ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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共創の『場づくり』のための、チームでのグラフィックレコーディングの実践と社会的意義 ~#cfjsummit 2017から考える~

2017年9月23日(土)24日(日)、神戸でCODE for JAPAN SUMMIT 2017が開催されました。
私の周囲のビジュアルファシリテーター、グラフィックレコーダー、合計19人もの人々がチーム(グラレコ隊)をくんで、イベントの場づくりに参加。
大きな成果を残して帰ってきました。

他方、私はCODE for JAPAN SUMMIT 2017に参加せず、千葉工業大学で開催されていた第3回Xデザインフォーラム「プレイフルな学びとオープンなデザイン」に参加していたのですが。
CODE for JAPAN SUMMIT 2017に参加してきたチームのメンバーをみて、「この場でうまれたのは本当に上田先生が提唱するプレイフルな学びで、かつ実践として活きる!」と確信しました。
そして、同時に「この学び方と実践の価値は、社会にどうやっていきるのか?」をものすごく考えたくなりました。

というわけで。
今回は自分がまったく参加していないイベントのグラレコ隊および周囲の観察と後日の発話等から、このグラレコ隊が生み出している学びのプロセスについての解明と、社会への活かし方について描きたいと思います。

▼目次

【1】CODE for JAPAN SUMMIT 2017でおきていたこと
 ・場の熱量が描かれたグラフィックが、国境や言語を超えて広がる
 ・場づくりを考えていくためのチーム体制
【2】共創の場で、場づくりのための可視化をプレイフルに学ぶ
 ・『作って』:個人の複合的な高い技術に依存せず、チャンスや育める機会が増える
 ・『作って』→『語って』:チームで実施することで、自分一人ではできないことができる
 ・『語って』→『振り返る』:外部刺激による省察がおきる
 ・『振り返る』→『作って』:新たな学びや取り組みを促す関係を育む
 ・課題
【3】『グラレコ隊』が作っていたものは何か?~社会への活かし方~
 ・『あいまいな先のみえない状況において、新しいリビングシステム構築の一歩をふみだすために』必要なこと
 ・『プレイフルな場をつくる』ということ
 ・まとめ:社会に活かしていくために

【1】CODE for JAPAN SUMMIT 2017でおきていたこと

全国から行政のキーマンや地域で活躍するエンジニアなどが集まる、年に1回のシビックテックのお祭り、Code for Japan Summit 2017。
Graphic Recorder Networkでは、発表や交流を描き、活性化させるためのカンファレンス全体の可視化を実施していました。

場の熱量が描かれたグラフィックが、国境や言語を超えて広がる

廊下にずらっと貼られたグラフィックレコーディングは圧巻!
今年も、セッションをどんどん目に見えるグラフィックにして、場の熱量をあげていたのがわかります。

そして今年特徴的だったのが、インターナショナルセッションでのグラフィックレコーディング。

ハイレベルなグラフィックレコーディング
CfJサミットと言えばグラフィックレコーディング。4年前のサミットで、日本ではあまり例を見なかった大規模なレコーディングを行ってから、Graphic Recorder Network さんとは毎年新たなチャレンジを行ってきました。
今回も総勢19名のチームで参加いただき、全てのセッションをレコーティングしてもらっています。なんといっても圧巻だったのは、International Roundtable のグラレコです。

英語かつ、プレゼンテーションではなくフリーディスカッション形式のセッションをまとめ、しかも日本語でアウトプットするというとんでもない技が繰り出されていました。
Code for Japan Summit 2017 開催レポート

参加者の方々のみならず、code for パキスタンなど、海外への拡散も。

また、台湾のTTCATさんの講演のグラフィックレコーディングは台湾に持って帰っていただけることになったそう。

完成したグラフィックはと言うと、、
ご本人がとっても喜んでくださり、
なんと、台湾に持って帰られました!
うれしかったのは「beutiful」ではなく、「That’s amazing and powerful what you have done!」と言ってもらったこと。
成果物としてではなく、その場を表現するものとして、描くことに挑む姿勢も含めて喜んで捉もらえた気がしました。
CODE for JAPANに参加 〜グラフィックが台湾へ渡る〜

場づくりを考えていくためのチーム体制

こうした流れをうみだしていく裏には、事前からのコミュニケーション、多面的なコミュニケーションが発生するチーム体制検討があったように見えました。
主にオンライン上で交わされた発話やできことを追いながら、チーム体制の状況について考察していきます。

