6/13(火)にCode for Japan 主催で実施された「立ちすくむ国家ワークショップ」。
経産省「次官・若手ペーパー」に端を発した、官民の意見交換会に、15名+東海大学生さん4名のグラフィックレコーディング隊を編成して、参加してきました。
盛会に終わり、ほっとひといき。
今回も私はグラフィックレコーディング隊のマネンジメントとして場に入りました。
場に入る中で、いくつか考えたこと、そして『不安な個人、立ちすくむ国家』を考える時に自分が大事にしたいと思うことがみえてきたので記録としてかいておこうと思います。
グラフィックレコーディングの舞台裏
グラフィックレコーディングのメンバーは、グラフィック・レコーダー・ネットワーク(以下GRN)で募集しました。
↑プロボノとしての位置づけ=GRNです
普段、ファシリテーターとして企業に勤めている方や、デザインやエンジニアリングの仕事をしている方など、バックグラウンドは様々ですが。
想いに共感して、やってみたい!という風にボランタリーに参加してくださる方がとても多く、ありがたい限りでした。
先日経済産業省から次官・若手プロジェクトの名前で公開された「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」という資料が、大きな話題をよんでいます。
きっとお読みになった方も多いと思います。
Code For Japanの関さんが中心に「じゃあ一緒に考えようよ。そして、何か具体的なアクションにつなげようよ」という思いから、公開から数日でワークショップが実施決定したそう。
GRNメンバーとしては、「じゃあ一緒に考えよう、アクションにつなげよう」を一緒にうみだすためのグラフィッカーを募集します。
▼応募想定
・グループワークでのファシリテーショングラフィック ~10名程度
・ワークショップ全体のグラフィックレコーディング 2名程度
▼応募に際して
・ファシグラ、グラレコの経験は問いません。
・上記募集のページをよんで趣旨に賛同し、ボランタリーな参加をしてくださる方を募集します。特に大事なのは以下。
-『このワークショップでは、何か一つの回答を出すのではなく、参加者それぞれが、「自分のアクションプラン」を導き出すことを目的』という趣旨を理解する
-『官僚へ要望をする場』『批評の為の場』ではないことを理解する
▼目的
・グループワークでのファシリテーショングラフィック
⇒アクションプラン検討や共有段階で、対話を深化させ、アイディアだしを促すため
・ワークショップ全体のグラフィックレコーディング
⇒ワークの実施内容・熱量・方向性を即座に拡散するため。すでにワークショップの応募は定員超えをしており、参加できない方が相応にでてくる状況。そうした今回参加できない人たち、東京ではない人たちもまきこんで次につなげていくための道具を創る。※GRNでのボランティア募集時の文章
プロボノをすることの意義、「普段できないことに挑戦できること」「会社の外の人とのナレッジ交換、交流」てとても大きい役割を占めているので。
GRNでやるとき、実質私は「みんなが描くこと、場をつくることに集中できるようにする」ための雑用係+問いかけする人、と位置付けてマネンジメントしています。
みんなが1000のスタイルで活躍するために必要な場づくりをやる、です。
実際、今回もボランティア中心で、「どんな風に場に入っていくといいか」「必要な問いかけはなんだろう?」という事前準備がどんどん進んで行きました。
他にもこんなことがどんどん議論されていきました。
・当日テーブルファシリテーターがどう描いていくのかという骨格
・対話、議論に必要なオフレコ情報をどう取り扱うのか?
・WS全体のグラフィックレコーディングと、テーブルファシリテーターの役割の目的、やること
↑準備中の風景。テーマごとに使う色も決めて、ペンをそろえていました。
↑WSの進行にあわせてグラフィックをどういれていくのかという進行表と、グラフィックとしてどんな風にそろえていくかのドキュメントを中央において、みんなで確認。
オフレコのときに「オフレコの旗使おう!」というアイディアもでて、工作もその場で実施!
