ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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「UXデザイン体験ワークショップ -ユーザーの”これが欲しかった”を形にする-」に行ってきた!まとめ #pasona_ux

5/19(土)にパソナテックとNHN Japan主催の「UXデザイン体験ワークショップ ~ユーザーの”これが欲しかった”を形にする~」に参加してきました!

今回の私の目標は「人間の体験からうまれるインサイトをみつけて、サービス設計に活かす」でした。自社ECサイトのUX、UIを考えるのにあたり、データからなる定量的データに基づいてユーザーのニーズを探ることにはなれてるものの、実際に人間の体験から基づいた設計となると、考えられてるかどうか不安だったので・・・。。

このセミナー、参加人数50名のところ、申し込みはなんと200名もあったそう!抽選に当たったのはとてもラッキーでした。参加者はディレクターの他、デザイナーさん、コーダーさんなどwebサービスに関わる職種の方が満遍なくきていた印象です。
※UX=ユーザーエクスペリエンス。製品やサービスの使用・消費・所有などを通じて、人間が認知する体験のこと。

LINEのUXストーリー

NHN ウェブサービス本部UXデザイン室のプレゼンでは、LINE誕生に際してのUXストーリーを語ってくださいました。

(1-1)東日本大震災で生まれた「困ったこと」の解決で生まれたLINE

・2011年3月11日、東日本大震災が発生。そのとき「家族や大事な人と連絡することができない」という困った状況に、多くの人がさらされた。
・この「困った状況」を打破すべく「家族や大事な人と連絡するデファクトスタンダードを産む」というミッションをもってLINEは開発スタート!わずか1.5ヶ月でサービスインとなった。
・このはやさのひみつはアジャイル開発とのこと。

この「家族や大事な人と連絡することができない」という困った状況、私も震災後何度も体験していました。で、実際に緊急連絡として、家族とLINEを導入しました。その導入の決めては「既読」がわかる安心感でした。まさに、LINEのミッションに基づいたUXデザインが、我が家を助けてくれたということにびっくりしました。

千葉県沖で震度5の地震があった日、東京都内では緊急地震速報が流れました。
電車の中だから電話できないし、しばらくしたらネットもつなげなくなるだろうな、と瞬時に考え、夫に所在地と今後どうするつもりかをLINEで連絡しました。
そしたらすぐ「既読」になり、妙にほっとしました。相手の状況はわからねど、少なくともこちらの伝えたいことが伝わったことがわかったから。

この顛末は「LINEが便利すぎて、夫婦間電話が57.2%減、メール100%減した経緯」という記事に記載しています。ハイパーご都合主義的に見えるかもしれませんが、本当に緊急連絡に便利だったのですよ。。。

(1-2)LINEのデザインについて

・メッセージアプリはあたたかいかんじのデザインをイメージするけど、コミュニケーションを主役と定義するため、LINEのUIはクールなデザインを目指した。
・また、配置する要素は絞って、この画面で何をするか、誰でもわかるように設計した。情報や操作機能の多さはノイズ機能にもなりえるためだ。
・スタンプ機能が実装される。日本は言葉にしないでわかりあうハイコンテキスト文化で、携帯でも絵文字がたくさん使われていたため活用されるのではと考えていた。その際、スタンプを通常の絵文字よりでかくしてみたら、感情がより伝わるようになった。例えば「泣く」というビジュアルもたくさんある。スタンプは一つの絵でいろんな意味合いをもたせることができる。これがアジアでのヒットの要因となった。
・また、LINEが各国で広がった要因は多様!イスラムでは礼拝の時間告知しあいのツール。香港ではふるふる機能で意図しないユーザーとのコミュニケーションが発生。

私も、スマホのUXUI開発のとき気をつけてたのは「一画面でユーザーにやってもらうのは一つ!」ということでした。スマホの狭い画面で、しかも簡単にスクロールできる画面中、ユーザーにいろんなことをしてもらおうとするとユーザーが迷子になってしまうと考えているから。
PCサイトの同等の機能を移植できる場合も、あえて要素を削ったりしてます。迷子をださないことは大事!