【事前からのコミュニケーション】二カ月前からのボランティア募集→ゆるやかなつながりの形成
こちらは完全公募というよりは、グラフィックレコーダーネットワーク経由でボランティア募集実施。

・毎年参加してくださっている方や、関西圏でグラフィックを描いてる方が集まる。

・加えて、常葉大学の安武先生からのご案内で参加された学生さん8名や、過去の参加者づてに新たなメンバーが数名加入したりと、『誰か一人のネットワーク』ではない、ゆるやかなつながりが形成されていきました。そして合計19名に。

【事前からのコミュニケーション】マネジメント体制
今回は小野さん中心としたボランティアマネジメント体制がとられていました。

・経験豊富なプロもボランタリーに参加してくれているため、そのメンバー4人を中心とした4組のチームを編成。
基本はこのチーム内でグラフィックレコーディング作成を担当していきます。

・ただし、同時通訳なし・英語でのインターナショナルセッションなど、言語スキルの有無が問われるものは体制を別途検討も。
チームを超えたメンバー間で「ペアならできるかも」「3人体制(レコーダー、メイン通訳、サブ通訳とレコーダーサポート)?」「3,4人ぐらいで総力戦でやろう」など、アサイン別途検討していました。

【多面的なコミュニケーションが発生する、チーム体制】ボランティア同士のコミュニケーション
最初はマネジメント⇔ボランティアの事務連絡から始まり、徐々にボランティア側からの発話が増えていきます。

・ボランティア側からの発話が一気に増えたのが、イベント開始直後である。(もちろん事前にもアイデア募集等はあり、会話が交わされているトピックもある)

・最初のオープニングセッションが描かれた様子、描いた後の登壇者や関係者との写真撮影、忘れ物の連絡など。
マネジメント側からの連絡に加え、チームのリーダーからの熱量や状況報告がどんどん交わされていきました。

※補足:ただし、オンラインはあくまでイベント現場の補完的な立ち位置のため、発生したコミュニケーションの分析については現場の様子もあわせてヒアリングする必要がありそうです。

【多面的なコミュニケーションが発生する、チーム体制】ふりかえりのコミュニケーション
イベント中にも実施されているコミュニケーションはおえていませんが、イベント終了後オンラインの振り返りスレッドで実施していたものをみると、以下のような分類ができました(一人の発話で複数のトピック重複もあり)。
マネジメント・チームリーダー・参加者(学生も、プロも)、そしてイベント運営側、それぞれからの発話があります。

▼オンラインで発生していたふりかえりのトピック(和田分類)
-International roundtableの感想および写真:13件
-アンカンファレンスの感想および写真:2件
-2日間通しての感想:3件
-【省察】グラレコ隊マネジメント:2件
-【省察】場をつくる体制について 事前からのイベント運営とグラフィッカーのコミュニケーションの方法:9件
-【省察】本番でのサポートの入り方、グラフィッカー同士の支え方:10件

▼コミュニケーションの流れ
・まずは「みんながんばった!」「おつかれさま!」等の感情中心の感想と写真があがる
・参加ボランティア同士での『グラフィッカー同士でどうかかわると描きやすいか』という見えやすい課題がまずあがる。
・『どう場をつくるのか、育むのか?』という視点での議論が、マネジメント・チームリーダー・参加者(学生も、プロも)、そしてイベント運営側、それぞれの視点から発話がでてくる。
・総じて感想から徐々に省察へ進み、そしてその省察に対してまた別の人が考えたことを伝えあう。

特におもしろかったのは、ふりかえりについて。
その場で感じた感想から、自然と省察が形成されていく。
そして、一方的に師匠やマネジメント→参加者へ、ではなく。
様々な立場をもった人から発話が多重的に交わされている
、というのが非常に興味深く感じました。

【2】共創の場で、場づくりのための可視化をプレイフルに学ぶ

こうした共創の場において、チームで実践することは、とくにグラフィックレコーディング、ファシリテーショングラフィック、ビジュアルファシリテーションといった、場づくりのための可視化を学ぶにあたり、とてもパワフルだなと感じています。
『作って、語って、振り返る』(上田先生の提唱する学びのTKFモデル)が自然に楽しく、チーム内で形成されていくからです。