WS全体グラフィックは、ワークショップの前提となるインプット情報、ディスカッション情報をどんどん記録していきます。
テーブルファシリテーターはテーマ別に分かれてアクションプランを考えるというグループワークで、どんどん模造紙に対話の内容を記録し、時に促して進めます。
最後にテーマ別のアクションプランで話したことを、全体へ共有。
一人ひとりのアクションプランを考えるにも、チームとして何かとりくんでいくにも、もっと本当は時間がいるところではありますが。
短い時間の間でも、対話をしていくことで、「霞が関に人がいたんだ!」というような感覚、人と人の繋がりなんだというのが実感してきて、その実感を参加者全員でかみしめている・・・・そんな感覚をおぼえました。
1時間に及ぶ議論ののち、各チームの結果を全員の前で発表した。前述の「官と民の壁」チームの結論「政治家も副業の時代。政治家を育てよう。みんなで市議会議員になろう」には、会場からどよめきが上がった。
壁は「所属する組織の制度」と同義だと捉え、「その壁を壊すのは、組織の中にいるキーマンの人たち」と仮定。キーマンが議員になれば「議員名簿が、壁を壊す人たちの名簿」になるため、官と民の垣根を超えた取り組みがしやすくなるのではと目論む。個人のアクションプランでは、身近にいるキーマンに出馬を検討するよう促す、との意見が出ていた。
キャリコネニュース 経産省「立ちすくむ国家」ワークショップ開催 「地方視点の欠如」を指摘され「都会視点だったことに初めて気付いた」とメンバー語る
※副業と記事中にはかかれていますが、正しくは『複業』でした。
私はグラフィッカー不足のため、急きょテーブルファシリテーターにはいったのだけど。
テーブル中の議論の熱気はすさまじく、会場でもその成果発表で共感するような反応がえられたのはとてもうれしかったです。
参加した方からいただいた声。ありがたい!!
・グラフィックファシリテーションが議論の整理に役立った
・熱量までレコーディングされていて、インスピレーションがわきますね!
・ファシグラの素晴らしさを体感出来て感激しました(^^)
・グラフィックレコーディングの魅力に虜にされました!
↑各テーブルの発表内容サマリーのグラフィックレコーディング。
「会いに行ける」、「関われる」余白があるということ
今回、会場でとてももりあがっていたのが、「会える官僚」というワードでした。
また、資料が100万DLでバズった理由として、経産省若手の方は「霞が関に人がいるってようやくわかった」「個人の立場としてみているため、見る人が一言申したくなる資料だったから」というお話も。
この、目線の近さ、「会いに行ける」「関われる」という余白こそ、今の日本社会で必要なものなんじゃないかなあと話をきいてて感じました。
そもそも、戦後の成長にともない、公を担う=行政として位置づけられ、経済成長前提で公のことは行政に一任されてきたという背景が日本にはあります。(市民セクターがイデオロギー中心、公害等のイシュー対応する力が弱かったともいえます)
阪神大震災以降、すこしずつ市民セクターや民間と一緒に公共の経営をしていこう、という流れは確実にうまれてきてはいますが。
それでも、どこか公をになう人々はとおいものという感覚を、私は市民の一人として感じています。
ただ、高度経済成長の時代も終わり、グローバル化にともなうさまざまな要素が絡み合って、先行きがみえない時代で私たち世代は社会とかかわっていかないといけません。
それでも社会をつくっていく。
立場が違う人たちと、一緒に「持っているカードをならべて、できることを未来へむけて対話・議論し、前へ進める」。
そのための道具として、私はグラフィックってすごい力もっていると思うし、必要なマインドも(適切な導入ができれば)一緒に手を動かしながらインストールできるものだと確信を持っています。
多様な立場の人オープンに、自分の力をもって関われる余地ある場をつくりだす。
ひいては、新たな生きるための工夫=文化をつくりだす。
だからこそ、私は(多少の)先達としてできることは、生きるための工夫をグラフィッカー自らが考えて有機的にうみだしていくことだと思うし、そのための問いかけというのがマネンジメント業務として大事なんだろうなと考えています。
(事務的マネンジメントもやっていますが。けっこうな勢いでメンバーに助けていただいています。)
——
立ちすくむ国家WSは、次回7/12(水)に実施予定されてるそう。
また私もGRNメンバーと一緒に参加したいと思います!
実は、今回のワークショップから生まれた1番の価値は、組織を超えた個人間のネットワークだと思っています。ワークの途中でスマートニュースの望月さんとも話をしたのですが、「組織や立場を超えて、個人同士がテーマを持って繋がること」こそが、これからの日本で重要なことだと私は思っています。
立ちすくむ国家ワークショップ 開催しました
グラフィックを用いて「共創の場に参加して価値あるものを得る活動」。
この積み重ねが私たちグラフィックを描くものたちにとっての「テーマをもって繋がること」であり、不安な個人、立ちすくむ国家を少しでも動かして、前にみんなで進む力になる。
そう私は信じています。
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