酒が苦手だ。どのくらい苦手かというと、缶酎ハイ一本のんで即ゲロを催し、便所を占拠するくらい苦手。アルコールパッチテストをすれば、アルコール染み込ませたガーゼをはみ出る勢いで皮膚が真っ赤になるレベルだ。酒のんだら世間様に迷惑しかかけないと思うので、飲むのは控えている。
というわけで、バーの雰囲気は好きでも、酒飲めないからという理由で気が引けてしまい、中々いく気にはなれなかった。しかし、今日は旅先でうかれぽんちになったゆえ、勢いでバーにいってみた。三島の市街地にある、食べログで一位のバー。結果的に、入って大正解。お酒飲めない私でも、お酒を選んで飲むのと同じ体験をさせてもらうことができたから。
想定してたこと:おいしいノンアルコールカクテル飲めればいいな!
バーは川に面した立地で、川に接した壁を一面が窓になっていて、暖色の光でライトアップされた水の流れを楽しむことができた。落ち着いた雰囲気。そんな中で、のんびりノンアルコールカクテル飲めれば幸せだなーと思ってた。実際、一杯目にでてきたカクテルは、生のいちごから作った朱色のノンアルコールカクテル。グラスもひんやりしてて、とても美味しくいただくことができた。
一杯目をのみおわる頃から、私は夫と酒の瓶について語ってた。私はお酒は飲めないけど、酒の瓶は好きだ。デザインが一本一本独特でカラフルで、ずらーっと並べると多彩な色できらきら光ってセクシーだから。中でも、目を引いたのがウォッカの瓶だった。ボトルのネック部分に、ラインストーンがうまったネックレスをつけており、ボトル中心には白い鳥の絵。その下は曇りガラスのようなぼやけた風合いになっているのだが、一部だけ窓のようにクリアなガラスになっている箇所があり、その窓をのぞくと、ボトルの向こう側に描かれた果実が見えた。
その瓶がどのボトルよりも煌めいて見えて素敵だったので、バーテンダーさんに頼んで、手にとらせてもらった。「オレンジ風味のウォッカなんですよ」とバーテンダーさん。窓から見えた果実はオレンジだったのだ。窓をのぞいてはじめてオレンジだとわかる瓶と、飲んではじめてわかるオレンジの風味をリンクさせたデザイン。感動した。もし私がお酒をのめたなら、絶対にこのお酒をベースにしたカクテルを頼んでいただろう。しかし、私は全く飲めないので、このお酒を眺めてはニヤニヤしてた。
想定をこえたこと:私が気に入ったお酒からつなげて、ノンアルコールカクテルを考えてくれた
一杯目のカクテルがとても気に入ったので、私は二杯目をオーダーした。二杯目も当然ノンアルコールカクテル。するとバーテンダーさんは、三角形のグラスを冷蔵庫からだしてきてくれた。注がれるオレンジの色の液体。ノンアルコールのファジーネーブルだった。飲もうとしてグラスを持ったら、なんとそこには、先ほどのボトルに描かれていた鳥の絵があったのだ。その瞬間気づいた。バーテンダーさんは、私が例のウォッカを気に入ったのをみて、ノンアルコールカクテルでも同じ「選んだ酒を楽しむ」ような経験を作ってくれたのだと。私はお酒は飲めないけど、グラスを持つことはできる。だからこそ、グラスは例のウォッカのものを選び、ファジーネーブルというオレンジの存在を楽しめるノンアルコールカクテルをだしてくれたのだ。
自分が気に入ったお酒をもとにしてカクテルを作ってもらう、という経験、私は全く期待してなかった。だから、いざ経験を作ってくれると、いい意味で予想が裏切られてすごく印象に残ったのだった。サービスもきっと同じだよね。直接こたえることは無理でも、近い代案を提示すれば、相手の期待を超えることはできる。私もネットでのサービス作るにあたり、このバーテンダーさんのようなサービス設計したいと思う。道程は長いががんばろう。うん。
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