『作って』:個人の複合的な高い技術に依存せず、チャンスや育める機会が増える

ファシリテーションや、さらにそこに描くことを組み合わせたファシリテーショングラフィック、ビジュアルファシリテーションは、高度な技術でもあります。
それゆえに、『場』に入ることが一番の学びになるのに、そもそも技術が足りなくて『場』に入れない・・・といった矛盾が発生してしまうのです。

この矛盾解消の手法として、場づくりのための講演のグラフィックレコーディングが位置づけられます。
実践者はファシリテーションを含まず『(聴覚及び他感覚含む)情報を聴き、構造化し、描く』へ集中することができます。(また、さらに『聴いて構造化する』『描く』に課題分割する等、取り組みを容易にする手法もあります)

描くこと自体の積み上げが場づくりともなるので、『まず場に入ってみる』をワンステップとしては活かしやすいのではないでしょうか。
また、講演でやれたと感じたら、次はその流れで共創の場のアンカンファレンスなどでの対話の可視化を行うといったチャンスも存在します。
必要性が高く需要も高い場で描くというステップアップを経やすいのが、共創の場における、場づくりのための可視化を学ぶ際のメリットともいえるでしょう。

『作って』→『語って』:チームで実施することで、自分一人ではできないことができる

ファシリテーションスキルがなくとも、描く技術に不安があっても、他の人のサポートが入るということ「一人じゃできないけど、この人とならできるかも!」という可能性を感じて実践することができます。ヴィゴツキーの提唱する『発達の最近接領域』が広がるという状況の発生です)
また、その過程においてコミュニケーションをとることは必須となるため、おのずと他者と『語る』必要性がでてきます。

『語って』→『振り返る』:外部刺激による省察がおきる

体験は、体験するだけではそのままで終わってしまいます。
学びを深めるために大事なのは、省察を行い、自分の血肉にしていくこと。
そのための省察=語って振り返るプロセスが発生するのは、他者がいることがとても大きな力となってくれます。

師匠と弟子的な一方的なフィードバック関係もいいのですが、反面、「自分の至らなかったこと」を一人の側面から見るということにもなり、私はこの関係性が恒常的に続くのはけっこう互いにとってつらいな~と思うのです。息つまっちゃう。
(そもそも、師匠と弟子なんているほうが恵まれているのかもしれませんね)

共創の場のいいところは、様々な関係者と多面的・重層的に語り合うことで、また違った刺激を得られるというところ。
そうした多面的・重層的な方面からのインプットをもちいて省察を行うことで、体験が自分の体におちて、学びを深めていくことができるのです。
なお、CODE for JAPAN SUMMIT 2017のグラレコ隊では、このふりかえりのプロセスを意識的に用いて実施をしています。

『振り返る』→『作って』:新たな学びや取り組みを促す関係を育む

同じ価値共創にむかって、手を動かして一緒につくるという行為そのものが、関係性を深める大きな手助けになります。
この関係性は秩序だって固定されたものではなく、ゆるやかな信頼関係でもって結ばれます。
実際にそうしたゆるいつながりこそ、あらたなつながりを生みだしたり、新しい取り組みが芽生えやすい土壌を育むのです。

こうして形成されたチームでの『作って、語って、振り返る』が新たな『作って、語って、振り返る』のスパイラルを生み出し、学びが螺旋上に詰みあがっていく力となる
・・・そんな学びのプロセスそのものがプレイフルなため、共創の場で、チームで関わるとても大きなメリットだと考えています。

課題

他方で、こうした共創の場で描くことについては、課題も多いのも事実です。
いくつか現段階で考えていることを挙げてみます。

・場づくりの最上流に入る必要がある
場づくりのどのようなシーンにおいてグラフィックを導入するか?それはなぜか?どう実施するか?
こうした問いを考えていくには、場づくりの企画の最上流、企画にどうはいっていくのか?が肝となります。
しかし、実はグラフィックレコーダーがアサインされるのは最後の最後で、企画への提案する幅が少ない、ということが多々あるのも事実です。

チームというのはグラフィックレコーディングのチームではなく、イベントやワークショップを創るチームなのです。
この認識をチーム内及び企画者側ももって考えていけるように、そうした取り組みの成功例をアウトプットしていく必要があると考えています。
また、そのマネジメントを実施できる人を育成するのも必要だなと実感。

