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『協働』のためのファシリテーショングラフィック講座で考えたこと@千葉県茂原市

もうすぐ桜が咲きそうな3/15(水)。
千葉県茂原市からのご依頼で、『第2回協働事業提案サポート講座~対話を見える化するファシリテーショングラフィック~』を実施しました。

茂原市に伺ったのは、財政出前講座×sim福岡2030 in もばらでの、グラフィックレコーディングに続いて二回目です。
茂原市役所では篠田さん、風戸さんはじめ「行政と市民の対話の場を、これからつくっていこう」と考えている方がアクションを続々始めています。
グラフィックという目に見えるワクワクする成果物、そしてそれを作るプロセスを通じて『協働』について一緒に考える場になるといいな、と願い、ワークショップ設計から行いました。

今回実施して感じた、大事なこと

静岡県牧之原市の事例

対話を「見える化」する ファシリテーション・グラフィック from Azumi Wada

今回は視覚化の事例紹介の際、静岡県牧之原市の事例や、牧之原市市長の西原さんとお会いしたときのことをたくさんお話しさせていただきました。
特に、伝えたかったのはこんなことば。
・「協働はやりたい人だけでやってはいけない」
・「人をまきこむときは、反対の人が6~7割はいる。反対する人は、「だからこそ、あなたの意見をききたい。一緒に考えないか?」と語りかける」

どこの自治体でも、『協働』の講座に参加してくださる方は、取り組みに対して比較的協力的な人たちなんだろうなあと思います。
そうした方々がいてくださるのがとてもありがたいことだと思う反面、同じ方向性の人たちだけでは早く何かはできるかもしれないけど、小さな取り組みにおわってしまって、絶対に実現できないものもあるのも事実で。
(このへんは茂原市や他自治体がどうこう、ではなく、私自身が企業の中でデザインプロセス導入にあたって痛感した部分です)

やりたい人たちだけでやるのではなく、色々な立場の人をまきこむ必要があること、その方法。
他の自治体の取り組みは、またほかの自治体が何かしようとしたときにとても勇気づけられるものだと思うので。
茂原の方々にもぜひ牧之原市の事例は知って、少し前へ進むための力になってくれるといいなと思っています。

いかに「問題vs自分たち」というマインドを作り出せるか?

そうした人をまきこむプロセスづくりをする際、大事なのは、いかに「問題vs自分たち」にできるか。
「行政vs市民」というような対決姿勢にせず、「問題vs自分たち」にする手法として、私はファシリテーショングラフィックってとてもいい手法だと思うのです。
紙にかいた問題に対して、参加者が並んで考える体制ができるから。
体制がかわると、マインドもかわってくる。

対話を「見える化」する ファシリテーション・グラフィック from Azumi Wada

よく行政での市民参加のイベントがある場合、前方に行政の方がすわり、むきあって市民が座る、というのをみてきました。
よくある形だと思うのですが、『話す人⇒聴く人』というような関係固定するような席だよなあ・・・と感じます。
行政=やる人、住民=みてる人(時々ものすごく何かいいたい人がいある)、そして多くの参加していない住民=関心がもてない、の構図。
どんなに市民活動のための制度ができていても、実はこの構図、戦後すぐ時代のマインドと、実はあまりかわってないんじゃないかな?と思うのです。

▼ざっくりと戦後からの市民と行政の関係性

  • 戦後、社会問題の解決は、相互扶助ではなく行政の役割として扱われるようになった。例えば憲法25条での生存権の保証は、国(行政)へ期待されている旨がかかれている
  • 他方で市民による反社会システム的な社会運動も存在はしており、ベトナム戦争時にはベ平連に象徴されるように活動的である時期もあった。しかし、環境問題や産業公害問題に対しては反社会システム的な運動は対応できず。「市民活動は力になれてない」というようにみなされてしまう。
  • 1960年代後半からは福祉分野を中心にシングルイシューで対応する新しい社会運動がまきおこり、「公共を担うのは行政」という認識が改めはじめられる
  • 1995年には阪神淡路大震災での行政だけではできないきめ細かい施策を非営利団体が行いその成果を認められるように。公共の担い手として非営利組織(NPO)が位置づけられ、NPO法成立。

NPO法成立以降も、各地にNPOがたくさん設立されてきてはおり、活動が活性化しているようには見えますが。
NPOがシングルイシューや地域の活動中心のため、そうした活動にかかわらないかぎり、やっぱり市民と行政とはどっか分断されているよなあ・・・とも思うのです。※
また、何回か協働を考える場には参加していますが、私も含め多くの人が「あまり地域での活動について、必要性を感じない」。
賃貸にすんで、都内の会社に電車で帰って、家でごはんを食べて寝る。
インターネットがあれば地域以外の人とのつながりなくても生きていける。
だから、市民参加のイベントにそもそもいく必要性も感じなければ、ましてや「いいたいことがものすごく強くある人」と行政の人の淡々としたマイクのやりとりだけききにいってもな~、と思ってしまうのです。

※もちろん、市民と行政が必ず一致すべきというわけではありません。
行政の施策に対してそれが市民のためにならないならばNOの声をあげる存在として市民、その代表として政策提言を実施するNPOがあるということは必要です。

