
きっかけは、棚橋弘季さんのブログ「巨大な豚に口紅を塗ることがUXをデザインすることではない。」という記事。
「巨大な豚に口紅を塗るデザインプロジェクトを疑おう」と。まさにそのとおりで、UXをデザインすることは単に既存のシステムの表面に口紅を塗るこ とではありません。フィーチャーフォンという枠組みのなかに留まり、AからBへの山を登るためにUIを改良することではないのです。
UXのデザイナーは、既存のシステムそのままにUIやタッチポイントを改善することがUXデザインではないことを理解しなくてはいけません。そうで はなく、真にユーザーの観点に立ち、まったく新しい体験価値を生み出すような新しいシステムそのものを生み出す発想を行なうことが真のUXデザインだと理 解し、自身のデザインワークを行なう必要があります。
「真にユーザーの観点に立ち、まったく新しい体験価値を生み出すような新しいシステムそのもの」まで考え抜き行動したか、と自問自答すると、答えはNO。巨大な豚に口紅をぬる、という最低レベルでこそないけど、巨大な豚を整形→そこそこ人間っぽくして口紅ぬっている感がしたのだ。
そこそこ人間風にした巨大な豚に、口紅を塗る仕事の限界
私は要件定義で「どうすればそのスマホ端末でユーザーはつかいやすくなるか?」を常に考えてる。基本、運用の立場を考慮し既存のロジックの変更はできないので踏襲して使わざるをえないが、必要に応じて、スマホならではの見せ方を考える。
例えば。1画面で2種の行動をさせざるを得ないロジックの場合は、画面要素を2分割し、CSSでhiddenにしてスライドの仕組みをつくり、擬似的にページ遷移した2画面に見せるように改修する。基本的にスマホサイトの画面は1画面で1種の行動しかさせてはいけないと思うからだ。
また、既存のロジックには存在するベンリな要素でも実装しない場合もある。どんなにベンリでも、狭い画面内に様々な遷移を必要とする導線の場合、ユーザーが画面内で迷子になってしまうだろうから。迷子増やして離脱を増やす、よりは、とにかく頭使わなくてもさくさく前へ進める導線をつくったほうがいい。
ぱっと思いついたものとしては「表示速度、レスポンスの速さ」と、「サービス全体への影響」。
限界の例1:表示速度、レスポンスの速さ
表示速度の重要さについてはゴメスの調査データ『「スマートフォン・サイトパフォーマンス調査結果」の発表について』が数値化しているので、ご参照あれ。
スマートフォン利用者の58%はPC用Webサイトと同様のサイトパフォーマンス(※2)をスマートフォンサイトに求めており、表示速度が3秒を超えるとそのページからの離脱率は12%、10秒を超えると20%に増加するとされております。(※3)。
スマホサイトつくるときには、既存のデータをそのまま使うということ自体、見直す必要があると思わざるをえない。
その点、アメリカのKAYACは秀逸。(スマホでみてね!)
検索した後の並び替えや条件変更、次の○件への遷移など、1秒もたたないうちに必ず表示される。スマホでさくさく操作するにはぴったりだ。
KAYACはどうやって操作しているかというと。
というかんじ。KAYACの並々ならぬスマホへのこだわりがみてとれる。
・すべてのjs、CSSの圧縮
・GPSを使って近隣地域を絞り込み、場所関係のデータの入力を省く
などなど、解はたくさんあるように思う。
例2:サービス全体への影響
Hanukkah services for soldiers / Center for Jewish History, NYC
例えば、電話。スマホはガラケーと同じく「電話をできる」という端末だ。よかれと思って問合わせの電話の導線をわかりやすく追加したら、電話回数が大幅増加し、さばききれなくなってしまう可能性だってある。優秀な見込み客であれば嬉しい悲鳴だが、冷やかし同然の薄い顧客であれば、電話回数における成約率は大幅に下がる。見込み客が問合わせをするというUXを改悪してしまうのだ。この例でいえば、どういったニーズの客をどうやって電話問合わせに誘導し、成約させるかという、従来のweb制作からは離れたサービス全体の設計も必要となる。(こういうとき、カスタマージャーニーマップって作って考えるのかな)
UIという、画面の見た目+αだけ小手先でかえても、多少遷移はしやすくなるかもしれない。けど、サービス全体のUXの改善ができるかというと、全然改善が足りないのだ。
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