「エンジニアさんがあげてきたUIが分かりづらい(泣)!」そう思ったwebディレクター(UI設計者)は多いと思う。
誰にむけて、何をしてほしい文章かわからない。しかもテキストばかりだから目に入らない。理解不能。そんな現場に何回もであっては「なんでエンジニアさんたちには、わかりづらいことが、わからないんだろう?ユーザーのこと考えてるの?」って感じたこともある。UI設計者の私は、エンジニアさんの思考がいまいち理解しきれなかったのだ。
今回はエンジニアさんのブログをもとに、エンジニアさんと、UI設計者の違いについて考えを自分なりにまとめてみようと思った。エンジニアの方、もしぜんぜん違ったらぜひつっこんでください!(><)
エンジニアさんのバックボーン
エンジニアさんの思考を知るためには、その背景を考えたい。「モバツイ」を開発したエンジニアである藤川真一さんのブログにある「何故、エンジニアはUIのセンスがないか」という記事が参考になった。
肝は、この「ユーザーの期待」と作り手が提供したい機能実現に必要な感覚との間に差異がある場合に、それを埋める努力を作り手がどれだけ意識してやっているか?
エンジニアがエンジニアになるまでに学んできたベースとなる教育は、特に理系の場合は、何かの問題を主に技術的、数学的に、最適に解決する手段を考えるものであって、別にわかりやすくそれを理解してもらうにはどうすれば良いか?!などを考えるというのはそう多くない。
どちらかというと使い勝手が語られる文脈は、心理学や美術という理系学科にいる人にとっては対極の分野にあることが多く、ユーザーインターフェース に強みを持っているエンジニアのバックボーンを聞いてみると、専門にせよ趣味にせよ、芸術的な分野の経験を持っている人が多いのではないだろうか。
教育というバックボーンによる、視点の違い。この記事を読んで、うすうす感じてたエンジニアの能力とUI設計者の方向性の違いについて考えるようになった。
エンジニアさんと、UI設計者の目指す価値の違い
また、エンジニアさんの思考方法の理解には、やらうねおさんの「定期的に繰り返し実行する簡単ではないお仕事」が適切すぎた。順を追った実装内容の記載により、エンジニアさんの思考方法が脳内で見事に再現され、目から鱗がおちたのだ。
と同時に、エンジニアさんとUI設計者の思考があまりに違いすぎる!とびっくり仰天したので、軽くまとめてみた。
エンジニア
・論理で表現できる内容で対応する
・論理が基準なので、機能変更があった場合、既存の論理にあうようさらに機能を拡張をさせていく。
・機能を実現させることが、ユーザーに一番の喜びをもたらすと考えている
UI設計者(UIデザイナー)
・ユーザーが何をしたいかを基準にして対応する
・ユーザーが基準なので、機能変更があった場合、既存の内容がもしユーザーに理解しづらければゼロベースからUI考えてとっかえる
・ユーザーに迷わずに動作を実現させることが、ユーザーに一番の喜びをもたらすと考えている
ぜんぜん目指す所が違う(@_@;)
この目指すところの違いは、UI設計に大きな影響を及ぼすと思う。
「定期的に繰り返し実行する簡単ではないお仕事」の記事を読んだ後に、その機能のUI設計をしようとすると、何から考えていいか分からずUI設計しづらかった。この記事自体が機能の論理ベースで記述されているため、論理ベースで正しいUIを考えようとしてしまうからだ。論理ベースで正しいUIが、必ずしもユーザーが欲しい情報と一致してるかどうかは限らない。
エンジニアとUI設計者の間には、深くて暗い川がある?
River / Moyan_Brenn_I’M BACK NOW
定義された要件に対して、エンジニアさんは正しい論理、機能を実装することに最大の価値を見いだしている。一方、UI設計者のほうはユーザーが迷わず使えることに最大の価値を見いだしている。
エンジニアとUI設計者。どっちも方向性は相当違うので、深くて暗い川があるのは半ば当然だと思う。一人のユーザーにむけて、この深くて暗い川にどれだけ橋をかけられるかが、プロジェクトの成否を決めるのではないだろうか。
だからもし両者の信頼関係がなかったら。そう考えると怖い。エンジニアさんはUIについては「単なるお化粧」だと感じてしまうだろうし、UI設計者はエンジニアさんがだす論理ベースのUIを見て「馬鹿なの?死ぬの?」って感じるだろう。相互に信頼がない状態で、橋なんてかけあえるはずがない。
大事なのは、基準が違うという前提は理解したうえで、意見をだしあって相互に考え抜くことなんだろうな。つきなみだけど。
仕事の基準が違うから、何もしないままだと、深くて暗い川は絶対わたれない。お互いに目指す方向はちがえど、ユーザーさんに向き合う立場のもの同士、橋を掛け合えるチームを作っていきたいと思う。
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