グラフィックが手法としていいのは、(ちゃんと場をつくれば)紙を中心に皆等しい関係性になれること。
そして、無関心だった人も目に入った場合、とっつきやすい絵があることで少しでも「見てみてみようかな」と思ってもらいやすくなるという点。

牧之原市長の西原さんの「あなたも一緒に考えよう!」の掛け声のように、問いをなげかけ、誘う力にもなるんじゃないかなと思います。

対話は結論をださなくてもいい

今回「対話は結論をださなくてもいい」という、対話そのものの在り方をグランドルールとして掲示しておけばよかった・・・というのが反省です。
どうしても対話のワークをやっている際、結論をあせるあまり、話す・聴くことより結論をだすことを目指してしまうグループもあったので。
(何より私自身、そのけがある・・・ひ~。結論ださないと怖い感はものすごいある。)

グラフィックを用いる現場で、会社での業務などの場合は当然結論が必要になる場もあります。
ただ、対話ってその流れとは非常に異なるのですよね。
年齢や職業、人種、多様な立場な人たちが関わる場所だからこそ、自分たちが大事におもうことを共有していく必要があるし、対話がすすめばその結果「おきるべくしておきることはおきる」。

そのおきるべくしておきたことを皆で見て、また先に進めばいいのだと最近は考えるようになりました。
ここは自分でもコントロールまだまだ課題な部分ではありますが。
場をつくって、積み重ねていくことで、少しでも社会に貢献できるようなプロセスをつくっていけたらいいなと思います。

「この場でどれだけの声をきけましたか?」


↑当日のグラフィックレコーディングは、名古屋友紀さん。
ワーク終了後に、みんなでふりかえる時間をもうけた際、「この場でどれだけの声をきけましたか?」という問いをなげてくれました。

こういう場に参加してくださる方の中には、思いが相応に強く、「何かいいたい」「何か有益なことをいわなきゃ」という思いを持っている人もいるなと感じました。
ただ、対話の場なので、自分が何か言わなきゃ言わなきゃになる必要性って全然ないんですよね。
率直に感じたら話せばいい。
そして同時に、多様な人の中で関わるために『聴く』ことがとっても大事。

「ファシリテーショングラフィックやってみて、傾聴と近い感じだと思ったよ。傾聴とグラフィックが合体!」
参加者の中でそう感想を私たちに伝えてくださった方がいました。
ともるすと『描く』ことに注目がいきがちな内容ではありますが、この聴くかんじが伝わったのが、とてもワークショップデザイナーとしてはうれしいかぎりです。

また、今回は参加者自身に対話をしながら手を動かしてもらうことで、市民の率直な声、考えたいことをのこせた=ほかのひとも『聴ける』ようにできたのがとてもよかったです。
今回ワークで実施したのは、「今自分と行政の距離ってどんなかんじ?これからどう動きたい/ここにいたい?」という問いかけの対話でした。

対話を「見える化」する ファシリテーション・グラフィック from Azumi Wada

参加者の方々で、問いに対する思いを共有しながら描き、またその描いたものを俯瞰。
話したいことを一人ずつ考え、場に出し、またみんなで考え描きます。

対話を「見える化」する ファシリテーション・グラフィック from Azumi Wada

ただ話すだけだと、この自分たちで深めていくプロセスってけっこう難しいのだけど。
こうして紙にのこしているからこそやれることだと思うのです。

紙とペンの力をかりて『聴く』、そしてプロセスをつくっていく。
身体全体を使って参加者の皆さんが描かれていたのが印象的でした。

次のアクションをうむ力となる、グラフィックレコーディング

今回はワークショップだけのご依頼でしたが、ワークショップの効果最大化させるために、あえてグラフィックレコーディングをいれました。
グラフィックレコーディングのいいところは、ワークがおわっても、目に見える形にして掲示できるという点。
茂原市では、篠田さんたちが私が描いた財政出前講座×sim福岡2030 in もばらのグラフィックを市役所にはっておくことで、取り組みをアピールしていったそう。
グラフィックとしてのこすことで「アクションを始めよう!」としている職員の方々にとっては、新しくだれかを巻き込む味方になってくれる役にもなってくれるんだ、と思ってうれしかったです。


↑こんなかんじではっててくださったそうです。篠田さん、ありがとうございます。

今回のグラフィックもそうして種火を持つ人の力になり、新たなアクションを生むための力として、のこっていくといいなと思います。
場の中でもふりかえりでき、その後の力となるグラフィックを描いてくれた名古屋さんには本当に感謝です。

———-

今回、茂原市から継続しておよびいただき、一緒にプロセスをつくっていけたことをとてもうれしく思います。
私は牧之原市の方々や自分同様、市民グラフィッカーがふえていろんなプロセスで描けるようになったら社会ってかえていけるんじゃないかなーと思っているし、その力になってきたいなと最近強く感じるようになりました。
茂原のプロセスにもまた関わっていけたらと思います。

「自分たちの市区町村でも、協働を考えていくプロセスづくりのために、ぜひグラフィックをとりいれたい」という方いたらぜひお声がけください。>>問い合わせ
ぜひお話きかせてもらって、私がお力になれるところがあればご協力したいと考えています。

・・・といいつつ自分が住んでいる豊島区、出身の相模原には特に貢献したいんだけど、どういっていいかがわからないぞ!笑
実績積み重ねていけば、きっとそのあたりの方とも出会えると思って修練します。

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