ビジュアルファシリテーターの阿呆な研究

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LINEのスタンプ「ブラウン」は何故ダントツ人気なのか?勝手に考察

LINEでダントツの人気をほこるスタンプは「クマのブラウン」とLINEブログに記載があった。

私もブラウン好きなLINEユーザーの一人。夫とのlineの会話の半分を、ブラウンで埋め尽くすくらいにブラウンが好きだ。ブラウンスペシャルのスタンプも、発売当日に買った。溺愛である。
溺愛の理由は「かわいいから」の一言につきるのだけど、今回はその奥にある、「ブラウン」ダントツ人気の理由を勝手に考察して述べてみようと思った。ポイントは「無表情」という点にあると思う。

特に、LINEのスタンプ機能開始当初からのオリジナルキャラクターであるクマの「ブラウン」は、お使いいただいている皆さんからもダントツ人気!ぬいぐるみを限定発売した際には、ブラウンのみオープン15分で売り切れるほどでした。
LINEブログ


ブラウン人気存在を考えるきっかけは、pasonaとNHNが開催したUXについてのセミナー「UXデザイン体験ワークショップ -ユーザーの”これが欲しかった”を形にする-」で、NHNの方が話してたLINEのスタンプについての考察だった。

・スタンプ機能が実装される。日本は言葉にしないでわかりあうハイコンテクスト文化で、 携帯でも絵文字がたくさん使われていたため活用されるのではと考えていた。その際、スタンプを通常の絵文字よりでかくしてみたら、感情がより伝わるように なった。例えば「泣く」というビジュアルもたくさんある。スタンプは一つの絵でいろんな意味合いをもたせることができる。これがアジアでのヒットの要因となった。

ポイントは「一つの絵でいろんな意味合をもたせることができる」という点。
LINEの数あるスタンプ種類の中で、特にいろんな意味合いをもたせることができる存在が「ブラウン」なのだと私は考えている。

LINEのスタンプの種類

LINEのスタンプには、「ブラウン」の他、うさぎの「コニー」、まるい顔の「ムーン」、なんかイケメン風な「ジェームス」がいる。(よくブラウンとコニーと一緒にいるひよこ、名前はないのだろうか?)
コニーもムーンもジェームスも、とっても表情豊か。喜怒哀楽がすぐにわかる表情をしている。

例えば、コニー。落ち込んだら耳がさがり目を閉じている。嬉しいときには少女漫画的キラキラを目の中にいれてたららんと踊り、疑わしい何かがあればしかめっ面する。

一方の「ブラウン」だけは、常に表情が一定だ。ポーズや所持品が代わったり、時に汗をかいたりしてるけど、表情はずっと同じ。紹介文にも「あまり感情を顔にださないのが特徴」と記載されている。つまるところ「ブラウン」は無表情。絵単体では、感情を感じづらい。

発信者側:無表情な「ブラウン」には色々な感情を託しやすい

しかし、絵単体で無表情で感情を感じづらいがゆえの効果もある。コミュニケーションの発信側・受信側相互における様々な文脈で「ブラウン」のスタンプを用いることができるのだ。

LINEにおける情報発信者と受信者は、基本的には知り合い以上の関係性だ。コミュニケーションの基盤である「言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性」にある程度の共通項があると思われる。
情報発信者と受信者でなされるコミュニケーションは、ハイコンテクスト(共通の知識や体験、価値観に基づいてお互いに相手の意図を察しあう)か、ローコンテクスト(言語を用いて相手の意図を理解する)か、というと、ハイコンテクスト傾向な会話がなされていると考えてよいと思う。
ただでさえハイコンテクスト文化な日本の中で、さらにハイコンテクストなLINEの中の会話。
そんな会話の中で、感情を感じさせない「ブラウン」は、情報発信者としては様々な意味を託しやすいため、使い勝手がよいのではないだろうか。

一方で、共通項が少ない相手同士のローコンテクストなコミュニケーションにおいて「ブラウン」は使いづらいなあと私は感じる。
例えば、ECサイトでの販促のページ。発信者としては「この食べ物はこんなにおいしいんですよ!」という意図を、まったく会ったこともない受信者に伝えるため、文章に挿絵を追加するとする。このとき入れる挿絵としては、無表情な「ブラウン」より、目をきらきらさせて踊ってる「コニー」のほうがよい、と皆考えるのではないだろうか。

「コニー」の表情は、嬉しい、楽しいというようなプラスの感情を表現しているうえ、動作での感情を表現しているため、受信者が的確に発信者の意図をくみとることができる。「ブラウン」の場合だと、動作に感情があらわれていても、表情からは感情を感じないため、どうしても「コニー」と比べると感情が直感的によみとりづらくなる。

受信側:無表情の「ブラウン」が意図するものを、解釈する楽しみがある

普段の生活において、ハイコンテクスト、ローコンテクスト両方のコミュニケーションが存在するとはいえど。日本では、古くからハイコンテクストなコミュニケーションの中で受け手が解釈をする、というのが一つの楽しみになっているんじゃないかと思う。例えば、ぱっと思いつくのが能だ。

「 一見無表情に見える中間表情をしています。しかし、面を上下に傾ける(照らす、曇らす)ことにより、表情を変化させることが出来ます。特定の表情を持たない為、さまざまな感情表現が可能となります。長時間の舞台の使用に耐えるための工夫です。」
能と能面について

能は受け手が実際に無表情の能面を的確な角度から見ることと、ストーリーの流れから感情を読み取るという、なかなか受け手の難易度が高い芸術だ。しかし、難易度があるからこそ、理解できたときはとても嬉しいのではないかと思う。

同様に、LINEでかわされるコミュニケーション中で無表情の「ブラウン」を用いることで、情報の受信者は発信者の気持ちを察さねばと思うし、そこを理解するとニヤリとして会話が楽しくなってくるのだと思う。まさに、ハイコンテクスト文化の特徴の「直接的表現より単純表現や凝った描写を好む」の項目にぴったり!

■ハイコンテクスト文化
聞き手の能力を期待するあまり下記のような傾向があります。
* 直接的表現より単純表現や凝った描写を好む
* 曖昧な表現を好む
* 多く話さない
* 論理的飛躍が許される
* 質疑応答の直接性を重要視しない

■ローコンテクスト文化
話し手の責任が重いため下記のような傾向があります。
* 直接的で解りやすい表現を好む
* 言語に対し高い価値と積極的な姿勢を示す
* 単純でシンプルな理論を好む
* 明示的な表現を好む
* 寡黙であることを評価しない
* 論理的飛躍を好まない
* 質疑応答では直接的に答える
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の違い

そうそう。「ブラウン」の無表情って何かと近いなあと思ったら、ミッフィーとキティだったんだ。ミッフィーもキティも、表情は常に一定。感情を全く感じさせることがない。だからこそ、人はミッフィーやキティにいろんな感情を託すことができるのだと思う。

無表情ゆえの、発信者側の使い勝手のよさ、受信者が発信者の気持ちを察する楽しみ。この2つがあって「ブラウン」はダントツの人気がでているのだと私は考えている。

※5/24 リンクミスなおしました。ごめんなさい!
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Comments & Trackbacks

  • Comments ( 1 )
  • Trackbacks ( 4 )
  1. こんばんは(ノ)’ω`(ヾ)

    すごい面白かったです(*´-`*)ノ

    ブラウンさんはいつも無表情なのにぼくもなぜか大好きなので,楽しく読ませてもらいました。

    壁]´Д`*)。このブラウンのスタンプほしいです(*´-`*)ノ

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