は自分の仕事ととらえています。

じゃあどうやってはじめたらいいの?

私が一貫しておすすめしてるのが、「手作りでユーザビリティテストやってみようぜ!」です。
ライトにできて、しかも成果があがりやすい部分なので。

img_160919_1

当日は、以下のような分担でワークを進めました。

  • 1グループ4~5人。被験者1名、進行役1名、観察と記録役2~3名
  • 進行役は、トークスクリプトを用いて開始のあいさつ~質問など、全体進行を行う
  • 被験者は、提示されたタスク(旅行サイトで予約する際の、予約情報入力)をスマホで行う
  • 観察と記録役は、被験者(ユーザー)の行動と思考発話を記録する。
  • テストが完了したら、被験者へインタビューし、そのときどんなことを考えていたか?など質問

このワークショップ、熱量がとにかくあがっていました。
おもしろかったのが、テストを終わった後も、(初対面の人も多い)同じグループの中で、被験者の行動に基づき、UIについての議論がとまらないほど活発になされていたという点。

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被験者の行動や思考発話を観察する、って行為。
実はすごく見る側にたくさんの問いをなげかけてきてくれるんです。
一人では想定できなかったいろんな視点が見えてきます。

イベント終了後やアンケートでも、「大変だとおもってたけど、意外とさくっとやれそう!やってみよう」「設備が必要だと思ってたけど、全然やれるんだねー」という反応をいただくことができました。
狙い通りでうれしい。ふふふ。

あと、スライドに追加してなかったのですが。
ユーザビリティテストやるのに効果的なタイミングが二つあります。


・サービスリリースで結合or受入テストしているあたり。みんなどう使われるかドキドキしているから、切実。
・リリースしたサービスが伸び悩んでるとき。なにから手をつけていいかわからない状況を整理してくれる助けがほしいから切実。

実施するタイミングをみはからってみると、より高い効果を感じられるのかなと思います。
あと、今回ワークでやったのは本当に限定的な部分なので、やるなら『ユーザビリティエンジニアリング(第2版) ―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―』を買うといいと思います。
現場でライトにやるための手法とかんがえかた全部のってて素敵。
参加者の方も早速かってくださってて、うれしい限りです。

番外編:専門家として関わるということ

このスライドを展開したところ、@hiro93n さんからこんなコメントをもらいました。

専門家ってスペシャリスト的な知識や経験求められるのと当時に。
それをどういい塩梅で、事業に、そしてチームに活かすのか?がとわれると思うのです。
専門知識ぶっこもうとした結果、チームがギスギスしたという状況、私自身やりがちなので自戒をこめて。

なお、「専門家としてスキル全部を社会にいかに還元するか?」を考えると、1社にいるだけでは限界あるよなと最近思います。
例えば私は、産業技術大学院大学で人間中心設計を学びましたが、学んだことの半分ちょい?しか会社に還元してないと思います。
ユーザー調査の多様な手法や、統計的にデザインを評価する方法、ワークショップデザイン等も学んだけど、それを今の現場でそのまんま導入してもあまり事業やチームが前に進むイメージがないのです・・・(必要だと肌で感じたらやるよ!)

その残り発揮できてない部分を発揮したい!実践通じてのばしたい!という気持ちも多々あるので。
そういうのは、複業(ファシリテーショングラフィック、グラフィックレコーディング)でやっていこうと今は考えています。

やっぱり私はどこにいても、文化の潮目でもの、社会を作っていくのが好き。
潮目でわくわくする場をつくるのに必要なのは、対話していくこと。
多様な人が気持ちや情報のシェアをできる場をつくって、わくわくしながらものをつくっていく。

場をとわず、そんなプロセスづくりに、自分の力を活かせたらいいなと思います。

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