(1-3)LINEのユーザーテストについて

・LINEのユーザーテストについて。コミュニケーションツールゆえ、三人一グループで行った。お題にそった話題をしてもらったり三人のうち一人だけにお題を与えて機能使えるか試したり。ユーザーの利用シナリオにあうようにテストを設計した。
ユーザーテスト設計は大事!知りたいことを知る手法を選ぶ。正確に実施するための台本を作ろう。質問をまとめた台本をつくると、同じテストを何回もくりかえすときに便利だ。

このユーザーテストの実施は、以後も課題だわ・・・・と思いました。ユーザーからうまく意見をひきだすテストを設計できるようになるという点については自信があるのですが、コミュ障ゆえユーザーと対話したときに会話からいろんな要素をひきだすという点については、激しく不安なのです。。うううう。でも、ものをつくるためには乗り越えねばならない壁かもしれません。

初心者&コミュ力なし人間もできたよー!UI改善につなげるグループインタビュー
↑今の私にはこれが精一杯!(笑)

(1-4)制作プロセス

・企画者とUXが一体。ほかにデザイン、エンジニアがいる。どの部署からも改善案がでてくるようにしている。
・UXはプロポーズ。自分が相手と関係を積み上げた上であるパターンで成功しても、関係を積み上げてない他のひとは、同じプロポーズ方法とっても成功しない場合もある。ユーザーをリサーチして、ユーザーが求めるものつくるのが大事

開発のスピード、改善のスピードがとにかくはやい!UX設計、デザイナー、エンジニア、誰でも改善を提案して実装していけるのがその速さの秘密だそう。その状況を「サッカーいたるところでパスが発生して、ゴールがうまれるのような開発の仕組み」と例えてたのが印象的でした。自社でもとりいれたいなあ。

ストーリーテリングに基づいたUXと、ワークショップ

では、LINEのように「困ったこと」からUXデザインを生み出すにはどうすればいいのか?というフローを、実際体験できるワークショップに入りました。ストーリーテリングについての解説の後、ついにワークショップがはじまりました。わくわく!

(2-1)ストーリーテリングについて

ストーリーテリングとは、ストーリーの形式を使って情報を共有すること。ストーリーに共感したユーザーにアクションを促す手法。まずはストーリーを集める。
・リサーチャーのすべきことは、ストーリーテラーのコンテキスト(5W1H、感情や五感)の収集。自分がたりや逸話から、コンテキストの断片をあつめる。もちろん、こうした「聞いたり観察したりする方法」以外にも、カスタマーサービスなどの定性的なデータ、定量的なログデータで情報収集もできる。
・半構造化インタビューが有効。クローズドコミュニケーションからはじめて、だんだんオープンに。人の話を否定せず、受容的積極的にきいてくアクティブリスニングすることで、相手がより話してくれるようにするとよい。

(2-2)困ったことストーリーから、その問題を解決するサービスを考える

今回は飲み会、旅行、ソーシャルネットワークからお題を選びました。

・そのテーマについて「いつどこで」「何を、なぜ」「どのように」「楽しいこと」「苦労すること」「工夫すること」「感情感覚」をインタビュー
・そのインタビュー結果をグループ内でシェア。ストーリー作りに役立つアネクドート(シーン)を集める。どの人の困ったストーリーを解決するかを決める
・ストーリーを作る
今回は「英雄構造」ストーリーの構造にもとづき、ストーリーの要素をつむいで、困ったことの解決する方法を探る。
※英雄構造は桃太郎のストーリーに近い。おじいさんは山へ芝刈り、おばあさんは川に洗濯という日常生活をしてたら、桃太郎が川lからどんぶらこっこしてくる(冒険へのきっかけ)。桃太郎は鬼退治に出かけ(はじまりと試練)、さるときじと犬に出会い(冒険の世界)、鬼をやっつける(目的の達成)。で、桃太郎は宝物をかかえておじいさんとおばあさんのもとにもどり、めでたしめでたし(日常世界への帰還)。この世界にあわせて、ストーリをつむぐ。

私たちのグループがつむいだ話はこう。

★ストーリー
「サークルの後流れで近場飲み会を考えてるTくん。人数もそれなりにいる。しかも、メンバーの中には「野菜食べれない」「肉がいい」というこだわりもつ人もいる。さて、飲み会の場所を決めるにはどうすればいい?じゃあ、お店と自分達のマッチングサービスを使って、飲み会の場所を探してみよう!

