webディレクターとしてお仕事する中で「webデザイン=photoshopで見た目をデザインすること」と認識されてる状況に出会うと、しょんぼりしてしまう。
例えば、「この画像とボタンをとにかくなるはやで作って!」日々サービスを運営する中、エンジニアやサービス運営者からの依頼。
画像とボタンを実際につくろうとしたけど、どの画面で使われるものかわからない。確認してみたら、新規構築の画面。登録内容を確認するためのフローのおまけ部分の機能追加なのに、依頼内容どおりに作ると、どう考えてもメインの導線より目立つおまけ導線。どうみても迷路です、本当にありがとうござ(ry
webサービス運営の現場ではデザイン=「どんな画像やボタンをつくるか」について認識され、デザインに内包されるべきUX・UI設計や情報設計のフローがぶっとばされてしまう傾向があると思う。その度私はディレクターとして「デザイン」の定義について社内の真ん中で叫びたい衝動にかられるのだけど、どうみても怪しい人になりそうなので、静かにブログで書いとくことにした。
デザインの定義
現在読んでいる本「ペルソナ作って、それからどうするの?ユーザー中心のデザインで作るwebサイト 棚橋 弘季 (著) 」にある、デザインの定義についての章が秀逸だった。
ここでは要約して掲載する。
・デザインとは、ユーザーの行動パターンを特定し、それをものやサービスのパターンへと変換する作業である。ものの形のスタイリングするだけの作業ではない。
「ユーザーの行動パターンを特定し、それをものやサービスのパターンへと変換」これがまさに、今私がwebディレクターとしてやっているUX・UI設計・情報設計の部分だったりする。
巧いかどうかはさておき、私はこの変換作業がとってもスキだ。
変換ミッション:「羽田空港に早朝深夜にいくのはめんどくさい」をどう解決する?
私が携わった「ユーザーの行動パターンを特定し、それをものやサービスのパターンへと変換」の中で、特に楽しかったのが2010年10月に実施された羽田空港国際化のときのページ作成だった。
旅行業界は羽田国際化一色にわきまくり、各社一斉に羽田発の海外旅行のアピールをしまくるようになった。当然、自分の会社もそう。「羽田発の海外旅行をアピールするページを作れ!」という指示がとんできた。
んで、いろんな旅行会社の情報をみたんだけど、、いまいちメリットがわかりづらい。特に航空会社。新規就航のスケジュールはあるが、何がいいのかさっぱりわからん。
■某航空会社の就航スケジュール
・羽田発:06:40
→ニューヨーク着:05:15・ニューヨーク発:18:10
→羽田着: 22:15(翌日)
・・・誰か、この飛行機のメリット、わかる人いますか〜・・・
私はいまいちわからなかった。しゃーないので社内一番の飛行機マニアの先輩にヒアリングをしにいった。そしたら「早朝深夜出発だからスケジュール的にとってもおすすめなんだよ!」と教えてもらった。でもますます「???」という状態になった。この状態でユーザーに「スケジュール的におすすめです」といっても、100%誰にも何もささらず、みんな静かにページを閉じるだろうなあと思った。
だって、スケジュールといわれても・・・そもそも深夜早朝に羽田空港にいくことじたいめんどくさいもん(成田にいくのもめんどくさいけどさ)。帰宅ラッシュでこみあう山手線、スーツケースごろごろするのを想像するだけでうんざりする。朝3時におきて空港いくのもめんどくさい。だったら昼に成田空港にいくほうがましだ。
ちなみに。「漆黒の闇にキラキラと飛び立つ深夜出発便にのって旅にいこう」というスタイリングだけしても意味はない。どんなに言葉尻かっこよくしたとこで、今回の問題である「羽田空港に深夜にいくのはめんどくさい」という点は解決してないからね。
「羽田空港に深夜にいくのはめんどくさい」という問題を解決するには、「アクセスが多少めんどくさいというユーザーの心を覆すほどの、羽田発深夜便の便利さ」を訴求する必要がある。ゆえに、私はひきつづき師匠に教えを乞うた。師匠はとっても親切に教えてくれた。
