ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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「わかりやすくしない」ということ

サービスデザインのプロジェクトでファシリテーションをする中で、師匠筋的な人達、それも複数から、私の関わり方について「わかりやすくしすぎ!」「わかりやすくしてはダメ!」という指摘をいただいた。

もんもんともらった言葉について数日考えて、ようやく自分で解釈し、言語化できてきたのが現在。
でも、会社の日報につけるにはいろいろロングなので、多少抽象化しつつもブログに書くことにした。

作文、受験小論文、塾講師、家庭教師、情報設計、会社内でのノウハウ伝達。
様々な人との関係性の中で、私は情報を編集し、教えるという行為を積み重ねてきて、「わかりやすい!」「いてくれてよかった!」という風に評価をしてもらってきた。
小さい頃から息をするがごとく「わかりやすいかどうか?」を判断して表現を行ってきていたのだ。
だから、「わかりやすくしすぎ!」「わかりやすくしてはダメ!」という指摘に私はものすごーーーーーーーーーーーーーーく、戸惑った。

「わかる」という体験

社内で関わり方についてあれこれ話すうち、「わかる」という体験は人や使う目的によって違うんじゃないかな、という話が言語化されていった。

▼「わかる」という体験のパターン
A:全体像を瞬時に捉えて、あとはやってみて考えて「わかる」
B:全体像をとらえて、さらに様々な情報を統合し、そこからやってみて「わかる」
C:部分を捉えて、そこから全体を想定していって「わかる」
※他にもあるかも

ゲームに例えると、Aは「説明書とUIをぱっと見て、ゲームを開始する(場合によっては説明書も読まないかも)」だ。
自分で切り開いていくことに価値を感じ、とにかくゲームを直感的に進めてみて、そこから全体を想定し、パターンを考えるタイプ。
ゲームセンターCXの有野課長ぽいかも。

Bは、ゲームソフト購入と同時に、攻略本を買って、ゲームをやりながら攻略本も読み、効率効果的な攻略にときめきをかんじるタイプ。
私はまさにこれで、信長の野望の攻略本とか、三国志の攻略本とか、ゲームやらない寝る前とかも読んで「この城攻めるならどうせめようかな~、この武将をこう配置して・・・」とか考えていた。攻略本だけよんでても超ワクワクする。

Cは、説明書とかそっちのけで、とにかくゲームをはじめてみるタイプ。
はじめてゲームを買ってもらった子供とかが近いかな・・・?(ゲームはちょっと例えづらいけど、銀行とかの大企業でのいち社員の仕事、とかに近い?)

このうち、私は無意識的に自分と同等であるBパターンでの情報出力をしている、ということがわかってきた。
Aパターンの人にとっては解釈、再解釈する余地を消しているのみならず、冗長で、退屈なのだ。

また、使う目的も。
・一対多で、情報を効率的に教えて定着させていく(=形は変わらない)
・学ぶ側が解釈、再解釈して、自らの血肉にする(=形は変わる)

このとき、私が関わってきた関わり方Bパターンは、「一対多で、情報を効率的に教えて定着させていく(=形は変わらない)」という目的の下、うまく機能していたのだ。
逆にいうと、「学ぶ側が解釈、再解釈して、自らの血肉にする(=形は変わる)」の時には機能しない。
子供のあごを育てなければいけないのに、いつまでもやわらかい離乳食を与えているようなものだ。相手を大人扱いしていないようにもとられてしまう。←そして実際に指摘された・・・

関わり方を変えること

関わり方を変える、というのは、自らの得意をいったん捨てることでもある。
これ、人間としてクッソ辛いことだと思う。三十路超えてるならなおさら。
だってそれ背負って、それが社会人人生の価値として、社会の中で生きてきたんだもん。

「ちはやふる」で、主人公の千早が原田先生から「(かるたを)速く取るのをやめなさい」と言われた気持ち、めっちゃわかる。


ちはやふる6巻より引用

「悲しい」のだ。
それが自分にとってのあり方だったから。


ちはやふる6巻より引用

でも、そこに頼ってばかりだと、前に進めない時もあるんだよねええ。
社会マジ辛い。鬼か。
といいつつ、どこかでその刺激を欲している自分もいるのです。
だからこそwebディレクター⇒サービスデザインやるビジュアルファシリテーターにジョブチェンジしたわけで。
欲しているというよりは、渇望している、か。
渇望している割にその壁が目の前に見えたとき、もーいい大人がマジ泣きしているんですけどね!はははは!!!
この矛盾!人間は矛盾している生き物だとエンパシーマップ書いててまじでおもったけどまじ矛盾しかねえ。

ちなみに、ちはやふるで、千早が新たな強みを得ていくきっかけとなったのは『チームの力』でした。
チームの他の人のいい点を見る、というとこ。
今日あるプロジェクトのチームでの打ち合わせをしていて、「ああ私チームのメンバーがいるなあ!!!」と思った瞬間、なんかものすごく楽になったのでした。
(いやまだ解決してないんですけどね。笑。でも、私はいていいんだ、ここで歩ける!って思っただけで、すごく気持ちが変わった。)

—-

幸い、得意をいったんおいて、異なる関わり方をたくさん試させてもらえる現場を今はいただいているので、そこで試行錯誤していきたいと思うのでした。
幸運なことです。ありがたやありがたや。

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