・実行する力をもち、でもゆるやかな関係をつくるマネジメント
何かを実行しようとすると、どうしても秩序だった組織を無意識的につくりあげてしまう方も多いのではないでしょうか。←これが一般のビジネスの考え方だし。
ただ、新しい取り組みをうみだして相互に学びあって進んでいくには、オープンに語り合えるゆるやかなつながりが必要です
でも、ゆるやかすぎると目的に向かった行動ができずチームが崩壊してしまいます。
その絶妙なラインを探って、チームをマネジメントしていくリーダーが、共創の場においては必要とされていると感じています。
難易度高い・・・・と思うのは私だけではないはず。

【3】『グラレコ隊』が作っていたものは何か?~社会への活かし方~

CODE for JAPAN SUMMIT 2017においてグラレコ隊が作っていたものが、『理解のためのグラフィックレコーディング』と捉えるのはちょっと違うよな、と最近考えています。
もちろん理解のため、という側面もありますが。
だとしたら一人一人がスケッチノートに描いておいたのをネットで公開したり、文章での補足をしたりなど、もっとすべきことがあるかもしれません。

私個人としては、グラレコ隊がつくっていたものは、『あいまいな先のみえない状況において、新しいリビングシステム構築の一歩をふみだすために、プレイフルな場をつくる』そのための環境づくり・・・・という側面が強いのでは?と考えています。

『あいまいな先のみえない状況において、新しいリビングシステム構築の一歩をふみだすために』必要なこと

Art of Hostingにおいては”Living System 2 Loops”では、新しいリビングシステムを構築する際のステップとして、以下があげられています。

  1. イノベーターが切り開く
  2. 名づける
  3. 連携する
  4. ネットワークが構造を持ち始める
  5. 古いシステムから新しいリビングシステムへ橋渡しがされる

この過程においての『イノベーターが切り開く~連携する』のあたりについては、特に先が見えず、足がかりが少ないステップでもあります。

例えば現在の日本におけるシビックテック。新しいリビングシステムを築いている真っ最中です。
CODE for JAPAN SUMMIT 2017におけるグラレコ隊によるグラフィックレコーディングは、この先がみえない状況において、イノベーターが切り開いたり、名づけたり、連携したりしているその状況そのものを『状況を目に見える(=タンジブルな)形に可視化する』という価値があるのではないでしょうか。
また、新たな連携(拡散)にも活かすことができるのです。

『プレイフルな場をつくる』ということ

第3回Xデザインフォーラム「プレイフルな学びとオープンなデザイン」において、上田先生からは人々が熱狂的に集まって学びあう場をつくるための要件として『つくって、語って、ふりかえる』こと、そしてそれを誘発する『活動・空間・人・道具』の重要さが挙げられていました。
その道具の一つとして、グラフィックレコーディングは位置づけることができます。

CODE for JAPAN SUMMIT 2017にあてはめると以下のようなイメージでしょうか。
活動:各セッション、アンカンファレンス
空間:しあわせの村
人:シビックテック活動に関わる人、興味のある人、共感する人
道具:グラフィックレコーディング、おいしいごはんetc

グラフィックレコーディングの存在は、視覚から、場にあふれているものを感じたり、時に発想を促す刺激の一つとして機能します。
実は大事なのは、ここの『場にあふれているものを感じる』という部分。
場にあふれているもの=他人や状況による連携、そしてそこから生まれた生きるための工夫(=文化)なのです。
目に見えないけど、見えるようなしかけとしたのがグラフィックレコーディングです。

そして私は”Living System 2 Loops”における、特にステップ前半においては、上田先生の提唱するプレイフル・ラーニングである場をつくれるか?がとても重要な鍵ではと考えています。
イノベーターだけですべてが行えることは決してなく、他人や状況による連携こそが、継続や広がりをうみ、新たな変化につながると信じているから。

(前略)「プレイフル・ラーニング」を「人々が集い、ともに楽しさを感じられるような活動やコミュニケーション(共愉的活動、共愉的コミュニケーション)を通じて、学び、気づき、変化すること」と、ゆるやかに考えておくことにいたしましょう。
プレイフル・ラーニング 上田信行×中原淳

先行きの見えないこの時代に「プレイフル」や「楽しさ」というような言葉はどこか似合わないように思うかもしれません。
けれども、社会の閉塞感を打ち破っていけるのは、「プレイフルラーニング」にあると僕は心から確信しています。
先行きが見えないからこそ、明確な目的やプランが立てられないこの時代らからこそ、仲間とともに「やれそうだ」という可能性を感じて前に進んでいく人が増えれば、この閉塞感を打ち破ることができるのではないか、そう信じているからです。
プレイフル・ラーニング 上田信行×中原淳