(1)師匠:「深夜早朝出発なら、アメリカ東海岸には早朝5時に到着でき、乗継に便利」
【変換】朝からNYで行動必要なサラリーマンや、乗り継ぎをして東海岸諸都市に行きたい人にとっては、深夜早朝発の便はもっとも目的地にはやくいけて時間を有効に使える便である。
(2)師匠:「タイやシンガポールへなら、金曜深夜出発、日曜現地出発が可能」
【変換】タイやシンガポールへ、弾丸旅行が可能!金曜日深夜に出発すれば、土曜の朝に到着できる。土曜の朝から街をあるき、日曜日夜まで遊んだあと現地出発すれば、月曜日朝には羽田空港について出社もできる。弾丸旅行マニアにはたまらない旅程だ。
(3)師匠:「成田空港では深夜早朝発の便がなかったが、羽田空港国際化にともない、深夜早朝便も飛ばせるようになった。新たなニーズ開拓となる」
【変換】(1)(2)を実現できる便、実は関東圏では初めて。成田空港は深夜早朝出発ができなかったけど、羽田空港が国際化することで、深夜早朝出発できるようになった。ユーザーにとっても飛行機を選ぶ選択肢が広がった!
また、深夜にいくというのは、「仕事おわりからもいける」ということにもなる。
師匠から丁寧な説明をきく&脳内変換の作業をとおして、はじめて私は「羽田発の早朝深夜便って便利かも!ユーザーにおすすめできるかも!」って思えた。
ユーザーの「めんどくさい」という気持ちを把握したうえで(このときはやらなかったけど、時には調査とかも必要)、その「めんどくさい」を超える利益があるという情報をあつめて、ユーザーむけに編集することが、デザインのお仕事の大事なスタートだと思ってる。
デザインがあるからこそ、迷子をうみださず、ユーザーの心をうごかすものを作れるようになる
冒頭の事例にもどると。
エンジニア、サービス運営者は「追加するおまけ導線部分をユーザーに使ってもらう」という点のみ考えている。サービスのパターンを先に考えてしまっているから、そのまま実装すると迷子を量産する導線がうまれてしまう。
だからこそ。デザインをする立場の人間がそこに入って「そのときユーザーがどのようなモチベーションで何を考えてるんだろう?」というユーザーの立場に一回たちかえるべきだと思うのだ。エンジニア、サービス運営者の方が実装したいサービス内容に変換し、画面におとしてはじめて、迷子をださず、ユーザーの心に届くものがうまれる。ここに、単なるphotoshop屋さんではない、迷子促進屋さんではない、ほんとのデザインの意義がある。
webサイトの流入施策も同様だ。「このサイトでこのバナーを見て流入したユーザーは、この画面でどんなモチベーションでいるか」「この検索ワードで入ってきた人はこの画面でどのようなモチベーションか」などを常に考えて露出するものを管理する必要がある。流入を担うwebマーケティングもデザインの一種なんだよな、と思う。
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お恥ずかしい話なのだけど。私が今このブログにアフィリエイトをはってないのは、「このブログ見ているモチベーションの人が、本当にここから買いたい!と思ってくれるような導線を設計を思いつけてない」という理由です。。
ただ張るだけ、商品紹介するだけでもいいんだろうけど、それだと私の「金くれえええ」という下心満載になってしまう。その下心をうまくデザインして、ユーザーの心に届くようにしたいんだけど、未だ思いつかず。デザイン状態のものを世の中に公開する、というのはなんか後ろめたいしなあ・・・・。ううう。考え過ぎかしら??
デザイン好きだけど、まだまだ修行が足りんようなので、もうちょっと精進せねばと思う今日このごろでした。
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