その後、困ったことを解決するサービスを考えました。また、考えたサービスを、ターゲットオーディエンスである「経営者」もしくは「ユーザー」に対して説明もすることに!(その趣旨で1分プレゼン。)。私はひっさびさのプレゼンゆえ緊張。。脇汗ひどかった。

★ソリューション
※以下私が発表した内容でしたが、グループの他の人の意見もおもしろかったです!
自分たちの飲み会へのわがままと、お店をリアルタイムでマッチングするスマホアプリ。
Tくんはスマホで、GPSで現在位置を指定、人数やメンバーの好き嫌いを入力する。すると、その情報をみたお店が「じゃあ、うちへおいでよ」というプッシュ通知をする。
Tくんにとってのメリットは、メンバーの好みにあった、必ず入れるお店を発見することができる。(食べログだと、当日リアルタイムの空き状況はわからない。)また、お店にとっては、当日の空き状況にあわせて、集客を行える。呼びこみ人員を削減できるので、その分サービス充実に人員をあてられる。

他のチームでも、それぞれおもしろいサービス提案がなされてました。私が一番いいな!と思ったのが、同じ「飲み会」を選んだチーム。ストーリーと内容は以下。

facebookのイベント機能で、初めて会う人との飲み会があった。でも、その飲み会のあとまでつながって実際あう関係にもっていくのが難しい。
そこで活躍するのが、facebookのイベントの際、その飲み会に参加する人で属性が近いメンバー同士をマッチングするするサービス。属性が近い者同士だから、飲み会で話のとっかかりも得やすいし、今後もつながっていける可能性が高い。

このサービスは本当にほしいですー!私は人と話すのが苦手で、何を話していいかわからず、時間だけがすぎていく・・・そんなことが多いのです(泣)だからこの「困ってること」はとっても共感しました。。誰かつくってくれないかな。

感想:ストーリーテリングからUXデザイン考えると、世界が広がる!

このセミナーでて感じたのは、スマホのような日進月歩で進化する端末にあわせたサービスを運営するには、長期的なスパン・短期的なスパン両方で、しかもサービスに関わる様々な立場の人から意見をだすという形の開発が必要・・・ということでした。
そして、その開発を考えるために、「ストーリーテリング」は有効だということ。机の上で、ログデータやアンケートデータを見ていても、ユーザーが実際に困った具体的なシチュエーションまでおとしこんで、その相手のことを考えてサービスを考えるのって難しいもの。実際に相手にインタビューして、そのときの相手の表情、話し振りを目で見て耳できいて会話してはじめて、感じるものもあるんだと思います。

本日登壇された酒井氏のブログを拝見していて、こんな文章がありました。サービスに活かすインサイトを見いだすには、多くの人の経験から抽出するのは大事と実感し、今日そのフローを体感できてよかったなあと思いました。

ユーザエクスペリエンスデザインにおいて私達が日々苦闘している事の本質は何なのかを考えた時、私は全て”コンテクスト”というキーワードに集約できるのではないかと思います。ある人の、ある時点における、ある状況のなかで経験したこと・すること、そのときその人の中でどのような情動が生まれ、結果として何がもたらされたのか・・・。私たちはこの、あるコンテクストにおける人々の気持ちと行動の断片を様々なリサーチ手法を活用してかき集め分析することでパターン化し、多くの人々が経験し共感するファクトからインサイトを見出して、隠れたニーズを同定したり製品やサービスのデザインに活かしています。
“ストーリーテリング” について考えていること

ユーザーの視点からサービスを考えるという意味では、今読んでる「ペルソナ作って、それからどうするの? ユーザー中心デザインで作るWebサイト」とも、考え方が共通しているかもしれません。

おまけ

セミナー終了後、みんなでおやつをいただきました♪たくさんはなせたよ!参加者の皆様、おつかれさまでした&ありがとうございました!

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