事実、グラフィッカーのグラフィックはもちろん、躍動感、笑顔、そうしたものから場がゆるみ、会話がうまれ、新たな方向にむかっていくのを、私はたくさん見てきました。
自分が直接的にビジュアルファシリテーションを実施することはもちろん、同時に『プレイフルな環境をつくる』というのもファシリテーターの役目であるとも考えています。

※他にも、形がみえないゆるやかなつながりの類似例として、地域での行政職員でのオフサイトミーティングが挙げられます。
こうしたゆるやかなつながりが、行政、市民(NPO)、企業、3アクター間でどんどん発生しており、社会の閉塞感を打破しようとアクションを試みているところをみると、私はいち市民として、心から応援したいと思うのです。

まとめ:社会に活かしていくために

色々な会議や議論の場でのグラフィックをもちいた可視化を自分は経験をつんできましたが。
共創的な場で、新しいリビングシステム、つながりをうみだすための時に、私は描いていくことにとても価値を感じています。

考え方としては、人間中心設計や、サービスデザインの考え方に大きく影響をうけています。
「はじめはわからない、はっきりしない。それを恐れずにユーザーを知る活動を続ける」。
「複雑にいりくんだ本質的な要求を見つけ、プロトタイピングして試行錯誤し、愛されるサービスを作る」

お世話になっているIMJ太田さんと話す中で何度もでてきた言葉です。
この恐れと立ち向かう時のタンジブルな足掛かりとして、可視化は非常に有用な道具となりえるのです。

↑新しいリビングシステムやサービスをうみだそうとしている時、2Loopsのはじまりや、サービスデザインの考え方だと最初はとても入り組んでいます。カオス。
カオスの中を、共に歩む人とのゆるやかなつながり・生きる工夫=文化の体感を感じて前に進むために、可視化はよい道具となります。
反面、この新しいリビングシステムやサービスをうみだそうとしている文脈にいない人から見た際、道具としてのグラフィックだけ見ても「どう役にたつの??」と感じるのも理解しています。
所詮道具。万能ではなくって、使いどころなのさ!

—–
ちなみに、イベントにおける講演のグラフィックレコーディングに対する違和感の多くは「理解のため」と、パフォーマンスとしての側面のみが認知されてしまった結果のように思います。(もちろん、「拡散のため」というメリットはありますが。)

・イベントの種類で”Living System 2 Loops”の新しいリビングシステムをつくるステップ前半を扱ったものは、『新しいリビングシステムへ向けて、自分たちが進むために』という場づくりの目的自体が見えやすく、そういう趣旨での講演=体験や思考の共有は、非常にグラフィックレコーディングを相性が良いと考えています。

・逆に、”Living System 2 Loops”の古いリビングシステムの維持のため、という側面においては、場の目的が『守るために、形をなしたものを、他者へ啓発する』となり、場づくりそのものというよりは『理解・拡散』が主目的となってしまう。描かれたグラフィック=グラフィッカーが描いた主観的な情報のため、一定数の人は記録の価値に疑問を感じることも。
—–

というわけで。

今後共創の場はもちろん、ビジネスの現場(サービスデザインの現場)での、グラフィックやリアルタイムドキュメンテーションを用いた可視化の事例~カオスの中の歩き方~をだしていくのが私たちにできることかな、と思っています。
いい道具だと思っているので、いい道具の使い方ができる現場=社会的にもビジネス的にも価値共創『ともにつくるものとしての仕組みづくり』をしていける現場を増やしていけたらいいなと思うし、増やすために修行していきたいと思う次第です。

なお、サービスデザインの現場が全てではないし、いろいろなひとの現場があると思います。
いろいろな人の現場と、その現場でどう可視化を用いているのか?について、その多様さにふれることもとても大事。
現場によって適する道具が違うので、道具単体じゃなくて、お互いの現場の文脈と、その文脈でいきているその道具を見ると、とっても楽しいぜ!

まず第一弾としてそんな日本全国の現場の文脈と道具を見れるのが、ビジュアルファシリテーションフォーラムです。

「サービスデザインの手法を用いて、新しいリビングシステムをうみだすにあたって、カオスな中でどう歩いて旅をしていくのか?」
ここについては、お仕事で私も関わらせてもらっており、グラフィックを使った事例が実際に展示されるので、お越しのかたはぜひご覧ください。
お声がけいただければ、解説します♪

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