ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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ECサイトはスマホ化すべきか?(3)「スマホ化すれば新規のお客さんが来て買ってくれる」論をぶったぎってみる

「スマホ化すれば新規のお客さんが来て、買ってくれるんでしょ!」とトンデモナイことを言い出すの人は、ガラケー時代の集客状況をそのままスマホにもあてはめている・・・ということに最近気づいた。
特にスマホ化検討している周囲の方にスマホサイトつくれば新規のお客さんがきてくれるなんて甘い話、ありえないですよー!」と叫びたくて叫びたくてしょーがないのだが・・・しかし、叫んでも相手の耳に届くかどうかはわからないし、その行為は社内の一部の人に喧嘩売る行為にも等しいと思うので、社内平和を考え、ブログに書いておくことにした。

ガラケーサイト構築=
新規集客経路を増やすこと。


2008年〜2010年頃のガラケー全盛期時代には、ガラケーサイト構築はすなわち、サイトの集客経路を一つ増やすことを意味していた。ドコモのiモードのように、キャリアが公式サイトでユーザーを囲い、そのユーザーをキャリアが自社サイトに運んできてくれたからだ。

特に公式メニューと、公式サイト検索の威力は絶大だった。公式サイトの広告欄にサイト広告だすだけで、流入が前週比120%程度となったりした。公式メニューの掲載順位はUU数で決まり、上位に出るほど集客が見込めるから、各CPはこぞって掲載順位上げに尽力していた。一部広告代理店では、UU数を水増しするようなサービスも販売してたりした。ひどいなあ。

もちろん、公式以外の検索も発達はしてきていた。2008年頃?からgoogleの携帯検索サービスをdocomoもauもsoftbankもとりいれ、公式サイト以外のサイトもクローリングしていたものの・・・クローリングがはじまったとたん、アフィリエイターたちが我こそはと参入し、クオリティの低いサイトが乱立する有様となった。黒バックにひたすら赤文字でアフィリエイトリンクが100個並んでるページとかね。
そんなサイトばっかがでてくる検索結果にユーザーが見向きもするはずもない。多くのユーザーは仕方なく、公式メニューからサイトを探すか、公式サイト検索でまともな公式サイトのページに着地し、そこから購入せざるをえなかったのだと思う。

事実、2010年5月にドコモが検索エンジンをgoogleからgooに突如変更しても、私が運営していたキャリア公式サイト(旅行系EC)は、予約数にほとんど影響がでなかった。唯一影響がでたのは、アフィリエイトサイト経由の流入が減ったことだった。検索エンジンがgooになったことにより、クローリング対象とされず検索結果からはじかれ、ドコモ携帯の流入数が激減したアフィリエイトサイトはさぞかし阿鼻叫喚だったことだろう。

スマホサイト構築は、新規集客経路とは違う。
導線改善に近い。


しかし、スマホはちょっと違う。キャリア公式サイトが発展する前に、みんなブラウザでスキなPCサイトを直接みて、ブックマークしていたのだから。今更キャリアの公式サイトに行くというステップをふんで、サイトを探すというフローは経ないはずだ。ゆえに、スマホにおけるキャリア公式サイトの集客への貢献力はガラケーに比べ圧倒的に低い。

その最たる例は、ドコモが鳴り物入りで始めたスマホ版iモードの「dメニュー」。リリースした11月中旬以降、デイリーでトラフィックを追っていたけど、google検索の100分の1程度の流入もなかったよ・・・。とほほほ。ドコモに提出する申請書を苦労して書いたの、軽く後悔した。そのうえ2月、dメニューリリース記念のカンファレンスにCP(コンテンツプロバイダー)として招待されたのでのこのこ参加してみたら、カンファレンス上でのパネルディスカッション登壇者から「dメニューって存在感が薄いですよね」と言われてる始末だったし。大丈夫かこのサービス、と思ったのは絶対私だけではないはず。

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まとめると。スマホユーザーはPCサイトを見ようと思えば見れてるのだから、ECサイトのスマホ化は、新規集客経路構築というよりは、既存経路の導線改善チューニングと考えた方が適切なのだ。
当然、導線の改善には相応の工数が必要となる。PCサイトやガラケーサイトと全く違った運営も必要となる場合もある。そういう工数を考えず、スマホを新規集客経路とみて「スマホサイトを一回つくれば、お客さんが自動でくる。だからスマホサイトつくろう」といってスマホサイトをつくるのは、あまりにみこめるリターンが少なく、多大な制作費をどぶにすてることに等しい行為だと思うのだ。

あ!もちろん!スマホサイトを新規集客経路として否定しているわけでは全くない。新規集客経路として施策していくことも十分可能だと思う。あくまで、自動販売機にはならず、運用工数それなりにかけるからこそ開ける、新たなチャンス=スマホの新規集客経路、だと思うのだ。次はそのあたりを掘り下げて考えてみたいと思う。

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